AGAの進行速度が気になっていて、AGAのタイプ別、特徴別の進行速度について知りたい方は多いのではないでしょうか?
AGAの進行スピードには個人差があり、個人の発毛サイクルや遺伝、生活環境が関係しています。
この記事では、AGAのタイプ別や特徴別の進行速度について解説します。ぜひ、最後まで読んでください。
目次
- AGAの進行速度は発毛サイクルが関係している?
- 一般的な発毛サイクルとは
- AGAの進行スピードには個人差がある?
- AGA進行速度の個人差を左右する要素は?
- AGAの種類別の進行パターンとは
- AGAの進行速度を遅らせるためにできること
- まとめ
AGAの進行速度は発毛サイクルが関係している?
AGAは発毛サイクルの「成長期」の毛髪に作用し、通常は成長期の期間である約2年~6年を徐々に1年から約数か月という期間に短縮してしまうことによって発現します。成長期が短縮すると発毛サイクル自体が早くなるため、抜け毛量が増えてしまいます。また、本来は長くて太い髪に育つはずの毛髪が「短く細い」状態で成長がストップし、頭皮を髪の毛がしっかりと覆えず、前頭部の額や頭頂部の毛髪の密度低下を起こし、薄毛の症状がはっきりします。
なお、こうしたAGAが原因で、発毛サイクルの成長期が短縮して毛髪が「短くて細い」状態になってしまうことを毛髪の「軟毛化」や「ミニチュア化」と呼びます。
一般的な発毛サイクルとは
発毛サイクルは毛1本ずつ異なり、男性3~5年、女性4〜6年が1サイクルと言われています。AGAではない、通常の発毛サイクルは下記の3つの状態から成っています。
- 成長期
- 退行期
- 休止期
髪が成長する段階が成長期です。毛母細胞が分裂して髪の毛が伸びますが、その伸びは1日0.3〜0.4mm、1年で約15cmと言われています。全体の85~90%が成長期の髪の毛です。
成長期の次の段階が退行期です。毛母細胞が分裂するためには、毛乳頭細胞の指令や栄養の供給が必要ですが、毛乳頭細胞の働きが衰えると、髪が成長しにくくなります。退行期には毛乳頭細胞が毛母細胞から離れるので、指令や栄養の供給が弱くなり、髪の成長が鈍化します。退行期は2~3週間、髪全体の約1%が退行期の髪の毛です。
髪の成長が止まった状態が休止期です。毛乳頭細胞が縮小し、指令や栄養の供給が停止します。通常、退行期は2~3カ月続き、休止期の髪の毛は全体の10~20%です。
毛乳頭細胞の活動再開で、新しい毛が古い毛を押し出して、古い毛が抜けます。人間の1つの毛穴から出る毛髪はヘアサイクルを40~50サイクル繰り返した後、完全にその細胞分裂を止めることが判明しています。
発毛サイクルの乱れで起きるのは、成長期の短縮です。髪が伸びるのは成長期なので、発毛サイクルが乱れてしまうと髪の毛が十分に成長せず、短くて細い髪が増えます。薄毛とは、短くて細い髪の毛が部分的に増加し、地肌が見えるようになった状態のことです。
髪の毛は、発毛サイクルのために、1日あたり50~100本抜けますが、自然脱毛のため心配はいりません。しかし、これ以上脱毛する場合は、頭皮や髪に問題が発生している可能性があります。いつも以上に抜け毛がある場合は要注意です。
AGAの進行スピードには個人差がある?
AGAの進行速度には個人差がありますが、本来ゆっくりと進行し、急激に薄毛の部分が目立つというようなことはありません。
急に抜け毛や薄毛が目立つような場合は、他の脱毛症も一緒に起きている可能性があります。一緒に起きる可能性のある脱毛症は、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」「脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)」「粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)」などです。
薄毛や抜け毛が起きる原因はいろいろなので、急激にAGAが進行したように感じる場合、なるべく早めに専門医を受診しましょう。
AGA進行速度の個人差を左右する要素は?
