※本記事は薬剤師が執筆しております※
サプリメントでよく見かけるマカには、どんな効果があるのかご存知でしょうか。
滋養強壮作用が強調されて宣伝されているので、「男性向けの商品かな」「女性は飲まないほうがいいのでは」と思われがちです。しかし、実際は男性、女性でも摂取できるものです。
研究も進められてきていて体にいい効果があると分かってきたマカですが、摂りすぎると副作用のリスクがあります。摂取方法や摂取量については、しっかり把握しておく必要があります。
この記事では、マカの効果だけではなく、推奨される摂取量や副作用のリスクについても詳しく説明していきます。
⽬次
- マカとは?
- マカの効果や働き
- マカの推奨摂取量は?
- マカの副作用【過剰摂取】
- マカの効率的な摂取方法
- マカは男女共に摂取したい食材だと言える
マカとは?
乾燥されたマカには必須栄養素を多く含んでいます。必須アミノ酸、鉄分、カルシウム、脂肪酸、ビタミンB群、グルコシノレートを含有しています。
現地では「アンデスの人参」「アンデスの女王」と言われており、古くから滋養強壮の効果があるとされ、家畜と交換されるほど価値がありました。特権階級の人々に長らく重宝されてきたのです。
日本では1990年代にペルーからマカが紹介され、テレビ番組でも取り上げられるようになりました。2000年代になってから、サプリメントとして知名度が上がり、日本中に広まりました。今では中高年の活力維持目的として、有名なサプリメント源になっています。源
マカは植物の1種
マカは、南米ペルーのアンデス山地(標高4000から5000メートル)に生息しています。強い日差しや強風、酸性の土壌、昼夜の温度差が激しい過酷な地域に生息できる強い植物です。
土壌の栄養素を根こそぎ取ってしまうため、マカを栽培した土壌は数年間、栽培ができないと言われるほど豊富な栄養素を蓄えています。
収穫後3ヶ月以上天日乾燥したマカの根は7年間保存することができ、保存食として古くから利用されています。
また、スペインがペルーを征服した時に馬が環境に適応できず子供を作らずに死んでしまうことが増えていました。困っていたところを原住民の勧めでマカの葉を馬の餌に使うようになったところ、馬が体力を取り戻し繁殖に成功したという記録がスペインに残されています。
このように、海外にも記録が残されていることから、マカは当時から豊富な栄養成分を持った食べ物であったことがよく分かると思います。
マカに含まれる成分
マカの根には必須栄養素を多く含んでいます。アンデスで育てられる植物の中でも非常に優れた栄養を持っています。
炭水化物、タンパク質、脂質を始め、必須アミノ酸、脂肪酸(リノール酸、パルミチン酸、オレイン酸)、鉄分、カルシウム、ビタミンB群、グルコシノレート、ステロール、アルカロイド、アミド誘導体等、多種多様な栄養素が含まれています。
マカの効果や働き
マカには、様々な有効成分が含まれていることが分かりました。それでは、マカにはどのような効果があるのでしょうか。
日本では、男性用のサプリメントとしてのイメージが強いですが、女性にもおすすめできる効果や働きもあります。
これから詳しく解説していきます。
男性妊活サポート
様々な研究結果で、マカには滋養強壮作用を始め、男性の妊活をサポートしてくれる効果が多くあることが分かってきています。
性ホルモンの増加
ペルーで行われた試験では、マカを一般男性12週間摂取したところ、17ヒドロキシプロゲステロンが上昇していたことがわかりました。この成分は、性ホルモンとステロイドの合成過程で作られるホルモンです。つまり、マカを摂取することで性ホルモンの材料になる物質が増えたことになります。
勃起不全の改善
軽度の勃起不全がある男性が、マカを12週間摂取したところ、勃起不全が改善したことが明らかになっています。これは、マカに含まれるアルギニンが血流を改善し、グルコシノレートが持続力を保つ効果があるためと言われています。
性欲の向上
2010年に行われた、131人の参加者を対象としたランダム化比較試験では、6週間マカを摂取することで、性欲が向上することが明らかになりました。この試験は女性でも行われており、女性も性欲の向上効果が得られています。
精子量の増加
妊活において、精子の質と量は重要視されています。不妊症の男性と一般男性にそれぞれマカを4ヶ月間摂取したところ、精液量、精子の数、精子の運動率が増加しました。
マカと精液の質についての研究は11にも及んでおり、実験した人数などのデータにはばらつきがありますが、いずれにおいてもマカの摂取で精液の質が向上していることが明らかになっています。
精神状態の改善
軽度の勃起不全患者が、12週間マカを摂取したところ、勃起不全の症状が改善し、勃起不全の改善とともに、精神状態も測定する数値も改善し、幸福度が上昇したという研究結果もあります
うつ病の改善
うつ病とは気分障害の1種です。1日中気分が落ち込み、今まで楽しめていたものが楽しめなくなってしまう、食欲がない、疲れやすい、眠れない等、日常生活で大きな影響が出ている状態です。
中国の研究では、閉経後の更年期障害の女性に、本人には分からないようにマカとプラセボを順序を問わずに6週間ごとに交互に服用して合計12週間服用した実験があります。
