※本記事は管理栄養士が執筆しております※
「高麗人参ってよく聞くけど健康にいいの?」「高麗人参の効果を知りたい」という人に向けて、高麗人参がどのような食品であるか詳しく解説します。
高麗人参の歴史は古く、食用や薬用として利用され、栄養価の高さから疲労回復やストレス緩和などに用いられています。
この記事では効果以外にも、摂取量や副作用など高麗人参について網羅的に解説します。高麗人参に関して知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
- 高麗人参とは?
- 高麗人参の効果や働き
- 高麗人参の1日の推奨摂取量
- 高麗人参の摂取に際して気をつけること
- 高麗人参摂取に関する口コミまとめ
- 高麗人参の働きを理解し、効果的に摂取しよう
高麗人参とは?
高麗人参は朝鮮人参やオタネニンジンともよばれ、薬用や食用として利用されています。
根の部分に有用成分であるジンセノサイドを多く含むとされ、おもに根を乾燥させて用いられている植物です。
高麗人参について分類や栄養素、歴史について解説します。
ウコギ科トチバニンジン属
高麗人参はウコギ科トチバニンジン属の多年草であり、中国や韓国、ロシアなどでみられます。セリ科である野菜の人参とは別種です。
100種類以上もの栄養素を含む
高麗人参は、文部科学省が発行する「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」への記載がなく、国が公表している栄養成分のデータはありません。
一説では、カルシウムや鉄などのミネラル、アミノ酸、ビタミンB群といった100種類以上の栄養素を含んでいるといわれます。
高麗人参が注目されているのは、ジンセノイドと呼ばれるサポニンが含まれていることです。サポニンは活力向上や血流改善、リフレッシュ効果などがあるといわれています。
また、高麗人参のほかにも大豆・大豆製品やごぼう、お茶などに含まれています。
歴史と名前の由来とは?
高麗人参は育つ場所が限られ、収穫に2~6年かかることもあり大変貴重な植物です。中国では代表的な上薬として2000年以上昔から利用されており、不老長寿の作用があるといわれてきました。
日本には奈良時代に伝わり、江戸時代に国内での栽培が成功したともいわれます。
もともとは人参というと高麗人参を指していましたが、現在のセリ科人参が普及するにつれ、呼称が朝鮮人参や薬用人参、高麗人参と変化していきました。
国内では福島県や島根県、長野県などで栽培されています。
高麗人参の加工法
高麗人参は畑から取り出した状態の「水参」から、水参の皮をはがした状態で乾かした「白参」、水参を蒸気で蒸して水分が14%以下になるまで自然乾燥させた「紅参」という風に加工されます。
水参では、水分を多く含むため腐りやすいのがデメリットです。生のまますりおろしや朝鮮料理の1つであるサムゲタンなどで食べられています。
白参は水参よりも長く保存が効きます。皮にジンセノサイドが多く含まれているため、皮を取り除くことで栄養価が低くなるのがデメリットです。
紅参は、蒸気で蒸して乾燥させることで薬効が高まるとされています。長期保存が可能です。
高麗人参の効果や働き
高麗人参の働きとして、次のものが期待されています。
- 疲労回復効果
- 低血圧予防
- 貧血予防
- 動脈硬化予防
- 脳の機能を改善
- ストレス緩和
- 美肌効果
- 鎮痛抑制効果
- 感染症予防
- 脱毛予防
厚生労働省の見解では、これまで報告されている朝鮮人参(高麗人参)に関するランダム化比較試験は、質の高い試験ではない可能性を示しています。
よって高麗人参が健康促進に効果的であるかどうか、理解するには限界があるとしています。この点を踏まえて以下をご覧ください。
疲労回復効果
高麗人参は疲労回復によいとされ、活力向上に用いられています。
低血圧予防
頭痛やめまい、立ちくらみなどを伴う低血圧の原因の1つに、副交感神経の緊張があるとされています。
高麗人参に含まれるサポニンが自律神経の調子を整え、緊張をほぐしてくれる効果があると期待されています。
貧血予防
おもに鉄不足で起こる貧血に、高麗人参が効果的だといわれています。赤血球の生成を促進し、めまいや立ちくらみを予防する効果が期待されます。
動脈硬化予防
カナダで行われた比較試験において、高麗人参が血中の中性脂肪を減らし、動脈硬化を予防する可能性が示唆されました。
脳の機能を改善
高麗人参に含まれるジンセノサイドは脳の受容体を刺激し、認知機能低下を防ぐ効果が期待されています。
