ビタミンB12という栄養素についてどれほど御存じでしょうか?ビタミンB12は摂取不足になると、貧血になったり神経機能に影響が出るなど、健康面に影響を及ぼすことが報告されています。
ビタミンB12の摂取不足は不妊にも影響していると言われています。不妊の原因は、男性側と女性側双方の背景がありますが、どちら側で摂取不足が起こっても不妊の原因になると言われています。
ビタミンB12を過剰摂取せずに摂るためには、どんな食材をどの程度食べればいいのでしょうか?
今回は、そんなビタミンB12の効果や摂取量について詳しく解説していきます。
⽬次
- ビタミンB12とは
- ビタミンB12の効果や働き
- ビタミンB12が不足すると?
- ビタミンB12を多く含む食材
- ビタミンB12の効率的な接種方法
- ビタミンB12の副作用【過剰摂取】
- ビタミンB12と薬の相互作用
- ビタミンB12が不足しないように注意しよう
- ビタミンB12とは?
ビタミンB12は動物性食品に主に含まれています。
動物性とは豚や鳥などを指します。私たちの生活環境に馴染みがあるものから簡単に摂取出来るということです。
極度の菜食主義者でない限り、普通の食事をしていれば欠乏することはない栄養素だと言えます。
そんなビタミン12ですが、体内での吸収は一筋縄ではいきません。唾液や胃液、他にも様々な消化酵素を利用してやっと吸収されるためです。
このように苦労して吸収されたビタミンB12は、神経系の発達や血液成分の原料になったりと、体内の様々な部分で活用されます。
そのためか、ビタミンB12を正しく摂取することで、体内において様々な効果があると言われています。
ビタミンB12の効果や働き
ビタミンB12は血液成分や男性の精子の原料になるなど、貧血予防や男性妊活のサポートとしても利用されています。
神経系の発達にも関わっているので、手足のしびれなどの末梢神経障害に対して医療現場でも使われています。
また、お肌などの美容や認知症予防、難聴の改善といった効果も期待できます。
男性妊活サポート
男性による不妊の原因の一つとして、体内でのビタミンB12の不足というものが挙げられます。
ある調査で、不妊の男性に1日1,000-6,000μgのビタミンB12を数週間摂取してもらい、精子の生成状況などを観察しました。その調査の結果は、なんと精子の数が平均40%も増えていたというものでした。
ビタミンB12の効果はそれだけではありません。妊娠に関わる精子の活動状況も向上するという調査結果も出ています。
貧血の予防
貧血は体内で酸素が行き届いていない状況のことをいいます。
貧血になる原因の一つとして、肺から取り込んだ酸素を体内の細胞へと運搬する赤血球の減少が挙げられます。
赤血球の生成には、鉄分やビタミンなど数多くの栄養素が使用されます。その栄養素の中に
ビタミンB12が含まれていることがわかり、貧血予防の栄養素として知られるようになり、医療現場まで活躍の場が広がっています。
神経機能の正常化
ビタミンB12は、様々な遺伝情報が集約されている核酸やタンパク質などの合成に関わっています。そのため、幼少期などの成長過程では必要不可欠なものとされています。
成長過程の中で、ビタミンB12が特に関わっているのが中枢神経系の発達です。
末梢神経においては、神経の傷を修復する働きがあります。
そのため、医療現場ではしびれなどの神経障害の治療薬として使用されています。
美肌効果
肌にビタミンB12?ビタミンCでしょ!と思われた方もいるのではないでしょうか?
