- EDという言葉を聞いたことがあるけれども、どういう状態なの?
- EDの原因は?
- EDは治療が可能なの?
- EDの治療はどんなことをするの?
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。EDとは勃起不全のことを言い、年齢、生活習慣病などの病気、精神的なストレス、服用している薬などが原因で発症する病気の1つです。
EDはさまざまな原因によって発症するため、原因を特定することが大切です。EDかもしれないと思ったときは早めに医療機関受診し、医師へ相談しましょう。
本記事ではEDについて網羅的に解説しますのでご参考にしてください。
⽬次
- EDとは?【定義】
- EDの症状
- EDの診断
- EDの原因による分類
- EDの治療方法
- ED治療薬
- EDの診療方法
- EDに良くある【Q&A】
- EDには最善の治療法を徹底しよう
EDとは?【定義】
EDとは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発することとED診療ガイドライン第3版で定義されています。Erectile Dysfunctionの略で、勃起不全と訳され、男性であれば誰もが起こり得る身近な病気の1つです。
EDの有病率
EDの有病率は年齢とともに上昇します。EDに関する多くの疫学研究がありますが、調査方法やEDの定義が異なっているため、多数の研究を統合した有病率は分かっていません。おおよその有病率は以下の通りです。
- 40歳未満:1~10%
- 40歳代 :2~15%
- 50歳代 :最もばらつきが大きい年代で 40歳代と60歳代の間の有病率
- 60歳代 :20~40%
- 70歳以上:50~100%
年齢とともにEDの有病率が上がることは全ての研究で共通しています。
EDの発生率
日本でも診療に使われている国際勃起機能スコア(IIEF)を使用した2014年にオーストラリアで行われた研究ではEDの発生率は1年当たり32/1,000人です。
他の研究や前述した有病率を加味するとEDの発生率は1年当たり1,000人中4〜66人と考えられ、有病率と同様に発生率も年齢とともに高くなります。
日本国内では中等度以上のEDの方が1,000万人以上いると推計されています。軽症の方も含めるともっと多くなるでしょう。
EDの症状
EDの症状は勃起不全だけでなくさまざまな症状があります。EDの症状には以下のような症状も含まれます。
- 勃起しない
- 勃起した状態が続かない
- 膣内へ挿入できない
- 途中で中折れする
- 硬さが足りない
満足な性交渉を行う勃起が得られないときはEDに該当する可能性があります。EDかもしれないと悩むことによって、さらにEDが悪化する方もいるため、気になる症状がある人は早めに医療機関を受診し相談してください。
EDの診断
EDはさまざまな原因によって起こるため、慎重に診断されます。国際勃起機能スコア(IIEF5やSHIM)と呼ばれる問診表のセルフチェックに沿って診断されることが多いです。
国際勃起機能スコアでのセルフチェックでは、最近6カ月の状態で以下の5つの質問に回答します。
- 勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか?
- 非常に低い
- 低い(2点)
- 中くらい(3点)
- 高い(4点)
- 非常に高い(5点)
- 性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか?
- 性的刺激はなかった(0点)
- ほとんど,又は全くならなかった(1点)
- たまになった(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々なった(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつもなった(5点)
- 性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- ほとんど、又は全く維持できなかった(1点)
- たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつも維持できた(5点)
- 性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- 極めて困難だった(1点)
- とても困難だった(2点)
- 困難だった(3点)
- やや困難だった(4点)
- 困難でなかった(5点)
- 性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- ほとんど、又は全く満足できなかった(1点)
- たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつも満足できた(5点)
IIEF5とSHIMの違いは質問の2〜5番までに0点の選択肢があるかないかです。一般的に0点の選択肢があるSHIMはEDを発症しているか調べるために使われ、0点の選択肢がないIIEF5は治療に対する反応を観察するために使われています。
合計点数が21点以下の場合は、EDが疑われるとされているため、医療機関を受診して診断を受けましょう。
EDの原因による分類
EDは原因によって大きく4つに分類され、それぞれのEDに合わせて治療が行われます。
- 心因性ED
- 器質性ED
- 混合性ED
- 薬剤性ED
心因性EDは30〜40歳代に多く、妊活のプレッシャーや精神的なストレス、うつ病などの精神的な病気が原因で起こります。
