※本記事は管理栄養士が執筆しております※
セレン酵母について知りたい人に向けて、セレンを含む食材や効果をわかりやすく解説します。セレンは知名度は低いですが、体内では作られないため食事から摂取したい栄養素です。
この記事ではセレンの含まれる食材や効果のほか、効率的な摂取方法についても詳しく解説します。セレンについて知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
- セレンとは?
- セレン酵母の効果や働き
- セレン酵母を含む食材
- セレン酵母の品質について
- セレン酵母の副作用について
- セレン酵母の欠乏による影響について
- セレンの効率的な摂取方法
- セレン酵母で健康的な体作りを!
セレンとは?
セレンはセレニウムともよばれ、酵素の構成成分として酸化を防ぐ働きをします。老化や動脈硬化の予防に役立つといわれています。体内にはごくわずかしか含まれず、体内では生成できない必須ミネラルの1つです。消化・吸収の詳しい利用方法は明らかになっていません。
食品だと、セレンは魚介類に多く含まれており、基本的には普段の食生活で不足することはないといわれます。必須ミネラルのなかでは毒性が強く、必要量と上限量の幅が小さいため、摂りすぎないよう注意が必要です。
セレン酵母の特徴
セレン酵母はセレンから工業的製法で作られている物質です。パン酵母内にセレンを取り込むことで生体内吸収率を高めています。メディエンスや小林製薬などでサプリメントとして商品化されています。
セレン酵母の効果や働き
セレンは抗酸化作用をもち、細胞の酸化を防ぐことで老化や動脈硬化を予防する働きがあります。
また、セレンはビタミンCの生成や甲状腺ホルモンの代謝に関わる酵素の成分です。セレンの働きについて以下の3点を詳しく解説します。
- 男性妊活サポート
- アンチエイジング
- がん・動脈硬化予防
セレンの効果・働きについて確認しましょう。
男性妊活サポート
セレンがもつ抗酸化作用は、精子の質向上や男性ホルモンの分泌量を維持します。加齢により、男性ホルモンであるテストステロンの分泌量は減少し、男性の更年期障害が起こります。
セレンが不足すると不妊につながる可能性があります。
アンチエイジング
セレンには抗酸化作用があるため、アンチエイジング効果が期待できます。細胞の酸化を防ぎ、肌や筋肉の老化を予防します。
がん・動脈硬化予防
セレンの抗酸化作用により、がんや動脈硬化の予防につながります。
セレンは過酸化脂質の分解に関与する、抗酸化酵素を構成しています。過酸化脂質はコレステロールや中性脂肪などの脂質が、活性酸素によって酸化されたものです。
セレン酵母を含む食材
セレンを多く含む食材は、魚介類を中心に以下の食べ物があります。
- ワカサギ
- マグロ
- イワシ
- たらこ
- タラ
- 鰹節
- ネギ
- 全粒穀物
- ニンニク
セレン酵母は、サプリメントにもよりますが、パンやビールの発酵に用いられる「 Saccharomyces cerevisiae 」という菌を使って作られています。
セレン酵母の品質について
セレン酵母は、商品によって価格や製造方法、品質がさまざまです。体内での吸収や利用にも大きな差があるといわれています。
セレン酵母の副作用について
1日のセレンの推奨摂取量は成人男性で30マイクログラム、成人女性で25マイクログラムです。通常の食事で不足することはないといわれています。
上限量は男性で450マイクログラム・女性で350マイクログラムで、推奨量との差が小さいため、サプリメントなどで摂取する場合は摂りすぎに気を付けなければいけません。
セレンは酵素やタンパク質の一部を構成し、抗酸化反応において重要な物質ですが、必須ミネラルとして認識されるようになったのは比較的最近といわれています。
セレンを摂りすぎると脱毛や爪がもろくなる、皮膚の病変や吐き気、神経障害といった慢性中毒症状がみられます。
重度の場合は胃腸障害や心筋梗塞、腎不全など急性の中毒症もあるため、セレンの摂りすぎには注意が必要です。
セレン酵母の欠乏による影響について
セレンの1日の推奨摂取量と耐容上限量、セレンの不足によって起こる症状について解説します。
セレンの1日の推奨摂取量
セレンの食事摂取基準 (マイクログラム/日)
年齢 |
男性 推奨量 |
男性 耐容上限量 |
女性 推奨量 |
女性 耐容上限量 |
18~29 (歳) |
30 |
450 |
25 |
350 |
30~49 (歳) |
30 |
450 |
25 |
350 |
50~64 (歳) |
30 |
450 |
25 |
350 |
妊婦(付加量) |
- |
- |
+5 |
- |
授乳婦 (付加量) |
- |
- |
+20 |
- |
参照:『日本人の食事摂取基準2020年版』
セレン不足による起こる症状とは?
日本では普段の食生活でセレンが欠乏することはほとんどありません。
セレンの欠乏は細胞障害や心筋症・関節症につながるといわれています。中国東北部での克山病や、中国北部やシベリアでのカシン・ベック症とよばれる症状です。
また、セレンの摂取量が少ない場合、発がんリスクが高いといわれています。
セレンの効率的な摂取方法
セレンは体内で作られない必須ミネラルです。魚介類を中心に食事から摂取しましょう。
植物性の食品に含まれるセレンは、土壌中のセレン濃度を反映します。日本で作られるパスタやパンなどは、アメリカ産の小麦が使われていることが多く、比較的セレンを多く含む食材です。
日本人は一般的な食事で、セレンを1日100マイクログラム程度摂取しているとされます。1日25~30マイクログラムである推奨量を超えており、不足の心配はありません。
サプリメントでは、セレン酵母としてマルチミネラル・ビタミン系のサプリメントに含まれていることもあります。
不溶性ビタミンであるビタミンEと一緒に摂ることでセレンの抗酸化作用が働きやすくなるといわれています。
セレン酵母で健康的な体作りを!
この記事では、セレンの働きや多く含む食材、副作用について紹介しました。セレンは体内で生成できない必須ミネラルですが、一般的な食事では不足しにくい成分です。
必要量と上限量の幅が小さいので、サプリメントを飲む場合は摂りすぎにならないよう気を付けてください。
妊活中はセレンに限らず、栄養素をバランスよく摂ることが大切です。普段の食事を見直して、不足している栄養素を考えてみましょう。