L-カルニチンの効果や働き|肥満や不妊目的など【摂取しないと後悔する?】

※本記事は薬剤師が執筆しております※

妊活によいサプリや食事を調べてみると、「L-カルニチンを摂った方がよい」といったことを見かけることはありませんか?L-カルニチンは気になるものの、どんな効果があるのか分からない方も多いと思います。

L-カルニチンはダイエットのサポートに役立つ栄養素として有名ですが、実は不妊治療の分野でも研究がすすめられている栄養素のひとつです。ただ、L-カルニチンは加齢により作られる量が減っていくことから、年齢や食事環境に応じて摂取量を増やすことがよいと言われています。

本記事では、L-カルニチンの効果や効率的な摂取方法などを解説します。L-カルニチンの効果が気になる人は最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。

目次

    L-カルニチンとは?

    ダイエットや妊活に良いとされるL-カルニチンですが、どのようなもので、私たちのカラダに必要なものなのか、気になるところだと思います。まずはじめに、L-カルニチンの特徴や歴史について解説します。

    アミノ酸の1種である

    L-カルニチンは、脂質をエネルギーにかえる過程(脂質代謝)で必要になるアミノ酸の一つです。

    私たちが、あらゆる生命活動をするためにはエネルギーが必要になり、不足すると健康なカラダを維持できなくなってしまいます。そのため、L-カルニチンは生命維持に必要なエネルギーをつくるための大切な役割がある栄養素になります。

    歴史と名前の由来とは?

    L-カルニチンの名前は、ラテン語で肉と訳される「carnus(カルニス)」から由来して命名されました。1905年にロシアの研究者により、肉に含まれている物質として発見されたためと言われています。

    実際にL-カルニチンは羊肉や牛肉、豚肉などの肉類に豊富に含まれ、食事からの摂取が可能です。また、カラダの中でも作られ、骨格筋や心筋などに存在してエネルギー代謝に深い関わりをもちます。

    参考元:厚生労働省eJIM

    L-カルニチンの効果や働き

    L-カルニチンの主な働きは、脂質代謝によるエネルギー産生のサポートです。この働きにより、L-カルニチンは脂肪燃焼や疲労回復、運動時のパフォーマンスをあげるなどの効果があると考えられています。

    他にも、妊活のサポートなどさまざまな働きも期待されているようです。ここでは、L-カルニチンの効果についてまとめて紹介します。

    • 男性妊活のサポート
    • ダイエットのサポート
    • 運動時のパフォーマンス対策
    • 生活習慣病の予防
    • 疲労の緩和
    • 不妊体質の改善
    • 老化
    • 2型糖尿病
    • HIV

    なお、一部病気に対する報告も含みますが、治療中の方はかかりつけ医の治療を優先してください。

    男性妊活のサポート

    精子無力症※の患者に、L-カルニチンとアセチルL-カルニチンを組み合わせて6ヶ月飲んだところ、精子の運動率や濃度が良くなったという海外の研究報告があります。

    他にも、精子に対してさまざまな良い研究報告があることから、L-カルニチンは男性妊活のサポートに役立つ栄養素として注目されています。まだ根拠となるデータは少ないため、今後さらなる研究が必要ですが、一部の不妊治療のクリニックではL-カルニチンのサプリメントの取り扱いもあるようです。

    ※精子の運動率がとても低い人

    参考:Andrea Lenzi et al.A placebo-controlled double-blind randomized trial of the use of combined l-carnitine and l-acetyl-carnitine treatment in men with asthenozoospermia.2004

    ダイエットのサポート

    L-カルニチンの代表的な働きが、脂肪燃焼によるダイエットのサポートです。

    脂質代謝は、エネルギーをつくる細胞のミトコンドリアで行われます。そのミトコンドリアにL-カルニチンが脂肪を運んでくれるため、効率よく脂肪燃焼が行われてエネルギーが作られるようになります。ただ、L-カルニチンが不足すると、脂肪が燃焼しきれず、内蔵脂肪や皮下脂肪になり肥満につながるとされています。

    そのため、L-カルニチンは効率よく脂肪を燃焼させてくれるため、ダイエットの心強い味方になります。

    運動時のパフォーマンス対策

    L-カルニチンのエネルギーをつくる働きは、運動時のパフォーマンス対策にもなります。

    運動時にカラダを動かすには、エネルギーが必要です。また、脂質代謝によってエネルギーをうまく使うと疲れにくくなることが考えられています。

    ダイエットに加えて、運動時のパフォーマンスをあげる相乗効果があるため、L-カルニチンの摂取と運動はおすすめな組み合わせです!