結果は、マカを服用することでうつ症状が改善したことが分かっています。
うつ病の改善効果は、下垂体ホルモンのうち卵胞刺激ホルモンが上昇したことが関係しているのではないかと予想されます。
他にも黄体形成ホルモンも上昇することが明らかになっており、他の下垂体ホルモンには影響しないことが分かっています。
更年期障害の改善
更年期とは、閉経の前後5年間のことを指します。この時期は、エストロゲンのバランスが乱れることで、ほてり、動悸、気分の落ち込み、頭痛、肩こり、イライラ、不眠症状が出ることがあり、この症状が日常生活に影響が出るほどひどい場合は更年期障害と診断されます。
マカを摂取することで卵胞刺激ホルモンが上昇することが分かっており、更年期障害のうつ症状だけではなく、冷え性や月経不順にも効果があることが明らかになっています。
動脈硬化の予防
動脈硬化は、血管壁が固くなり弾力がなくなった状態です。高血圧や酸化したLDLコレステロールが血管に張り付いてしまうことが原因で引き起こされます。
動脈硬化の影響で血管が細くなってしまうと、狭心症や脳梗塞、心筋梗塞の危険性が高まり命に関わる場合もあります。
マカは抗酸化作用があり、血管の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果があります。また、高血圧を改善する効果も分かっています。
美肌効果
美肌の条件には、潤いがありキメが整っていること、血色がいいことが重要です。
マカはビタミンB群、Eを含んでいます。ビタミンEには血行促進作用があり、ビタミンB群は肌のターンオーバーに必要な栄養素で、マカには美肌に必要な有効成分を多く含んでいます。
老化の予防
マカには、アルギニンとグルコシノレートが含まれています。アルギニンには成長ホルモンを促進する作用があり、骨や筋肉を強化する働きがあります。成長ホルモンは子供のころをピークに年齢とともに減少していくので、年齢とともに疲れやすくなったり、体力が衰えを感じるようになります。
また、アルギニンにはマクロファージを活性化する作用、グルコシノレートには解毒作用、抗酸化作用、抗炎症作用があることが分かっており、免疫力をアップする効果もあります。
グルコシノレートは近年注目されているフィトケミカルの一種で、代謝の促進、脳機能の強化等の効果も注目されています。
マカの推奨摂取量は?
マカは1,500〜5000mgが推奨接種量です。しかし、マカ含有のサプリメントはアルギニンや亜鉛等、相乗効果を狙って他の有効成分も含まれていることがあります。
必ず用法用量を守って摂取しましょう。
マカの副作用【過剰摂取】
マカには、体にいい効果がたくさんありますが、摂りすぎると副作用が出ることがあるので注意が必要です。
妊娠中や授乳中に摂取できるか、抜け毛が増えてしまうのか等気になるところも踏まえて、確認しておきましょう。
過剰摂取による副作用
過剰に摂取してしまうと、腹痛、下痢を起こすことがあります。また、腎機能、肝機能に障害がある方は、マカの代謝がうまく進まないことがあり、副作用が出やすくなるので注意しましょう。
アブラナ科に分類される植物(ブロッコリー、小松菜、ワサビ等)にアレルギーを起こす方は、マカでも引き起こされる可能性がありますので、避けるようにしましょう。
抜け毛が増える噂の真相
マカは男性向けのサプリメント成分として有名なため、「マカを飲んでいる人は抜け毛が増える」という噂が密かに流れています。この噂を信じて、マカを避けている方もいるようです。しかし、真相から言いますとマカと抜け毛の因果関係はありません。
抜け毛は男性ホルモンの影響で起きることが分かっていますが、マカには男性ホルモンを増加させる作用はありません。マカを飲んでも抜け毛が増えることはないので安心して摂取できます。
妊娠中や授乳中には控える
マカの長期服用の影響や胎児、乳児への影響は、まだはっきりと分かっていません。女性の妊活にもいい効果がありますが、妊娠が分かったら控えるようにしましょう。
授乳中も、母乳にどのくらい移行するのかはっきりと分かっていないため、避けた方がいいでしょう。
マカの効率的な摂取方法
マカ本体は、ペルーの法律で輸出することを禁止されています。マカはサプリメントなどに加工して、付加価値をつけたものは輸出することが許可されているため、日本ではサプリメントでしか摂取することはできません。
もし、マカ本体が手に入ったとしても、そのまま食べると消化に悪いため、サプリメントとして摂取するのが安心ですし効果的です。
1990年代に、ペルーから日本にマカが紹介され、それから多くの人々に知れ渡るようになりました。
今では、ペルー国内の約40社がマカのサプリメントを製造輸出し、日本国内と取引を行なっていて広く流通しています。
マカは男女共に摂取したい食材
マカは、滋養強壮や活力を増加させる効果が有名で、男性が摂取するイメージが先行していた部分がありました。実は、うつ症状や更年期障害、動脈硬化を改善し、美肌効果も高いので、女性にもぜひ摂取してほしい食材の1つです。
マカ本体は手に入れることが難しいので、サプリメントとして摂取することがおすすめです。自分に合ったマカのサプリメントを見つけて、普段の生活に取り入れてみましょう。