※本記事は薬剤師が執筆しております※
すっぽんは昔から滋養効果があることで有名な食品です。とはいっても、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
- すっぽんって何?
- すっぽんにはどんな効果があるの?
- すっぽんを食べても問題がないの?
すっぽんはたくさんの栄養素が入っており、健康維持効果が期待できる食品の1つです。一方で、すっぽんを食べたことによるサルモネラ属菌による食中毒も報告されているため、適切に処理しなければいけません。本記事ではすっぽんの効果やすっぽんを食べるときの注意点について詳しく解説しますので、ご参考にしてください。
⽬次
- すっぽんの歴史や特徴
- すっぽんの成分表
- すっぽんの効果や働き
- すっぽんがおすすめな年齢とは?
- すっぽんの副作用【食中毒のリスク】
- すっぽんの効率的な摂取方法
- すっぽんを食べて健康管理を徹底しよう
すっぽんの歴史や特徴
すっぽんは体長約30cmの淡水系のかめの1種です。2億年も前から地球に生息し、日本では本州以南に生息しています。中国では紀元前からすっぽんが料理として出された記録が残っており、古来から食べられていたことが分かります。日本でも、滋賀県にある縄文時代の遺跡からすっぽんの骨が発見されています。
すっぽんの平均寿命は約30年で、最高寿命は100年以上と言われています。そのため、不老長寿に優れた食材として食べられてきました。
食用に養殖されるすっぽんは約1〜3年成長すると食べることができます。他の亀と違い、甲羅が柔らかいのが特徴です。
すっぽんの成分表
すっぽんは栄養素が多く含まれる健康食材としてはもちろん、肌の若々しさに必要なコラーゲン生成に関与するビタミンを含む食材としても注目されています。
すっぽんの可食部100gあたりの主な成分表は以下のとおりです。
成分名 | 数値 | 成分名 | 数値 | 成分名 | 数値 |
---|---|---|---|---|---|
エネルギー |
175kcal |
カリウム |
150mg |
ビタミンA |
94μg |
たんぱく質 |
16.4g |
カルシウム |
18mg |
ビタミンD |
3.6μg |
脂質 |
13.4g |
リン |
88mg |
ビタミンE |
1.2mg |
炭水化物 |
0.5g |
鉄 |
0.9mg |
ビタミンB |
1.32mg |
亜鉛 |
1.6mg |
ビタミンC |
1mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より抜粋
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
すっぽんの効果や働き
すっぽんには体によいとされる成分が多く含まれ、以下のような効果や働きがあります。
- 男性妊活サポート
- 骨のサポート
- 肌の若々しさ
- 滋養
- 鉄の補給
- 関節軟骨のサポート
- 筋力作りのサポート
それぞれ以下で詳しく説明していきます。
男性妊活サポート
すっぽんには亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛が欠乏すると味覚障害が起こることは有名ですが、男性の生理機能にも影響を与えると考えられています。体内の亜鉛は精液や月経血からも失われるため、妊活中の方は積極的に亜鉛を摂りましょう。
しかし、亜鉛を摂りすぎると貧血や胃の不快感などを引き起こします。妊活に悪影響を及ぼす可能性もあるため、摂取する上限量を守ってください。亜鉛の耐容上限量は成人男性の場合、1日40〜45mg、成人女性の場合、1日30〜35mgです。通常の食事で上限量を超えることはありません。
骨のサポート
すっぽんには丈夫な骨をつくるために重要なカルシウムとビタミンDがバランスよく含まれています。カルシウムは骨の主成分であるため、不足しないように摂らなければいけません。また、ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を早め、カルシウムを骨まで運びます。カルシウムとビタミンDがどちらも含まれているため、すっぽんを食べることで骨のサポート効果も期待できます。
