リコピンが体に良いと聞くけれど、具体的にどのような効果があるか分からない方も多いのではないでしょうか。また、リコピンの摂り方やリコピンを摂り過ぎるとどうなるか疑問に思っている方も多いでしょう。
リコピンは体内で過剰につくられた活性酸素を除去する働きがあるため、生活習慣病の予防や美容効果が期待されている赤い色素です。トマトやスイカ、金時人参などに多く含まれており、調理方法や加工方法によってリコピンの吸収率は変わります。
本記事ではリコピンの効果や働きを説明し、効率的な摂取方法とリコピン過剰摂取の注意点まで紹介しますのでご参考ください。
⽬次
- リコピンとは?
- リコピンの効果や働き
- リコピン不足による影響とは?
- リコピンを多く含む食材
- リコピンの効率的な摂取方法
- リコピンの副作用【過剰摂取】
- 美肌と健康にリコピンを摂取しよう
リコピンとは?
リコピンはカロテノイドの1つで、トマトやスイカに多く含まれる赤色の色素です。カロテノイドには活性酸素から体を守る作用(抗酸化作用)があり、体内で多く作られた活性酸素によって引き起こされる老化や生活習慣病を改善する効果があると考えられています。
カロテノイドはリコピンやβ-カロテンなどのカロテン類とルテインやアスタキサンチンなどのキサントフィル類に分けられます。
水に溶けにくく、油に溶ける性質であるため、リコピンを摂る場合は油と一緒に摂ると良いでしょう。
リコピンの効果や働き
リコピンには体内で作られた過剰な活性酸素から体を守る働きがあるため、以下のような効果が期待できます。
- 男性妊活サポート
- 肌の若々しさ
- 生活習慣病の対策
- 若みえ効果
- AGA対策
- ダイエットサポート
それぞれ詳しく解説していきますので、続きをお読みください。
男性妊活サポート
リコピンは男性妊活をサポートする働きが期待されています。
2021年にヒト精液の検査に関するWHOマニュアルが改定され、精液中の酸化ストレス測定の必要性が初めて記載されました。酸化ストレスとは、活性酸素がたくさん作られ、体を守る機能のバランスが崩れた状態です。加齢・睡眠不足・日々のストレスなどが原因となり、精子は酸化ストレスなどのダメージを受けます。
リコピンには活性酸素を取り除く作用があるため、酸化ストレスから精子を守り、男性の妊活をサポートする可能性があります。妊活中の方はリコピンを多く含むトマトなどを毎日の食事に取り入れるのもオススメです。
肌の若々しさ
リコピンは過剰に作られた活性酸素から体を守る作用があるため、肌の若々しさを維持することにも深く関わっています。年齢とともにシミやシワが気になってきた方は、リコピンが多く含まれる食材を食事に取り入れてみてください。
生活習慣病の対策
動脈硬化など生活習慣病によって引き起こされる病気にも効果が期待されています。年齢とともに血管の弾力がなくなり、血管が活性酸素によってもダメージを受けると動脈硬化が進みます。活性酸素を取り除く作用があるリコピンを摂取することは生活習慣病の対策にもつながるでしょう。
地中海地方では多くの料理にトマトとオリーブオイルが使われています。地中海地方の人は、動脈硬化が引き起こす心筋梗塞などの発症が少ないという研究結果も発表されています。生活習慣病を防ぐためにも食事に取り入れてみてはいかがですか。
若みえ効果
リコピンは体がさびる状態を防ぐため、若みえ効果が期待されます。体の老化は活性酸素が除去されず体の中に溜まっていくことで進みます。活性酸素から体を守るリコピンを摂ることで体の老化を事前に防ぐことが期待できるでしょう。
AGA対策
抜け毛の原因の1つは髪や頭皮の老化です。リコピンは老化の原因である活性酸素を取り除くため、抜け毛対策にも効果を発揮すると考えられています。
リコピンには血のめぐりを促す作用も期待されています。体の血のめぐりが改善されることによって、髪や頭皮に行き渡る栄養量や酸素量を増加させ、育毛しやすい環境を整えることができるでしょう。
ダイエットサポート
リコピンの血のめぐりを促す作用は、ダイエットにも効果が期待できます。血流がよくなると代謝もアップするため、エネルギーを消費しやすくなり、体重の減少に影響を与える可能性があります。
リコピン不足による影響とは?
