※本記事は管理栄養士が執筆しております※
妊活中は栄養の偏りがないように、食事などから栄養素をバランス良く摂取していくことが大切です。
ビタミンAは妊活中に不足なく摂りたい栄養素のひとつです。この記事では、ビタミンAを妊活中にしっかり摂っておきたい理由と、豊富に含まれている食べ物、効率的にビタミンAを摂取できるおすすめの食べ方を解説していきますので、是非参考にしてみてください。
目次
- ビタミンAの栄養成分とは?
- ビタミンAは妊活におすすめ?
- ビタミンAは特に女性の妊活におすすめ!
- 摂取するときの注意点は?
- ビタミンAの摂取不足
- ビタミンAの過剰摂取
- ビタミンAは男性にとってどのような効果がある?
- ビタミンAを多く含む食べ物は?ランキングで紹介
- ビタミンAの効果的な摂取方法は?
- ビタミンAの摂取量の目安
- 男女別妊活中の摂取量の目安
- 栄養素はバランス良く摂取しよう
- まとめ
ビタミンAの栄養成分とは?
ビタミンAは脂溶性のビタミンです。油に溶けだしやすく、体内に蓄積する性質を持ちます。
ビタミンAのほとんどがレチノールとして構成されており、おもに動物性食品に含まれています。植物性食品に含まれるビタミンAはカロテン類と呼ばれ、体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。カロテン類のなかでも強い生理活性作用を持つのがβ‐カロテンです。
ビタミンAは、免疫や目の機能を正常に保つ働きをします。また、細胞の成長や分化にも関わるため、心臓、肺、生殖器などの器官の合成や、胎児の成長などにも関わりがあります。
ビタミンAは妊活におすすめ?
ビタミンAは細胞の成長や分化に関わります。ビタミンAを不足なく摂ることは、女性の子宮や卵巣、男性は生殖器や精子の合成など、正常な機能を維持することにもつながります。
妊活中は精神的、肉体的なストレスがかかるため体調を崩しやすくなります。体調管理をするうえでも、免疫と関わるビタミンAの摂取はおすすめです。
ビタミンAは特に女性の妊活におすすめ!
妊活中の体調管理のお供にビタミンAの摂取はおすすめです。
妊活中は、排卵日を逆算して様々なスケジュールを組む方が多いかと思います。スケジュール通りに計画を進めていくためには、特に女性側の体調管理が重要です。ビタミンAの不足で皮膚や粘膜の抵抗力が弱まると、感染症にかかるリスクが高まります。妊活中は、免疫力のアップのためにも日常的にビタミンAをしっかり摂っていきましょう。
摂取するときの注意点は?
ビタミンAには動物性食品のレチノールと、植物性食品のカロテン類があります。摂取量に気を付けなければいけないのはレチノールです。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、体内(主に肝臓)に蓄積されます。過剰に摂取すると、ビタミンAの過剰症を引き起こします。特に妊娠中のレチノールの過剰摂取は、母体に悪影響を及ぼす危険があるため注意をしなければいけません。
植物性食品のカロテン類は、体内で不足分のみビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配はありません。
ビタミンAの摂取不足
様々な食品を日常的に食べている日本では、ビタミンAの不足の心配は少ないです。
発展途上国など、動物性食品やβ‐カロテンを含む食品が摂りづらい環境では、ビタミンAの慢性的な不足が考えられます。ビタミンAの欠乏症は、目に関わる症状の眼球乾燥、視力の低下、夜盲症や、免疫力の低下を引き起こすとされています。
ビタミンAの過剰摂取
ビタミンAの過剰症は、過剰摂取した量と摂取した期間に比例するといわれています。短期間に大量に摂取すると急激な健康被害を引き起こす可能性が高いということです。
慢性的に過剰に摂取した場合は、頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、浮動性やめまい、悪心、頭痛、皮膚炎などを起こし、昏睡、死亡に至るケースもあります。妊娠中のレチノールの過剰摂取は、母体に悪影響を起こす危険があるため、レチノールが多い食品を把握し、妊娠の可能性がある場合は気を付ける必要があります。
ビタミンAは男性にとってどのような効果がある?