実はビタミンB12も美肌に効果的と言われています。
ビタミンB12が赤血球の生成、いわゆる造血作用に関わっているのは先ほど説明した通りです。この造血作用というものには、全身の血行を促進する効果があります。
それによって、肌の新陳代謝が高まり「新しいピチピチの細胞=美肌」につなげることができるのです。
睡眠障害の改善
睡眠には大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。2つの睡眠が約90分周期で交互に切り替わることで、規則正しい睡眠リズムを形成します。
しかし徹夜をしてしまうと規則正しい睡眠リズムを狂わせてしまいます。これにより、睡眠障害に発展してしまうことも少なくありません。
ビタミンB12は睡眠リズムを正常化させる働きがあると言われています。
白髪の予防
皆さんはメラニンという物質を知っていますか?メラニンは体内の黒色の色素成分で、
黒髪の日本人の髪の毛に多く含まれています。
実は、ビタミンB12はこのメラニンの生成に関わっています。
メラニンを生成する細胞をメラノサイトというのですが、ビタミンB12はこのメラノサイトの活動を活発にします。
こういった作用から、ビタミンB12は白髪予防になると言われています。
眼精疲労の緩和
今やパソコン業務が主流になった現代人において、眼精疲労は誰もが抱えている問題の1つです。眼精疲労にもビタミンB12は効果が期待できます。
目は水晶体と呼ばれるカメラのレンズのようなものでピントを合わせることで、目から入ってくる情報を私たちは見ることができます。
このピントを合わせる作業をしているのが、毛様体筋と視神経です。
ビタミンB12はこれらの疲労を回復させる働きがあると言われています。
難聴の改善
耳は、耳の外からくる音の情報を内部で電気信号に変えています。電気信号に変えることで神経を通ることができ、私たちの脳に音を届けることができます。
電気信号の通り道の神経に障害を来すことで、難聴になることがあります。
ビタミンB12は神経を修復する作用があり、難聴改善を期待できます。
動脈硬化の予防
ビタミンB12は血管に良い作用があります。それは動脈硬化の予防です。
動脈硬化の一つの原因として、ホモシステインと呼ばれる物質の蓄積があります。
通常ホモシステインは、メチオニンと呼ばれるアミノ酸に変換されます。この変換の中で、ビタミンB12も使用されます。
そのため、ビタミンB12はホモシステインの減少に一役買っており、動脈硬化予防が期待できると言われています。
認知症の予防
これまでビタミンB12は神経系、特に末梢神経に大きく関わってきていると説明してきました。では、体中の神経の司令塔である脳への良い影響はあるのでしょうか?
実は、ビタミンB12は認知症の予防になるのではないかと言われています。
現在、ビタミンB12の「神経機能の回復」と「ホモシステインの減少」などの観点から研究が進められています。
ビタミンB12が不足すると?
ビタミンB12は神経系や造血機能など様々な部分で活躍します。
不足してしまうと、これらの機能がうまく回らなくなり、身体に多大な影響を与えてしまいます。
正しく摂取すれば多くの面で身体によい影響を及ぼす分、足りなくなった時の反動が大きいのです。
ビタミンB12が足りているか?【必要摂取量】
ビタミンB12の必要摂取量は年齢によって異なります。年齢と共に推奨量が多くなっていき、12歳以上からは頭打ちになります。男女間に差はありませんが、妊娠や授乳など女性特有の状態になった時は、成人よりも多い量を摂取する必要があります。
また、高齢者の場合は吸収量が低下してしまいます。そのため、20歳台の若者と同じ量摂取したとしても、若者と同じ量を吸収できない可能性があります。
このように人の背景によって、必要摂取量は異なります。不足しているかどうかは血液検査などで、貧血傾向になっているかどうか医師に診てもらわないとなかなかわかりません。
不足しないためにも、日頃からバランスのいい食事を摂る必要があります。
ビタミンB12が不足しやすい人の特徴
ビタミンB12は動物性食品から摂取することが、人間の主な供給源になります。
そのため、動物性食品を摂取しない菜食主義者には、ビタミンB12が不足するリスクがあると言えます。
妊娠している方や授乳している方の場合、体内での消費量が激しくなると言われています。そのため成人よりも多めにビタミンB12を摂取する必要があります。
ビタミンB12の欠乏症の症状
ビタミンB12は様々な部分で活用されているため、不足した時の代償が大きいです。
疲労や体力低下など、日々の生活に支障を来すような症状が出てきます。
神経的な観点で言えば、しびれが出現します。しびれは程度にもよりますが、生活するうえで様々な場面で支障を来すことになります。
血管系への影響としては貧血や動脈硬化が挙げられます。これらはどちらも心臓に影響があり、心臓病にかかるリスクを増加させます。
他にも認知症やうつ病など様々な精神疾患になるリスクが増えると言われています。
欠乏して困るのは成人だけではありません。乳幼児など人間にとって重要な生長期間でビタミンB12が不足してしまった場合、発育障害や運動障害を抱えてしまう可能性があります。
ビタミンB12欠乏症の治療法
ビタミンB12欠乏症になった場合、最初は注射を頻繁にうって補充していきます。
そして治療が進むにつれ、徐々に頻度を減らしていき、最終的にビタミンB12のサプリメントで補給していきます。
原因が食生活の場合は、口からビタミンB12のサプリメントで補給することで十分な場合があります。
しかし、ビタミンB12を口から摂取する場合、吸収の過程上吸収量に限界が存在します。
重度のビタミンB12欠乏症の場合は、食生活由来であっても最初は注射で補給していくことになります。
ビタミンB12を多く含む食材
ビタミンB12を多く含んでいるのは動物由来の食品です。
肉類や魚介類や乳製品がビタミンB12を特に多く含んでいると言われています。
しかし、食材を調理するとどうしても成分が溶けだしてしまいます。
そんな時に美味しく効率よく摂取できるのが、クラムチャウダーなどスープ類です。
動物性の食材
動物性の食材の中で特にビタミンB12が多く含まれているのが、鳥や牛のレバーや貝類の内臓です。ただ、どれも味に癖があるものが多く苦手な人も多いでしょう。
そんな方にはマグロやサーモンなどの赤身の肉がオススメです。レバーや貝類と比べて食べやすいですが、その分含有量は低いです。
植物性の食材
これまで動物性の食材を紹介してきましたが、動物以外からはビタミンB12を摂取することはできないのでしょうか?