AGA進行速度の個人差を左右する要素にはどんなことがあるでしょうか。
ここでは、AGA進行速度の個人差を左右する要素を2つ紹介します。
- 個人の発毛サイクル
- 遺伝や生活環境
以下で、1つずつ詳しく説明します。
個人の発毛サイクル
発毛サイクルも個人でスピードが異なるため、変数になりえます。個人の発毛サイクルは、毛母・毛乳頭相互作用と呼ばれている、毛乳頭細胞と毛母細胞との間で行きかう種々の細胞増殖因子や細胞外マトックスを介した細胞間の クロストーク(やり取り)によって制御されています。
遺伝や生活環境
AGAの発現は遺伝による影響が大きく、遺伝に加えて生活環境(例えばストレス負荷が高い環境か)によってもAGAが発症するかどうかの差は生じます。
AGAで遺伝で引き継がれやすい原因・因子は以下の2つです。
- 5αリダクターゼの活性度
- 男性ホルモンレセプター感受性
どちらか一方、もしくは両方を親から引き継いでいる子供のAGAは発症可能性が高いです。
5αリダクターゼ活性が高いと、DHT(ジヒドロテストステロン)という強力な男性ホルモンを過剰生成する体質になる可能性が高いです。5αリダクターゼ活性を持つ遺伝子は優性遺伝するので、両親のうちどちらか一方に活性を持つ遺伝子があれば、子どもにも引き継がれます。
男性の性染色体はXY、女性の性染色体はXXと表せます。男性は、父親のY染色体と母親のX染色体を受け継いでXYになります。つまり、男性のX染色体は母親から受け継いだものです。そして、男性ホルモンレセプター感受性に関する情報はX染色体上に存在します。そのため、男性ホルモンレセプター感受性は母親から引き継ぎます。母方の祖父や曽祖父が薄毛である場合は男性ホルモンレセプター感受性が強い可能性があります。
しかし、男性ホルモンレセプター感受性が高い可能性が遺伝しているからと言って、必ずAGAが発症すると決まっているわけではありません。遺伝してしているのは「AGAを発症しやすい」ということだけなので、薄毛にならない可能性も十分あります。
AGAの種類別の進行パターンとは
AGAの種類別の進行パターンにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、AGAの種類別の進行パターンを4つ紹介します。
- つむじハゲなどのO字型AGAの進行
- 前髪後退などのM字型AGAの進行
- 前からも上からも、U字型AGAの進行
- その他、若ハゲの一般的な進行は?
以下で、1つずつ詳しく説明します。
つむじハゲなどのO字型AGAの進行
O字AGAは頭頂部つむじ周辺から始まり、アルファベットのO字型のように頭頂部全体へと進行するのが特徴です。頭頂部なので自分では確認しにくいため、他の人からの指摘で初めて気づいたというケースも少なくないです。心配な方は、自分の手で頭頂部を確認したり、手鏡で定期的にチェックするようにしましょう。
特に、つむじとO字AGAの初期症状の違いが分かりづらいので、注視する必要があるでしょう。中期以降は見える地肌面積がふえるため気づきやすいですが、AGAが進行すると前頭部もだんだんと薄くなりはじめるので、最終的には頭頂部分と繋がる可能性もあります。
前髪後退などのM字型AGAの進行
M字型AGAは多いタイプのAGAで、額の両側の上部から頭頂部に向かって、生え際が少しずつアルファベットのM字型のように後退するのが特徴です。「富士額」といって、生まれつき生え際がM字型をしている方もいますが、自分の生え際の状態がM字型AGAか確認したい場合の目安は2つです。
M字型AGAかどうかの目安の1つ目は、眉を上げた時に額できる一番上のシワと生え際の最も後退している部分との距離が、指2本分より広ければM字型AGAであると言えます。もう1つの目安は、頭頂部と耳の穴をつなぐ「頭頂線」から生え際M字の先端部分が、2cm未満であればM字型AGAとジャッジすることができます。
M字型AGAは、初期〜中期では生え際中央部を残して少しずつ進行しますが、中央部も後退するのが末期です。額全体の面積が少しずつ拡大していくだけではなく、そのままU字型AGAへと進行することもあります。
前からも上からも、U字型AGAの進行
U字型AGAは、前頭部がアルファベットU字型のように薄毛が進行します。生え際と頭頂部の両方で薄毛が確認できるので、多くの人に薄毛の印象を持たれてる可能性が高いAGAです。M字型とO字型の併発なので、M字型・O字型それぞれを単体で発症している場合よりもAGAは進行していると言えるでしょう。
U字型AGAは前頭部から頭頂部までなので、自分でも気がつきやすいです。広範囲で薄毛が進行しますが、太い血管がある側頭部や後頭部では最後まで毛髪が残ることが多いというのも特徴です。
その他、若ハゲの一般的な進行は?