    生活習慣病の予防 

    肥満は見た目が気になるだけではなく、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす原因となります。そのため、生活習慣病の予防には、肥満の予防・対策が大切です。

    L-カルニチンの脂肪燃焼の働きが、内臓に余分な脂肪がつくことを防いでくれるため、肥満に関わりが深い生活習慣病の予防につながることが期待されています。

    疲労の緩和

    L-カルニチンのサポートでつくられたエネルギーはダイエット以外にも、疲労緩和の効果も期待できます。

    化学療法を受けたがん患者にL-カルニチンの補充療法をしたところ、疲労の改善がみられた研究報告もあるようです。

    参考元:厚生労働省eJIM

    不妊体質の改善

    複数の研究報告から、L-カルニチンが卵子や精子へよい影響を与える可能性が期待されています。

    男性不妊に対しては、L-カルニチンの補充により精子の運動率や数がプラスの影響になった研究報告が多数あります。また、マウス実験で、L-カルニチンの投与でミトコンドリアの機能低下が改善され、女性の卵胞(卵子を包む袋)の成熟を改善する報告もあります。

    一般的には高齢になるほど妊娠しづらくなるとされ、主な原因は加齢による卵子の質の低下です。卵子の質が低下するメカニズムは現在のところ分かってはいません。ただ、ミトコンドリアの機能低下と「卵子の老化」を関連付ける研究結果が報告されています。

    まだまだ、研究段階ですがL-カルニチンは男女ともに妊活サポートへの効果が期待されています!

    参考元:日本生殖医学会ホームページ

    Kaori Miyamoto et al.Effect of oxidative stress during repeated ovulation on the structure and functions of the ovary, oocytes, and their mitochondria.2010

    老化への影響

    ミトコンドリアの働きが低下する原因の一つは加齢と考えられています。そして、加齢で組織にあるカルニチン濃度が下がるとミトコンドリアの膜が悪くなるため、L-カルニチンが老化に関係している可能性があると言われています。

    複数の研究結果の分析では、アセチルL-カルニチンが軽度な認知機能障害とアルツハイマー病の高齢者の症状の悪化をおさえる可能性が示されています。

    参考元:厚生労働省eJIM

    2型糖尿病

    L-カルニチンを補充することで、筋肉中の脂肪量が減り糖尿病患者のインスリン感受性が改善して血糖値を低下させられる可能性が示された報告があります。

    なお、2型糖尿病とは、血糖値を下げる働きがあるインスリンの分泌が悪くなったり、働きが悪くなることで引き起こされます。

    参考元:厚生労働省eJIM

    HIV

    HIVに感染した患者にカルニチンの補充療法でリンパ球の細胞死を遅らせ、神経障害が軽減し、血中脂質濃度に好ましい影響が生じたという研究報告があります。

    なお、HIVとはヒトの免疫細胞に感染するウイルスのことで、普段発症しないような病気にかかってしまうエイズを引き起こします。

    参考元:厚生労働省eJIM

    L-カルニチンが不足すると

    健康維持に働くLカルニチンが不足してしまうと、どのようなことが起こるか気になるところだと思います。そこで、L-カルニチンの1日の推奨摂取量とL-カルニチン不足によって起こる症状を解説します。

    L-カルニチンの1日の推奨摂取量 

    カルニチンの食事摂取基準は定められてはいません。ただ、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の資料には、「Lカルニチンの1日必要量は200 mg、摂取目安量は約1000mg」と記載があります。L-カルニチン量は体内でもつくられますが、その量は1日あたり約20mg程度でなんと1日あたりの必要量の10%程度。

    そして、カルニチンの作られる量は20代がピークでその後は減っていくとされています。また、L-カルニチンは肉類に豊富に含まれるため、魚や野菜などが中心の和食メニューだとL-カルニチンがなかなか摂取しづらい食事内容と考えられます。

    そのため、L-カルニチンの健康維持の効果を期待するためには、食事環境や年齢にあわせて摂取量を増やすと良いことが考えられています。

    参考:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の資料

    カルニチンの欠乏による症状 

    L-カルニチンが欠乏すると、筋力の低下や運動時の筋肉の痛み、低血糖、脂質代謝異常による症状があらわれるとされています。

    カルニチンの欠乏は、生まれつきの病気や慢性腎不全など特定の病気が原因で起こるとされています。また、他にも口から食事することが難しく腸管から栄養を長期に摂取する時にもカルニチン欠乏症がみられるとされ、予防のためにサプリメントが使われることもあるようです。