実は、植物性の食材の中にもビタミンB12を摂取できるものがあります。のりやわかめなどの藻類です。中でもあまのりはかなり含有量が多く、肉類や貝類などの動物性食品に匹敵するほどです。
ビタミンB12の効率的な摂取方法
簡単に摂取する方法としては、おにぎりに海苔を使用することです。ビタミンB12は1日2.4μgまで摂取し吸収できます。海苔1gで1.7μg摂取できるので、海苔を1g摂るだけで1日の半分以上を摂取することができます。
海苔は含有量も多いので、無理することなく摂取することができそうですね。
また、ビタミンB12は水に溶ける性質があります。そのため、みそ汁やスープにして摂取することで、無駄なく摂取することができます。
サプリメントから摂取する
一般家庭において、肉類や貝類は調理してから食べることが多いかと思います。
しかし、忙しい現代人にとってなかなか調理する時間がないのも事実です。
そんな時に手軽に摂取できるのがサプリメントです。
サプリメントは調理する手間も省け、食事から摂取するよりも効率的なのでオススメです。
みそ汁を食べる
普段の献立で、貝類やわかめなどの藻類が登場する機会はなかなかありません。
しじみを使ったしじみのみそ汁であれば、しじみに含まれているビタミンB12を余すことなく摂取することができます。
みそ汁ならわかめもいれやすく、何より簡単でオススメです。
缶詰を食べる
「ビタミンB12を摂取するのにわざわざ調理をするのもな…」という人のためにオススメなのが缶詰です。
缶詰であれば調理する手間が省けるのはもちろんですが、バリエーションも豊富です。
貝類からイワシなどの魚介類まで幅広く揃っています。
自分たちの好みに合わせられるので、食事の時間も楽しみになりますね。
腸内環境を整える
腸内には人間と共存している菌がたくさんいます。この菌たちは腸を通る食べ物を養分とする代わりに、様々な栄養素を産生しています。
その中にビタミンB12も含まれています。そのため、腸内環境が乱れるとビタミンB12をうまく産生できなくなり、ビタミンB12の供給が減少してしまいます。
こうした現象を防ぐために、腸内環境を常に整えておくようにしましょう。
ビタミンB12の副作用【過剰摂取】
ビタミンB12を食品から吸収する際、重要になってくるのが胃です。
胃では胃酸によって食べ物からビタミンB12を放出します。しかし、放出されただけでは吸収できません。
そこで登場するのが、内因子という物質です。内因子は胃で放出されており、放出されたビタミンB12と結合することで体内に吸収されます。
ここで重要なのが、胃から放出される内因子の量には限界があるということです。
内因子の量に限界があるということは、吸収できるビタミンB12にも限界があるということになります。以上の背景から、ビタミンB12を過剰摂取することはあまりありません。
そのため、副作用はあまりありませんが、稀に下痢や吐き気があらわれることがあります。
ビタミンB12と薬の相互作用
ビタミンB12はいくつかの薬との相互作用が報告されています。
例えば胃酸の出を抑える、胃薬に分類される薬です。
胃薬は胃酸の出を抑えてしまう分、食品からビタミンB12を放出させることができなくなります。そのため、ビタミンB12の吸収量が減少してしまいます。
他にも糖尿病の薬であるメトホルミンも、ビタミンB12の吸収量を下げる可能性があります。
自分が飲んでいる薬の中で該当するものがありましたら、医師に確認してみてください。
ビタミンB12が不足しないように注意しよう
ビタミンB12は私たちにとって重要な役割をもつ栄養素です。血液の生成や神経系には必要不可欠な栄養素です。効率よく摂取するために偏った食事はせず、肉や魚を取り入れながらバランスのいい食事を心がけましょう。
ビタミンB12は妊活のサポートアイテムとしても活躍します。
男性にとっては、精子の産生や活動に重要だということがわかっています。
妊娠中の女性であれば、赤ちゃんに栄養を送る一環でビタミンB12の消費量が多くなります。
男性と女性の妊活にとって、ビタミンB12は重要な栄養素であることがわかります。
まずは日々の食事を見直し、必要であればサプリメントなども取り入れてみましょう。