肌の若々しさ
すっぽんには肌を若々しく保つ効果も期待されています。肌の若々しさに重要な物質の1つがコラーゲンです。すっぽんには、コラーゲン再構築に必要なビタミンAやコラーゲンを生成するアミノ酸をつくるために必要なビタミンCも含まれています。
滋養
すっぽんには体内でつくることができない必須アミノ酸が豊富に含まれています。必須アミノ酸はエネルギー源にもなるため、滋養効果が期待できるでしょう。
また、栄養ドリンクに多く配合されているビタミンBも含まれています。ビタミンBは糖質を体内でエネルギー源に変える工程で必要です。すっぽんを食べると疲れにくくなる可能性があるため、疲れやすいと感じている方はすっぽんを試してみてください。
鉄の補給
鉄不足によって貧血や疲れやすいなどの症状が起こります。鉄は酸素を体の隅々まで運ぶ重要なミネラルの1つです。すっぽんには鉄も豊富に含まれているため、鉄の補給に適した食材です。
関節軟骨のサポート
すっぽんにはサメ軟骨成分のコンドロイチンが含まれています。コンドロイチンは関節の軟骨を保護する働きが期待されている成分で、医薬品の原料としても広く使用されています。
年齢とともにコンドロイチンは減少するため、コンドロイチンを多く含むすっぽんからコンドロイチンを摂りましょう。すっぽん以外にもうなぎやフカヒレにもコンドロイチンは豊富に含まれています。
筋力作りのサポート
筋肉を構成するために重要な役割を果たすアミノ酸がすっぽんには豊富に含まれています。気持ちよく動き続けるためにも筋力作りは大切です。すっぽんには体内でつくることができない必須アミノ酸も豊富に含まれているため、筋力作りのサポート効果が期待できるでしょう。
すっぽんがおすすめな年齢とは?
すっぽんは年齢を問わずおすすめな食材です。特にシニア世代には滋養や関節の軟骨をサポートする食材としておすすめだといわれています。
若い方にも筋力作りや妊活サポートなどの効果が期待される食材であるため、年齢を問わず積極的に摂りたい食材です。
すっぽんの副作用【食中毒のリスク】
すっぽんはサルモネラ属菌などの食中毒菌を持っていることがあるため、注意が必要です。サルモネラ属菌はすっぽんだけでなく鶏、豚、牛などの腸管内に生息しています。熱に弱いため、加熱することで食中毒を防ぐことが可能です。
国内でもすっぽんによる食中毒が報告されています。すっぽんによる食中毒の多くは、刺身や生き血など加熱処理されていない食材をとったことが原因です。行政からすっぽんを取り扱う業者へ、スッポン体表の洗浄や内臓処理時に食中毒菌による汚染を防ぐよう注意喚起が行われています。
サルモネラ属菌による食中毒は充分に加熱すれば防ぐことができるため、食中毒のリスクが心配な方は、加熱調理されたすっぽんを食べるようにしましょう。
すっぽんの効率的な摂取方法
すっぽんの代表的な食べ方は鍋に入れて食べる方法です。しかし、すっぽんは養殖やすっぽん料理が有名な一部の地域を除き、スーパーなどで販売されていません。すっぽんを食べるには、すっぽん料理店のオンラインショップを利用しましょう。
すっぽんを取り扱う飲食店では、すっぽん鍋以外にもすっぽんの唐揚げや生き血などが提供されています。栄養素がたくさん含まれているすっぽんですが、高級料理として出されているため、毎日すっぽん料理を食べることは難しいでしょう。
すっぽんはドリンクやサプリメントなどの健康食品としても販売されています。効率的にすっぽんを摂取したい方はすっぽんそのものではなく、加工された健康食品などを摂ると良いでしょう。
すっぽんを食べて健康管理を徹底しよう
すっぽんは体に良いとされる栄養素が豊富に含まれている食材です。すっぽん料理が有名な飲食店以外ですっぽんを食べる機会は少ないでしょう。手軽にすっぽんの栄養素を摂るためには、すっぽんを加工した健康食品などの利用もおすすめです。
すっぽん料理を食べたり、すっぽんの成分が入った健康食品を利用したりして健康管理を徹底しましょう。