    参考元:厚生労働省eJIM

    feedM.E.栄養改善データベースホームページ

    L-カルニチンを多く含む食材 

    L-カルニチンは食事からの摂取も可能です。L-カルニチンを効率よく摂取するためにも、L-カルニチンを多く含む食材をあらかじめ知っておきましょう。

    例えば、運動でカラダを動かすときは、L-カルニチンを多く含む食材を意識した献立をたててみてはいかがでしょうか?普段の食事の献立をつくるときの参考にしてください。

    動物性の食材植物性の食材
    羊肉(マトン・ラム)、牛肉、鶏肉、豚肉、
    タラ、カツオ、マグロ、牛乳
    アスパラガス、全粒小麦粉のパン

    動物性の食材

    L-カルニチンは「肉」に多く含まれます。動物性の食材で肉類以外だと、カツオやマグロなどの魚類にも含まれているようです。また、肉類でも色が赤身のほうがより含まれているため、脂肪がたくさんはいった肉よりは、なるべくサシがはいっていない赤身の肉を選びましょう。

    植物性の食材

    Lカルニチンは動物性の食材に多く含まれていますが、植物性では、全粒小麦粉のパン、アスパラガス、アボカドなどにも含まれています。パンを選ぶ時に、全粒小麦粉のものを意識してみるのもよさそうです。

    参考元:厚生労働省eJIM

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    L-カルニチンの効率的な摂取方法

    Lカルニチンを効率的に取りたい場合、サプリメントでの摂取はおすすめです。L-カルニチンを多く含む食材は肉になります。ただ、L-カルニチンを取ることを意識するあまり、肉が中心の偏ったメニューになることは健康上、おすすめできません。

    L-カルニチン以外にも健康維持に必要な栄養素はたくさんあるため、健康のためにはやはりバランスのよい食事が基本となります。そのため、バランスよい食事を心掛けたうえで、特定の栄養素を補いたいときは、サプリメントでの摂取は効率的だと考えられます。

    L-カルニチンをサプリで取る場合、とくにタイミングのルールはありません。毎日自分が続けやすいタイミングで継続していくことが大切です。

    L-カルニチンの副作用 過剰摂取 

    L-カルニチンを過剰に摂取した場合、吐き気や嘔吐、腹部の痙攣、生臭い体臭などの副作用を引き起こす場合があります。

    過剰な量とは1日3gをサプリメントから摂取した場合に当たり、厚生労働省からは過剰摂取を防ぐために1日1000mgの目安量が定められています。そのため、市販のサプリメントは目安量を超えない量に設定されていることが多いです。また、L-カルニチンはアミノ酸の一種で必要量以上に飲んでも代謝されてカラダの外に排出される可能性が高く、比較的安全な成分とされています。

    ただし、1日の目安量を超えて大量に服用すると、過剰摂取による副作用が起きる可能性が高くなるため、1日1000mgの目安量に注意して継続していくことが大切です。

    参考元:厚生労働省eJIM国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の資料

    L-カルニチンと薬の飲み合わせ 

    Lカルニチンと飲み合わせに影響がある薬がいくつか報告されています。そのため、治療中の方は、かかりつけ医にカルニチンの飲み合わせはあらかじめ確認しておきましょう。

    飲み合わせが報告されている薬影響
    フェノバルビタール、バロプロ酸、フェニトイン、カルバマゼピンなどの抗けいれん薬カルニチン血中濃度の著しい減少の可能性
    ピバンピシリン(抗菌薬)長期投与によりピバロイルカルニチンの排出が増加し、カルニチン欠乏状態になる

    参考元:厚生労働省eJIM

    L-カルニチンを効果的な取り入れ方をしてみよう

    健康なカラダを維持するために必要なエネルギーづくりの手助けをするL-カルニチン。ダイエットのサポートや疲労回復などの効果だけではなく、いまでは妊活のサポート役になることが期待されている栄養素のひとつです。

    ただ、L-カルニチンは加齢とともに減少していくことが知られています。私たちの健康維持の働きを担うL-カルニチンを、食事環境や年齢を考えて、自分にあった摂取量や効率の良い取り方を考えてみてはいかがでしょうか?

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