ストレス緩和
サポニンの1種であるジンセノサイドが自律神経を整え、倦怠感やいらつきを抑えるのに役立つといわれています。
美肌効果
高麗人参に含まれるサポニンは抗酸化作用をもち、細胞の酸化を防ぐことで肌を美しく保つといわれています。
鎮痛抑制効果
ジンセノサイドの薬理作用として、鎮痛作用があるといわれています。
感染症予防
高麗人参を毎日摂取することで、免疫機能として働くナチュラルキラー細胞が活性化したという実験結果が報告されています。
脱毛予防
まつ毛のケアができるとして、高麗人参のエキスが配合された美容液やクレンジングが販売されています。
高麗人参の1日の推奨摂取量
高麗人参の1日の推奨摂取量は、日本人の食事摂取基準では定められていません。
食材としての高麗人参を手に入れることは難しいため、高麗人参を摂りたい場合はサプリメントを利用するのがおすすめです。
高麗人参の摂取に際して気をつけること
高麗人参を摂る際に気をつけたい、以下の内容について解説します。
- 一般的にいわれる副作用
- 体質によって起こる症状
- エストロゲン作用がある
- 妊娠・授乳中は注意する
サプリメントなどで摂る場合は、飲み始めの時期や量、体調の変化を記録しておくとよいでしょう。
通常であれば副作用はない
健康上問題がない人が高麗人参を摂取する場合は、特に副作用はないとされています。
体質によっては注意が必要
体質によっては、次のような副作用がみられる場合があります。
- 睡眠障害
- 月経異常
- 心拍数増加
- 高血圧・低血圧
- 頭痛
- 食欲不振
- 下痢
高麗人参が原因だと考えられる場合はすぐに摂取をやめ、医療機関に相談してください。
エストロゲン作用に注意
高麗人参の主要成分であるジンセノサイドは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た構造をもつといわれています。
エストロゲンと同じような作用を示すため、エストロゲンの影響を受ける乳がんや卵巣がん、子宮内膜症や子宮筋腫を抱えている人は摂取を控えた方がよいとされています。
妊娠・授乳中、子どもは摂取を控える
一部の専門家は、高麗人参が胎児や乳児によくない影響を与える可能性があると述べています。妊娠中や授乳中の女性、子どもは摂取を控えた方がよいでしょう。
医薬品との相互作用に注意
持病で飲んでいる薬があり、高麗人参の健康食品を利用したい人は医師へ相談することをおすすめします。降圧剤や抗うつ薬などの薬と相性がよくない可能性があります。
高麗人参摂取に関する口コミまとめ
高麗人参について、SNS上で次のような口コミがみられます。
- 高麗人参茶を飲んだら冷え性が改善された
- 頭痛で体調が悪いときに飲んだ高麗人参入りドリンクがよかったのでサプリを買った。
- ワクチンの副反応の倦怠感が高麗人参茶により軽くなった
- 風邪の治りかけに飲んだらだるさを感じなくなり、体が軽くなったと感じた
- 高麗人参ドリンクを飲むと、鼻水やのどのイガイガ、倦怠感が減ったように感じる
高麗人参入りのドリンクやサプリメントにより、冷え性や疲労感、体調がよくなったように感じる人がいます。毎日忙しくて疲れを感じている人は、試してみるのもよいかもしれません。
https://twitter.com/mayuexo5555/status/1576868913258074119
https://twitter.com/smdtdk/status/1512843926729752577
https://twitter.com/yuie617/status/1512255571537559552
https://www.cosme.net/product/product_id/288242/review/503648615
https://twitter.com/11creampuff/status/1620435346256465920
高麗人参の働きを理解し、効果的に摂取しよう
この記事では高麗人参の働きについて解説しました。
高麗人参は疲労回復や貧血予防、ストレス緩和などで用いられています。しかし厚生労働省の見解では高麗人参に関して行われた試験の質は高くないとされているため、さらなる研究が求められます。
また、高麗人参は体質によりめまいや食欲不振などが現れることがあり、妊娠中・授乳中は控えた方がよい食品です。
サプリメントなどで高麗人参を摂る場合は、製品情報を確認し、体調の変化などを記録しましょう。