妊活中にお酒を飲むと危険?副作用や適量について今すぐに確認しよう
妊活と栄養
2022.11.19

妊活中にお酒を飲むと危険?副作用や適量について今すぐに確認しよう

※本記事は薬剤師が執筆しております。

「妊活したいけれどお酒は控えないといけないかな…」と、普段からお酒を飲んでいると疑問に思う女性は多くいると思います。

お酒は胎児の発育に悪影響を起こしてしまうので、妊娠前、妊娠中、授乳中(産後)でお酒との付き合い方は大きく変わります。また、お酒以外にも注意する飲み物や食べ物も存在します。

今回は、妊活中のお酒との付き合い方について時期ごとに説明し、お酒以外に注意する飲み物、食べ物から妊活中に推奨される飲み物まで幅広く説明していきます。

⽬次

  1. 妊活中のお酒について
  2. アルコール以外で妊娠中に控えるべき飲み物とは
  3. 妊娠中はアルコールが含まれる食べ物にも要注意
  4. 妊活中にお酒を飲む頻度や注意点
  5. 妊活中に飲みたい飲み物
  6. お酒以外の食べ物にも注意しよう

妊活中のお酒について

妊活中のお酒との付き合い方は、大きく分けて、妊娠前、妊娠後、授乳中で変わってきます。以下で詳しく紹介します。

妊娠前:基本的に問題ない

妊娠前は基本的に問題ありません。普段通りお酒を飲んで大丈夫です。

しかし、飲み過ぎると妊娠の確率を下げることが分かっていますので、適量を心がけましょう。

妊娠後:必ず控えよう

妊娠中は必ず控えなくてはいけません。お酒は、胎盤を通過して胎児の成長に大きな影響を与えてしまいます。

アルコールの影響を受けた胎児は、胎児性アルコール・スペクトラム障害を発症し、特徴的な顔つき、低体重、脳の障害を抱える恐れがあります。

治療方法は見つかっていません。とにかくお酒を飲まないことが重要です。また、早産、流産、分娩時の異常が発生するリスクも上がると言われています。

授乳中:母乳にアルコールが含まれる

母乳は、母親の血液から作られています。母親がお酒を服用すると、アルコールが母乳に移行するので、乳児に傾眠、筋力低下、成長障害が起きてしまいます。乳児は肝臓の機能が未発達で、少量でも思わぬ影響が出ることがあります。

また、アルコールは母乳を作るホルモンのオキシトシンの分泌を減らしてしまいますので、飲酒はできるだけ控えた方がいいでしょう。

ただ、ずっと我慢してばかりいるとストレスが溜まってしまいます。嗜む程度なら問題はありませんが、飲酒した時は少なくとも2時間は空けて授乳しましょう。

アルコール以外で妊娠中に控えるべき飲み物とは

今まで当たり前のように飲んでいても、妊娠中は胎児に思わぬ影響が出てしまう飲み物は他にもあります。気づかないうちに飲んでしまっていた…とならないように、事前に確認しておきましょう。

カフェイン

カフェインは中枢神経を刺激する作用があり、妊婦が摂り過ぎると不眠、脱水症状が出ますし、低体重児になるリスクが高まります。適量は、コーヒーだと1日2杯までです。

カフェインレスのコーヒー等、カフェインレス飲料も市販されていますので、妊娠中は置き換えてみてもいいでしょう。

カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、ウーロン茶にも豊富に含まれていて、水分補給で多く飲んでしまい摂りすぎていることがあります。気を付けましょう。

糖質が多い飲み物

糖質が多い飲み物は、血糖値を急激に上げてしまい、妊娠糖尿病になったり胎児の発育に悪影響を与えたりします。

妊娠糖尿病は、妊娠することで血糖値を下げるインスリンの効き目が悪くなってしまい、普段の食事量でも血糖値がなかなか下がらず、高血糖になってしまう病気です。

妊娠糖尿病のほとんどは産後には治ります。しかし、妊娠中の高血糖は、胎児の奇形、発達障害、黄疸、胎児死亡等のリスク、妊婦の流産、早産、妊娠高血圧症のリスクを増やしてしまいます。

一見、健康にいいイメージのスポーツドリンクでも糖分は20〜30g含まれていて、いつの間にか糖質を多く摂ってしまうことがあるので注意しましょう。

妊娠中はアルコールが含まれる食べ物にも要注意

アルコールと言えばお酒のイメージが強いですが、調味料としてお酒を使用している食べ物が多くあります。食べ物でも摂りすぎると妊婦、胎児に影響が出ますので気をつけましょう。

例えば、奈良漬、かす漬け、洋酒入りチョコレート、人気洋菓子のカヌレ等にもアルコールが含まれています。パッと見ても分からないものが多いので、成分表示に「アルコール〇%」「洋酒」等の記載、妊娠中は控える旨の注意書きがないか確認しましょう。

妊活中にお酒を飲む頻度や注意点。

 

