


牡蠣が妊活にオススメな理由は?調理法や気をつけたいポイントを解説
※本記事は管理栄養士が執筆しております※
「妊活に牡蠣がいいってほんと?」「もっと牡蠣を食べるようにした方がいい?」
亜鉛や鉄、ビタミン類が豊富に含まれる牡蠣は妊活におすすめの食材です。精子の数や運動量といった、男性の妊活において重要な精子の質を高めます。
この記事では妊活に牡蠣がおすすめな理由を知りたい人に向けて、牡蠣の成分や食べるうえでの注意点、一緒に摂りたい食材を網羅的に解説します。牡蠣を使ったレシピも紹介するのでぜひ参考にしてください。
目次
牡蠣の成分や働きは?
牡蠣は栄養豊富な食材で、海のミルクともよばれます。カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル、ビタミンB群やビタミンEが多く含まれています。
牡蠣に含まれる主な成分
栄養成分 | 可食部100gあたり | 1個(約20g)あたり |
エネルギー(kcal) | 58 | 12 |
たんぱく質(g) | 6.9 | 1.4 |
脂質(g) | 2.2 | 0.4 |
炭水化物(g) | 4.9 | 1.0 |
カルシウム(mg) | 84 | 17 |
鉄(mg) | 2.1 | 0.4 |
亜鉛(mg) | 14.0 | 2.8 |
ビタミンE(mg) | 1.3 | 0.3 |
ビタミンB1(mg) | 0.07 | 0.01 |
ビタミンB2(mg) | 0.14 | 0.03 |
ビタミンB12(マイクログラム) | 23.0 | 4.6 |
葉酸(マイクログラム) | 40.0 | 8.0 |
出典:『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
牡蠣に特徴的な成分としてタウリンとグリコーゲンがあります。タウリンはたんぱく質が分解してできるアミノ酸に似た物質であり、コレステロールの吸収を抑える働きや疲労回復効果が期待されています。牡蠣のほかにもアサリやシジミ、イカやタコに多く含まれている成分です。
グリコーゲンは動物の体内に蓄えられている多糖類です。牡蠣やホタテなど動物性食品から摂ったグリコーゲンや、体内で合成されたグリコーゲンは筋肉や肝臓に蓄えられます。筋肉を収縮させるエネルギー源や血糖のコントロールに使われます。
牡蠣は妊活中におすすめな理由
なぜ妊活中に牡蠣がよいとされているのでしょうか。牡蠣に多く含まれる栄養素が妊活におすすめの理由を解説します。
- 男女に効果のある亜鉛
- ビタミンB群が豊富
- 抗酸化作用で血流改善
- 丈夫な体をつくるカルシウム
男女に効果のある亜鉛
牡蠣に豊富に含まれる亜鉛は、セックスミネラルともよばれており妊活に効果的な成分です。精子の運動率を上昇させたり、細胞分裂を促す働きがあります。女性にとっては女性ホルモンの分泌や妊娠の維持に大切な成分です。
ビタミンB群が豊富
牡蠣に多く含まれるビタミンB1やビタミンB2、ビタミンB12、葉酸などのビタミンB群は妊活に必須の栄養素です。体内の酵素反応をサポートする成分で、代謝やエネルギー産生に欠かせません。
ビタミンB群は水溶性であるため、鍋やシチューなどスープごと食べられる料理がおすすめです。ビタミンB1は糖質の代謝に関わり、ビタミンB2はタンパク質の合成に関わります。ビタミンB12は葉酸とともに赤血球を形成する働きがあり、貧血予防に欠かせない栄養素です。
抗酸化作用で血流改善
牡蠣に多く含まれるビタミンEは抗酸化作用があり、血管の老化を予防して血液の流れをよくします。性ホルモンの生成に関与しており、男性の生殖機能の維持や女性の生理不順の改善が期待できます。
ビタミンEは牡蠣のほかに、かぼちゃや赤ピーマン、アーモンドや落花生に多く含まれる成分です。
丈夫な体をつくるカルシウム
カルシウムは成長ホルモンの分泌や筋肉の収縮、神経伝達を正常に保つ働きがあります。骨や歯をつくり、胎児の発育に重要であるため妊活中から不足しないように摂りましょう。
牡蠣のほかには牛乳やチーズ、いわしやしらす干し、豆腐などの豆製品に多く含まれます。
妊活中に牡蠣を食べるときに注意したいこと

牡蠣は妊活中におすすめの食材ですが、食べ方や食べる量に気をつける必要があります。
生食は避け、しっかり加熱する
牡蠣などの二枚貝はノロウイルスや腸炎ビブリオに汚染されているものがあるため、十分に加熱してから食べましょう。
ノロウイルスが付着した牡蠣により、12~48時間後に激しい下痢や腹痛、おう吐を起こすことがあります。食品の鮮度は関係ないため、新鮮な牡蠣でも85℃以上で90秒以上を目安に加熱して、中まで火が通っているか確認して食べてください。
腸炎ビブリオは魚介類を食べて起こる食中毒の原因菌です。水道水でよく洗うことや低温での保存、十分な加熱を行いましょう。また、ボウルやまな板など使用した器具の取り扱いにも気をつけてください。
食べ過ぎない
牡蠣はさまざまな栄養素が摂れる食材ですが、食べすぎると成分によっては過剰摂取となる恐れがあります。
亜鉛の1日の耐容上限量は30~64歳の男性で45㎎、女性で35㎎です。牡蠣1個には約3mgの亜鉛が含まれており、牡蠣を1日に10個以上食べると耐容上限量を超えるおそれがあります。1日に食べるのは3~5個程度とし、食べすぎないようにしましょう。
牡蠣と一緒に食べたい食材