リコピンは目標摂取量が決められていません。リコピンが不足しても栄養不足になることはないでしょう。とはいっても、リコピンには過剰に作られた活性酸素から体を守る作用があるため、リコピン不足になると老化が進むかもしれません。
美容や健康のために、リコピンを多く含む食材を継続的に摂ることがオススメです。
リコピンを多く含む食材
リコピンを多く含む食材といえばトマトを思い浮かべる方が多いでしょう。トマト以外にも赤い色の野菜や果物に多く含まれています。
- トマト
- 金時人参
- スイカ
- ピンクグレープフルーツ
リコピンは赤い色素であるため、天然色素としても利用されています。
リコピンの効率的な摂取方法
リコピンを日常的に摂取するにはトマトがオススメです。トマトは旬の夏だけでなく、1年中スーパーに陳列されていますし、調理しやすい缶詰のトマトも販売されています。トマトスライスやミネストローネスープ、トマト煮込みなどさまざまな料理があるため、毎日食べても飽きにくいのではないでしょうか。
ここではトマトからリコピンを効率的に摂る方法を解説していきます。
加熱加工する
リコピンは熱に強い性質があるため、加熱調理をしてもリコピンの含有量はほとんど変わりません。さらに生でトマトを食べるより、加熱して食べたほうがトマトを多く食べることができます。トマトを食べるときは、加熱調理してリコピンを効率的に摂りましょう。
ミキサーにかけると、トマトの細胞壁が壊れてリコピンの吸収率が良くなると言われています。トマトジュースやトマトピューレーなどの加工された食品を利用するのもおすすめです。
トマトジュースからも簡単にリコピンを摂れますが、ジュースには糖質が多く含まれている場合もあるため注意が必要です。
油と一緒に摂取する
リコピンは水に溶けにくく、油に溶ける脂溶性の色素であるため、油と一緒に摂取しましょう。トマトスライスにオリーブオイルをかけて食べたり、トマトを油で炒めたりするとリコピンの吸収率が高くなります。
トマトをオリーブオイル、たまねぎやにんにくと一緒に加熱調理するとトマトに含まれるリコピンが体の中へより吸収されやすい形へ変化することも報告されています。
リコピン含有量にこだわる
同じトマトでも旬の夏のトマトの方が栄養が豊富です。女子栄養大学生物有機化学研究室の調べでは、リコピン含有量は旬の8月には2月の約3倍であるというデータがあります。旬の時期は積極的にトマトを食べましょう。
完熟して赤くなったトマトほど、多くのリコピンを含んでいます。リコピンは赤い色素であるため、赤みが強いトマトの方がリコピン含有量が高いと考えられます。野菜コーナーでトマトを選ぶときは、より赤みが強いトマトを選びましょう。
リコピンの副作用【過剰摂取】
リコピンの目安摂取量や摂取上限量は厚生労働省からの情報も少なく、具体的に決められていません。フランス人において観察される最も高いリコピン摂取量は、1日約20mgと推定されているため、1日20mgを超えないようにするとよいでしょう。
リコピンが多く含まれるトマトなどの食材にはカリウムも多く含まれています。特に腎臓の機能が低下している人はカリウムが上手く排泄されず体の中に貯まりやすくなります。カリウムをとりすぎると、胸やけやしびれなどを引き起こす高カリウム血症に注意しなければいけません。
また、トマトやスイカは夏が旬の食材であるため、摂り過ぎると体が冷えてしまう可能性もあります。糖質の摂りすぎにもつながるため、リコピンを多く含む食材の摂りすぎに気をつけましょう。
美肌と健康にリコピンを摂取しよう
リコピンには増え過ぎた活性酸素から体を守る作用があり、健康分野でも美容分野でも注目されている物質です。余分な活性酸素を除去することによって、体のサビを防ぐことが期待されています。
リコピンはトマトに多く含まれており、トマトを加熱加工したり、油で炒めたりすることによってリコピンの吸収率が高くなります。
継続的にリコピンを摂って、若々しい肌や健康の維持に努めましょう。