妊娠中はお酒は服用できませんが、妊活中は適量であればお酒を飲むことができます。

ただ、妊娠のごく初期は悪阻等の体調変化がないので、本人でも妊娠していることに気づいていないことが多いです。

「妊娠していたのにお酒を飲んでしまっていた」という状況もありますので、妊活を意識している人は、できるだけ飲酒は避けたほうがいいでしょう。

ここでは、妊活に影響しないお酒の適量、お酒を飲まなくても楽しめる方法を説明していきます。

1日に2杯までに抑える

海外の研究で、1週間に14杯以上飲酒をした女性は、妊娠率が18%低下したという報告があります。

下記の用量をそれぞれ1杯と換算し、1日平均2杯、1週間で合計14杯までにして飲み過ぎないように注意しましょう。

  • 缶ビール:1本
  • ワイン:グラス1杯
  • ウイスキー、焼酎、ジン:20ml

週2日の休肝日を作る

アルコールは肝臓で代謝され、分解されていくので、肝臓に負担をかけています。肝臓は沈黙の臓器と言われていて、負担がかかっていても症状がないのが特徴です。そのため、定期的に肝臓をケアすることが大切です。

また、飲み続けていると飲まずにはいられなくなってしまい、アルコール依存症のリスクが上がります。

肝臓の健康のためには、適量飲酒を心がけ、週2日の休肝日を作ることで肝臓の回復を助け、アルコール依存症の予防にもつながります。

就寝前の飲酒は控える

就寝前の飲酒は一時的には寝つきが良くなりますが、飲酒していないときよりも睡眠が浅くなり、夜中に目が覚めることが増えてしまいます。結果的に全体の睡眠の質は低下します。

深い睡眠は、成長ホルモンが分泌され、臓器の修復や自律神経を整え、脳の修復を行う重要な時間帯です。妊活中は、健康のためにも睡眠の質を上げることが重要です。

飲酒は、就寝の3〜4時間前には済ませてしまいましょう。

ノンアルコールに変える

最近ではノンアルコールのビール、発泡酒が増えてきています。

ノンアルコール飲料は、お酒の風味によく似せて作られた飲料で、アルコール含有量は1%以下と定められています。

つまり、アルコールが0.00%のものもあれば、多少含有しているものもあるので、含有量は確認し、飲み過ぎには注意しましょう。

米麹の甘酒に変える

甘酒には2種類あり、酒粕と米麹から作られるものがあります。

酒粕の甘酒はアルコールが入っていますが、米麹の甘酒はアルコールを含んでいません。

米麹の甘酒には、ビタミン、ブドウ糖やオリゴ糖を含んでいて「飲む点滴」と言われるほど栄養価が高く飲みやすいのが特徴です。

妊活、妊娠中、産後どのタイミングでも勧められる飲み物です。

妊活中に飲みたい飲み物

妊活中はストレスを溜めないこと、十分な栄養を摂ることが重要です。

ここでは、妊活中に飲んでもらいたい飲み物を紹介します。

豆乳

豆乳にはイソフラボンが含まれていて、女性ホルモンのエストロゲンと働きが似ています。

エストロゲンは、女性らしい体を作るのに必要なホルモンで、子宮内膜を厚くし受精卵を着床しやすくします。ビタミンやタンパク質も含まれていて、ホルモンや筋肉を作る原料になるので積極的に取り入れていきましょう。

ハーブティー

ハーブティーは植物の葉、花、茎等を乾燥させたもので、お茶にすると香りが良く、色が鮮やかで気分転換やリラックスに効果的です。お湯で煎じて温めて飲むことができるので、冷え性予防にも利用されています。

例えば、ローズヒップティーはビタミンA、C、Eが含まれていて、抗酸化作用が期待されますし、ラズベリーリーフにはビタミンB、C、Eと鉄分が含まれているので、鉄分補給に向いています。

ハーブティーにはそれぞれ効能があるので、自分に合うものを取り入れてみましょう。

スムージー

スムージーとは、氷、凍らせた野菜や果物をミキサーにかけて飲み物にしたものです。ヨーグルトや豆乳、牛乳、ハチミツ等を入れて味を整えることもあります。

野菜や果物を組み合わせてアレンジができ、ビタミン、鉄分、ミネラル等を1度に摂ることができます。食事が進まない時でも、スムージーなら好みに味付けにできますし、手軽に摂れるのが魅力です。

お酒以外の食べ物にも注意しよう

お酒は妊娠前、産後は適量や間隔を守れば大丈夫ですが、妊娠中は胎児に悪影響を与えてしまうので飲むことはできません。

食べ物にも、風味を良くするためにお酒が使われている物があります。うっかり食べてしまって後悔することがないように、アルコールを含む食べ物は事前に確認しておくことが大切です。

ノンアルコール製品や甘酒、ハーブティ等の飲み物も上手く取り入れて、ストレスを軽減しながら充実した妊活を続けましょう。

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