※本記事は薬剤師が執筆しております※
なぜカフェインを摂取すると勃起力が向上するのかについて知りたい方は多いのではないでしょうか?
カフェインには末梢血管拡張作用や興奮作用などの働きがあり、勃起に必要な血液の流入に良い影響を与え、性欲が増強され、性行為に積極的になるので、勃起力が上昇すると考えられます。
この記事では、カフェインで勃起力が向上するメカニズムと注意点について紹介します。ぜひ、最後まで読んでください。
目次
- カフェインとは
- カフェインの効能
- 勃起の仕組み
- カフェインの効能と勃起の関係性
- カフェイン摂取の際の注意点
- 勃起改善のためのカフェイン摂取に関する推奨
- まとめ
カフェインとは
カフェインとは、コーヒー豆やカカオ豆、紅茶・緑茶などに多く含まれる天然成分の1つです。正式には1,3,7-トリメチルキサンチンと言い、窒素を含むアルカロイドという有機化合物としても知られています。カフェインは覚醒作用、鎮痛作用などの効果を持っています。
1819年にドイツ・ハンブルクの化学者、フリードリープ・フェルディナント・ルンゲがコーヒーから単離精製し、発見したのでドイツ語でコーヒーを意味するカッフェ(Kaffe)からカフェインと呼ばれるようになりました。
カフェインの効能
カフェインの効能では覚醒が有名ですが、ほかにはどんなものがあるのでしょうか?
ここではカフェインの効用について、覚醒を含めて6つ紹介します。
- 覚醒
- 鎮痛
- 利尿
- 興奮
- 血管拡張
- 疲労回復
以下で、1つずつ詳しく説明します。
覚醒
カフェインの効果で最も有名なのが覚醒です。脳内には、睡眠を促進する神経伝達物質の受容体が多くあり、カフェインはこの受容体と最大で50%結合します。その結果、睡眠が抑制され、覚醒すると言われています。
私たちが眠気覚ましにコーヒーやお茶を飲んでいるのは、この覚醒効果のためです。
鎮痛
頭痛などの痛みに対してもカフェインは有用です。痛みのメカニズムはよく分かっていませんが、カフェインは脳の血管を収縮させる作用があるため、血管拡張による頭痛に効果があると考えられています。
この鎮痛効果を活用し、カフェインは多くの風邪薬や頭痛薬に含まれています。
利尿
カフェインには、利尿作用があり、むくみの予防や改善に効果があります。これは腎血管が拡張し、また尿細管での水分の再吸収抑制のためで、尿量が増加し、排尿が促進されます。
眠気覚ましにコーヒーを飲むと尿量が増え、トイレが近くなるのはこの効果のためです。
興奮
カフェインはアデノシンという神経を鎮静させる物質と化学構造が似ているため、その受容体に結合し、その結果、アデノシンの働きが阻止されて神経を興奮させます。
カフェインの過剰摂取で中枢神経系が過度に刺激されることになり、めまい、心拍数の増加、不安、不眠が起こります。消化器官への過度の刺激で起きるのは、下痢、吐き気、嘔吐などです。
血管拡張
カフェインが脳の血管を収縮させるのとは対照的に末梢血管に対して示すのは血管拡張作用です。これは、カフェインがカリウムチャネルを介さず内皮機能依存で血管に作用するためと考えられています。
この効果のためコーヒーを飲むことで、カフェイン以外の香気成分などと相乗効果を発揮して、冷え解消に役立つことが知られています。
疲労回復
カフェインには運動中の疲労を軽減し、長時間の運動を可能にしたり、運動中の集中力を高めたりする効果があると言われています。
一般的に疲労回復には休息時に優位になる副交感神経を高めていく必要がありますが、カフェインには交感神経を高める作用があります。したがってカフェインにあるのは疲労回復ではなく、運動中の集中力を高めて疲労を感じさせない力です。
勃起の仕組み
勃起は、神経、血管、心理的要因が重なることが必要です。性的刺激や大脳からの命令があると、陰茎への神経が陰茎の静脈平滑筋を弛緩させるため血管が拡張し、陰茎組織の内側に血液が一杯にたまり、その結果、勃起します。
したがって勃起不全は、血管、神経、精神的のどこかに原因がある場合に発症します。
カフェインの効能と勃起の関係性
カフェインには興奮、血管拡張、疲労回復効果があるため、勃起にプラスに働きます。
定期的なカフェイン摂取で末梢血管を拡げることで、陰茎への血流も良くなり、勃起力の維持にもつながります。
カフェイン摂取の際の注意点
カフェイン摂取の際の注意点にはどのようなものがあるでしょうか?