牡蠣と一緒に食べたい食材を紹介します。牡蠣と一緒に調理しておいしく、効率よく栄養素を摂りましょう。
- レモン
- 卵
- ほうれん草
レモン
牡蠣に含まれるカルシウムや鉄は、ビタミンCやクエン酸と一緒に取ることで吸収率がアップします。クエン酸にはキレート作用とよばれるミネラルを包みこんで吸収しやすくする働きがあり、ビタミンCはクエン酸をサポートします。
レモンのほかに、クエン酸が含まれるグレープフルーツやお酢、梅干しやビタミンCが豊富なパプリカや芽キャベツ、ブロッコリーなどの野菜を食べましょう。
卵
卵は牡蠣と同様アミノ酸を豊富に含んでおり、タンパク質のほかにも脂溶性ビタミンやミネラルを摂ることができます。調理がしやすく、牡蠣との相性も抜群です。牡蠣のオムレツやオイスター炒め、卵とじなど、牡蠣の風味にまろやかさをプラスして食べやすくしてくれます。
ほうれん草
ほうれん草をはじめとしたピーマン、人参などの緑黄色野菜は、ビタミンCやβ-カロテン、食物繊維が豊富な食材です。ほうれん草は鉄や葉酸も多く含むため、貧血の予防にも効果的です。牡蠣と一緒に炒めたり、クリーム煮やグラタンにしてもよく合います。
妊活におすすめ!牡蠣レシピ
牡蠣と一緒に食べたい食材を使ったレシピを紹介します。簡単にできるのでぜひ作ってみてください。
- 牡蠣のレモンソテー
- 牡蠣の卵雑炊
- 牡蠣とほうれん草のグラタン
牡蠣のレモンソテー
2人分の材料
牡蠣 | 10個(200g) |
水(下処理用) | 400ml |
塩(下処理用) | 小さじ2 |
塩こしょう | 少々 |
小麦粉 | 適量 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
★バター | 10g |
★しょうゆ | 小さじ2 |
★レモン汁 | 大さじ1 |
レモン(薄切り) | 適量 |
パセリ(みじん切り) | 適量 |
作り方
- ボウルに牡蠣・水・塩を入れてよく揉み、流水で汚れを落とす
- キッチンペーパーで水気を取り、塩こしょうをして小麦粉をまぶす
- フライパンにオリーブオイルを引き、2を両面しっかり焼く
- ★の調味料を加えてふたをし、3~5分蒸し焼きにする
- 牡蠣に火が通ったら皿に盛り付け、レモンとパセリを飾る
牡蠣とレモンを組み合わせることで栄養素を吸収しやすくなり、バターの風味がよい一品です。
牡蠣の卵雑炊
2人分の材料
ご飯 | 2杯分(250g) |
牡蠣 | 100g |
水(下処理用) | 200ml |
塩(下処理用) | 小さじ1 |
しょうが(千切り) | 10g |
卵 | 2個 |
水 | 600ml |
★料理酒 | 大さじ1 |
★うすくちしょうゆ | 大さじ1 |
★みりん | 大さじ1 |
★顆粒和風だし | 小さじ1 |
三つ葉(1cm幅) | 10g |
作り方
- ボウルに牡蠣・水・塩を入れてよく揉み、流水で汚れを落とす
- キッチンペーパーで1の水気を取る
- 鍋に水、★の調味料、しょうがを入れて煮立たせる
- ご飯と牡蠣を入れて5分ほど煮る
- 牡蠣に火が通ったら溶いた卵を回し入れる
- 器に盛り付け、三つ葉をのせる
タンパク質やビタミンがしっかり摂れ、優しい味付けで体が温まる一品です。
牡蠣とほうれん草のグラタン
2人分の材料
牡蠣 | 8個(150g) |
水(下処理用) | 400ml |
塩(下処理用) | 小さじ2 |
塩こしょう | 少々 |
小麦粉 | 適量 |
ほうれん草 | 1束(200g) |
サラダ油 | 大さじ1/2 |
バター | 20g |
玉ねぎ(薄切り) | 1/2個(100g) |
小麦粉 | 大さじ2 |
★牛乳 | 300ml |
★固形コンソメ | 1個(5g) |
★塩こしょう | 適量 |
ピザ用チーズ | 50g |
パン粉 | 大さじ2 |
作り方
- ボウルに牡蠣・水・塩を入れてよく揉み、流水で汚れを落とす
- キッチンペーパーで1の水気を取り、塩こしょうをふって小麦粉をまぶす
- ほうれん草はゆでて根元を取り除き、幅4cm程度に切る
- フライパンに油を引き、2を入れて両面をしっかり焼く
- 牡蠣を取り出し、フライパンを軽く洗ってからバターを入れ、玉ねぎを炒める
- 5に小麦粉を加え、混ぜ合わせる
- 調味料★を入れて味を調え、かき混ぜながら煮立たせる
- 牡蠣を加えて弱火で2分ほど加熱し、ほうれん草を加えて耐熱皿に盛る
- チーズとパン粉をふり、オーブントースターで焼き色がつくまで焼く
牡蠣とほうれん草でミネラル、ビタミンがたっぷり摂れるグラタンです。
まとめ
牡蠣は亜鉛や鉄、ビタミン類を豊富に含んでおり、妊活中におすすめの食材です。牡蠣に多く含まれる亜鉛は、男性の精子の質を高めたり、女性のホルモン分泌や妊娠の維持に大切な成分です。牡蠣を食べるときは85~90℃で90秒以上を目安に十分に加熱しましょう。ぜひレシピを参考に、栄養満点な牡蠣料理を作ってください。