若ハゲとは10代〜20代前半で発症する若年性脱毛症のことで、早いと高校生から症状が出てきます。若ハゲの多くはAGAです。
若ハゲは早期に対処すれば改善可能なので、「若ハゲなのかもしれない」と心配な方は判断基準から自分の状態を見直してみましょう。
【若ハゲの判断基準】
- 短い毛を含め抜け毛が増えた
- 以前より生え際が後退している
- つむじ周辺が薄くなってくる
- 髪が細くなり地肌が見えやすくなってきている
若ハゲの原因には、過度なストレスや栄養不足、睡眠不足などが挙げられます。遺伝的素因に過度なストレスや睡眠不足が重なったら、高校生でAGAを発症する場合もあるでしょう。
若ハゲは発症すれば自然治癒では改善を見込めないので、早期対策が必要です。早期治療での改善見込みは高いので、発症したら、なるべく早く治療を始めましょう。
AGAの進行速度を遅らせるためにできること
AGAの進行速度を遅らせるためにできることにはどのようなことがあるでしょうか。
ここでは、AGAの進行速度を遅らせるためにできることを3つ紹介します。
- 生活習慣の見直し
- AGAクリニックでの診察
- AGA治療薬の服用
以下で、1つずつ詳しく説明します。
生活習慣の見直し
生活習慣を見直し改善することで、効果が出る可能性はあります。
AGA改善のために見直すべき生活習慣を下記に挙げました。
- 睡眠:質のいい睡眠を取り、成長ホルモンの分泌を促す
- 食生活:栄養バランスの良い食事の摂取
- ストレス対策:ストレスを溜め込まない
- 喫煙:禁煙を目指す
髪の毛の成長に必要な成長ホルモンは、就寝後から2時間以内に最も多く分泌されます。その後、数時間掛かって全身をめぐります。最低5〜6時間は睡眠時間を確保しましょう。
髪の毛は、摂取した日々の食事からの栄養素で作られます。育毛効果の高い栄養素には、たんぱく質、ビタミン、亜鉛などがあるので、これらの栄養素を積極的に摂取しましょう。
過度なストレスは交感神経を刺激するので、頭皮の血管を収縮させ、血液循環を悪くします。血液循環が悪いと栄養や酸素が髪の毛に行き渡らないので、ヘアサイクルが乱れ抜け毛が増えます。ストレスと上手に付き合うために、自分がストレスを解消しやすい方法を見つけましょう。
タバコのニコチンが原因で血行不良になり、頭皮に血液や栄養が届きにくくなるために、薄毛になります。すぐには禁煙できなくても、少しずつ本数を減らして、禁煙を心がけましょう。
AGAクリニックでの診察
より確率高く進行速度を遅らせたい場合はAGAクリニックでの診察がおすすめです。AGAクリニックでの診察では、 AGA治療専門の医師が直接、視診・触診を行い、頭髪・頭皮の状態を確認します。ほとんどの場合、血液検査を行い、他の病気が原因の脱毛ではないか、AGA治療薬の投与が可能か、場合によってはAGAの原因が遺伝かどうかも調べます。
医師の診察でAGAであることが分かったら、AGA治療薬が投与されることが多いです。他の原因での脱毛症の場合は、病気の治療が行われます。
AGA治療薬の服用
クリニック等でAGA治療薬を処方してもらい、服用して進行を遅らせることは可能です。しかし、AGAの内服治療は薄毛や脱毛の発症メカニズムを直すものではないので、服用を中止すると、また脱毛が始まってしまいます。
したがって、AGAの内服治療は基本的に10年、20年と長期間継続する必要があります。
まとめ
AGAのタイプ別、特徴別の進行速度について説明してきました。
AGAの進行スピードには個人差があり、個人の発毛サイクルや遺伝、生活環境が関係しています。
AGAは進行性の脱毛症なので、発症したら自然治癒は望めません。生活習慣を見直し、なるべく早くAGA治療を開始しましょう。