ビタミンAは、体内のほぼすべての細胞の成長と分化に関与しています。そのため、正常な生殖機能の維持とも関わりがあるとされています。男性の生殖機能は、性欲や勃起、精子をつくる精巣、精液をつくる精嚢(せいのう)、射精に重要な役割を持つ前立腺など、生殖に必要な機能のことをいいます。
正常な生殖器の維持のため、妊活中の男性は適度にビタミンAを摂取することが望ましいでしょう。
年代別のビタミンA(μgRAE/日)の摂取目安量
年齢(歳) |
推定平均必要量 |
推奨量 |
目安量 |
耐用 上限量 |
||||
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
|
18~29 |
600 |
450 |
850 |
650 |
ー |
ー |
2700 |
2700 |
30~49 |
650 |
500 |
900 |
700 |
ー |
ー |
2700 |
2700 |
妊婦 初期 |
+0 |
+0 |
ー |
ー |
||||
中期 |
+0 |
+0 |
ー |
ー |
||||
後期 |
+60 |
+80 |
ー |
ー |
||||
授乳婦 |
+300 |
+450 |
ー |
ー |
参照:日本人の食事摂取基準2020年版
※推奨量にはプロビタミンAカロテノイドを含む
※耐容上限量にはプロビタミンAカロテノイドを含まない
男女とも耐用上限量を超えないように、レチノールが多い食品を1度に大量に食べないこと、レチノールのサプリメント等を利用する場合は容量を守ることを意識しましょう。
ビタミンAを多く含む食べ物は?ランキングで紹介
ビタミンAはさまざまな動物性の食品に豊富に含まれています。
今回はビタミンAを多く含んでいる食品をランキング形式で紹介していきます。
ビタミンAを多く含む食品1位:レバー
豚のレバーには100g中に13000µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
にわとりのレバーには100g中に14000µg、牛のレバーには100g中に11000µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
豚とにわとりのレバーは、牛に比べレチノールが多いことが分かります。
レバーは鉄分や葉酸が豊富で、貧血防止の効果も期待できます。
ビタミンAを多く含む食品2位:うなぎ
うなぎには100g中に2400µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
ビタミンB2やビタミンD、亜鉛も豊富に含んでいます。
うなぎのぬるぬる成分は、弱った胃腸の粘膜を保護し、消化吸収を助ける働きがあります。滋養強壮の食品としても有名です。
ビタミンAを多く含む食品3位:バター
無塩バターと発酵バターには100g中に780µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
有塩バターには100g中に500µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
マーガリンにレチノールは含まれていませんが、β‐カロテンはバターより多いです。
バターはコレステロール、飽和脂肪酸が多いため摂りすぎないよう注意が必要です。
ビタミンAを多く含む食品4位:黄卵
卵黄には100g中に690µgのビタミンA(レチノール)が含まれています。
卵白にはレチノールが含まれていません。
鶏卵1個あたり、約100μgのレチノールが含まれています。
卵はたんぱく質、ビタミン、ミネラルがバランスよく摂取できる、万能な食品として有名です。ビタミンCは含まれていないため、ビタミンCを含む食品と摂ることでバランスが良くなります。
ビタミンAを多く含む食品5位:モロヘイヤ
モロヘイヤには100g中に10000µgのビタミンA(β‐カロテン)が含まれています。
カリウム、ビタミン類、特にビタミンKが豊富に含まれます。
ビタミンKはケガで出血したときなど、必要時に血液を固める働きがあります。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、ビタミンKが多い食品の摂取は控えるように言われることがあります。
ビタミンAを多く含む食品6位:人参
人参には100g中に6900µgのビタミンA(β‐カロテン)が含まれています。
カリウムやカルシウム、食物繊維も比較的多く含まれています。
カリウムは浮腫みの予防に効果的で、過剰に摂取した塩分を体外に排出する働きがあります。
ビタミンAを多く含む食品7位:ほうれん草
ほうれん草には100g中に4200µgのビタミンA(β‐カロテン)が含まれています。
葉酸、鉄、カリウム、カルシウムなどが豊富に含まれます。
ほうれん草の鉄分は非ヘム鉄のため動物性の鉄よりも吸収しづらいですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率は上がります。
ビタミンAの効果的な摂取方法は?
ビタミンAは脂溶性のビタミンのため、油に溶けだしやすい性質を持ちます。調理の際は、油を使って炒めたり揚げたりすると、生で食べるよりも効率的にビタミンAを摂取できます。
ビタミンAの摂取量の目安
年代別のビタミンA(μgRAE/日)の摂取目安量
年齢(歳) |
推定平均必要量 |
推奨量 |
目安量 |
耐用 上限量 |
||||
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
男性 |
女性 |
|
18~29 |
600 |
450 |
850 |
650 |
ー |
ー |
2700 |
2700 |
30~49 |
650 |
500 |
900 |
700 |
ー |
ー |
2700 |
2700 |
妊婦 初期 |
+0 |
+0 |
ー |
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中期 |
+0 |
+0 |
ー |
ー |
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後期 |
+60 |
+80 |
ー |
ー |
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授乳婦 |
+300 |
+450 |
ー |
ー |
参照:日本人の食事摂取基準2020年版
※推奨量にはプロビタミンAカロテノイドを含む
※耐容上限量にはプロビタミンAカロテノイドを含まない
男女とも、1日のビタミンAの推奨量を目指すように摂取するといいでしょう。耐容上限量を超えてしまうと健康被害を起こす可能性が高まりますので、注意が必要です。
男女別妊活中の摂取量の目安
妊活中の男女は、年代別の1日のビタミンAの推奨量を目指し、耐容上限量は超えないようにすることが望ましいでしょう。
特に動物性食品のレチノールが多い食品を食べたり、サプリメントを使用したりする際は、過剰摂取にならないように気を付けましょう。
栄養素はバランス良く摂取しよう
ビタミンAを不足なく摂取することで、健康な目の機能の維持や妊活中の免疫力の低下を予防し、男女とも正常な生殖器の維持につながります。ビタミンAは動物性食品のレチノールと植物性食品のカロテン類に分かれますが、どちらも偏りがないよう摂ることが大切です。さらに、妊活中に必要な栄養素はひとつだけではないため、バランスよく食事を摂って様々な栄養素を摂ることを意識しましょう。
まとめ
ビタミンAのはたらき
- 免疫力の低下を予防
- 皮膚や粘膜、目の健康を維持
- レチノールの過剰摂取は母体に悪影響を及ぼす
ビタミンAを含む食品
- 動物性食品にレチノールとして多く含まれている。
- レバーに特に多い
- 植物性食品のビタミンA(カロテン類)は、体内で必要な分だけビタミンAに変換される
今回はビタミンAの効能や、ビタミンAを多く含んでいる食品、効率的な摂取方法などを紹介しました。
妊活中は、栄養の偏りがないように、全ての栄養素をバランス良く摂取していくことが大切です。今回紹介したビタミンAが多い食品や、効率的に摂取できる食べ方を試してみてはいかがでしょうか。