ここではカフェイン摂取の際の注意点を4つ紹介します。
- 利尿作用によるトイレの頻度
- 過剰摂取による中毒症状
- 胃の不調を起こす恐れ
- 亜鉛の吸収を妨げる
以下で、1つずつ詳しく説明します。
利尿作用によるトイレの頻度
利尿作用があるため、トイレの頻度が増え、むくみの予防や解消に役立ちます。しかしカフェインの摂りすぎは、むくみを悪化させます。理由は、尿と一緒にカリウムが排出されるためです。
カリウムには塩分を排出する作用がありますが、カフェインの利尿作用でカリウムが排出され不足すると体内に塩分が溜まり、むくみやすくなります。
過剰摂取による中毒症状
カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系が過剰に刺激され、めまい、心拍数の増加、震えなどの身体症状、イライラ感、興奮、不安、不眠などの精神症状が起こる可能性があります。
カフェインを含有するエナジードリンクを大量に飲んだために中毒死した例もあります。
さらにカフェイン摂取で心配なのは依存症です。カフェインは摂取を繰り返すことにより、少量のカフェインでは効果が感じられず、次第に量が増えていくのがその仕組みです。
胃の不調を起こす恐れ
カフェインを大量に摂取すると、消化器官への刺激で吐き気、嘔吐を起こす場合もあります。これは、カフェインの胃液分泌促進作用によるものです。
カフェインの大量摂取が原因で起きる消化器症状には、ほかに下痢、腹痛などの症状もあります。
亜鉛の吸収を妨げる
カフェインは亜鉛などのミネラルの吸収を阻害します。
亜鉛はたんぱく質の合成や遺伝子発現などに関係するので、葉酸とともに妊活中、妊娠中には普段より多く摂取することが推奨されています。亜鉛は体内の多くの酵素に含まれ、また味覚を正常な状態にしておくために必要な栄養素なので、妊活中でなくとも適切な量を摂取する必要があります。
勃起改善のためのカフェイン摂取に関する推奨
勃起改善のためのカフェイン摂取する際のおすすめとは何でしょうか?
ここでは勃起改善のためのカフェイン摂取に関する推奨事項2つを紹介します。
- 成人男性に推奨される適切なカフェイン摂取量
- 適切なカフェイン摂取のタイミングや頻度とは?
以下で 1つずつ詳しく説明します。
成人男性に推奨される適切なカフェイン摂取量
カフェインが体に及ぼす影響には個人差があります。そのため日本では推奨量などを設定していませんが、国によっては具体的な数字を提示しています。
2010年にカナダ保健省が発出したカフェイン摂取についての注意喚起では「健康な成人は最大400mg/日(コーヒーをマグカップ(237ml入り)で約3杯)までとする」と記載されています。
適切なカフェイン摂取のタイミングや頻度とは?
カフェインの血中濃度には個人差がありますが、摂取後30分~2時間位で最大、半減期(効果が半減する時間)は2~8時間と言われています。そのため、夜間睡眠に影響が出ないように、カフェインはできるだけ夕方以降の摂取は避けましょう。
また、食前・食後にカフェインを摂取するのも控えましょう。食事直後にカフェインを摂取すると、摂取した亜鉛がカフェインと結びついてしまうからです。カフェインを摂取する場合は、食後1時間以降が良いでしょう。カフェインを摂取した後に食事する場合は、同じく1時間以上、間を空けてからにしましょう。
推奨摂取量400mgを2〜3回に分けて、食事前後1時間を避けた日中に摂取するのが良いでしょう。
まとめ
カフェインで勃起力が向上するメカニズムと注意点について紹介してきました。
カフェインは勃起に必要な血液の流入に良い影響を与え、性欲が増強され、性行為に積極的になるので、勃起力が上昇すると考えられます。
カフェインは日常生活で手軽に摂取できます。勃起力向上のために、過剰摂取による中毒症状などに注意しながら、推奨される摂取量、タイミング、頻度でカフェインを摂取しましょう。