器質性EDは年齢とともに増加する血管や神経の障害によって起こるため、50歳代以降に多く見られます。高血圧・脂質異常症・糖尿病の3大生活習慣病もEDになる原因の1つです。
混合性EDはさまざまな原因が重なり発症し、原因が不明であることも多いでしょう。
薬剤性EDは薬の副作用によって引き起こされるEDです。
EDの治療方法
EDの治療法には薬を使って治療する方法と生活習慣の改善によって治療する方法があります。ここでは、各治療方法を解説しますので、ご参考ください。
ED治療薬
勃起不全に効能と効果が認められているバイアグラが1991年に国内で承認されて、薬によるED治療が一般的になりました。バイアグラだけでなく、レビトラとシアリス(2022年以降はジェネリック医薬品のみ)も国内で承認販売されているため、ED治療薬の選択も可能です。
食事療法
EDの原因となる生活習慣病を予防するためには、食事療法が大切です。栄養バランスが取れた食事を行い、塩分や糖質、脂質を抑え、食べる量を8分目にしましょう。
また、男性の生理機能へも効果があると考えられている亜鉛や良質なタンパク質を積極的にとることもおすすめです。
運動療法
血行不良を改善するために、運動療法が行われる場合もあります。運動する機会がない人は通勤時に目的地の1駅前で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用するなど普段の生活に運動を取り入れてみてください。
運動不足だけでなく、激しい運動も逆効果になる可能性があるため、おしゃべりしながら歩ける程度の負荷になるように注意しましょう。
ストレスの軽減
仕事のストレスや妊活のプレッシャーなど、多くのストレスを抱えている方も多いでしょう。ストレスを軽減するためには、没頭できる趣味や気分転換になる旅行などがおすすめです。
良質な睡眠をとることでストレスの軽減が期待できます。寝る直前までスマートフォンやテレビを見ないようにするなど、しっかりと睡眠を取れる環境を作り、規則正しい生活を送りましょう。
禁煙
喫煙はEDだけでなく多くの病気を引き起こします。禁煙することで、血流の増加や男性ホルモンの分泌改善が期待できます。禁煙外来を受診すると、保険適用で禁煙補助薬を処方してもらうことができるため、禁煙をご検討ください。
禁酒
アルコールには神経を抑制する作用があるため、勃起に必要な神経伝達が抑えられてしまい、勃起に至らない可能性もあります。
また、過度な飲酒によって神経の伝達が正常に働きにくくなると、性的な刺激が陰茎に伝わりづらくなり、ED治療薬の効果が低くなることもあります。アルコールの飲み過ぎがEDの原因かもしれないと判断された時は禁酒を指導されるかもしれません。
EDの診療方法
EDかもしれないと思ったときは病院を受診しましょう。ED治療薬は医師の処方箋が必要な薬であるため、医師の処方箋なしに薬局で購入することはできません。初診でもオンライン診療が可能ですので、外来診療かオンライン診療をご検討ください。
外来診療
医師に直接対面で相談し、原因の特定やED治療薬の処方が行われます。即日、ED治療薬を手に入れることができる場所もあります。通常、ED治療は自費診療ですので、全額自己負担です。診察料や薬代などは各医療機関によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。
オンライン診療
オンライン診療は、医療機関を直接受診することなく、スマートフォンで全国どこからでも受診が可能です。医療機関へ直接受診することに抵抗がある方は、オンライン診療が可能なクリニックをご検討ください。
EDに良くある【Q&A】
EDについて解説してきましたが、疑問点が出てきた方もいるのではないでしょうか?ここではEDによくある質問に回答していきます。
EDが離婚の原因に?
良好な関係を維持するために、夫婦にとっての性交渉は必要な要素です。そのため、EDが離婚の原因になることがあります。EDによって性交渉がない期間が長く続き、「婚姻を継続することが困難な重大な事由」に該当するとみなされた場合、法律的に離婚の原因になります。
EDになりやすい年齢がある?
EDは年齢とともに多く見られる病気です。40代から徐々に多くなり、50歳になる頃には男性の6割以上が経験すると言われています。最近では20〜30代でもEDになる人の確率も高くなっているようです。
EDは遺伝する?
2004年に米国で行われた研究結果では、EDの原因の約4割は遺伝で説明できると報告されています。今後EDになりやすい遺伝子タイプが発見される可能性もあるでしょう。
不妊の遺伝についても研究が進められているところです。
EDに効くツボがある?
EDは中国医学では陽萎と呼ばれます。陰茎の勃起に障害が起こるために、性交ができない病証です。EDに効くツボとして中極(臍の下に指幅4本分下がった所にあるツボ)や気海(臍の下に4.5cm下がった所にあるツボ)が有名ですが、患者さんの体質に合っていないと効果を発揮することが難しくなります。
ED治療としてツボ押しを行う場合、漢方外来などで診察を受けてから、始めることをおすすめします。
EDには最善の治療法を徹底しよう
EDは年齢に関係なく、多くの人が悩んでいる病気です。さまざまな原因があり、EDの影には生活習慣病などの病気が隠れている可能性もあります。ストレスなどの精神的な理由でEDを発症する方は若い方に多い傾向です。
EDは医療機関を受診して診断を受け、今回ご紹介した治療法を実践することで改善される可能性がある病気です。1人で悩まず、EDかもしれないと不安を感じたら、実績豊富な医療機関を受診しましょう。