※本記事は薬剤師が執筆しております※
牡蠣は栄養満点と聞くけれど、どんな栄養素が入っていて、どんな効果があるのか疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。また生牡蠣を食べて食中毒を起こしたことがあるから、もう食べたくないと思っている方もいるでしょう。
牡蠣は「海のミルク」と言われ、体に必要な栄養素が多く含まれている食品です。しかしながら、牡蠣を食べて嘔吐や下痢症状が出た方もいるように、食中毒を起こす可能性があるため、食べ方に注意しなければいけません。また、食べ過ぎにも注意が必要です。
本記事では牡蠣に含まれる栄養素について詳しく解説し、期待できる効果を最大限に高める効率的な食べ方や過剰摂取について網羅的に解説しますのでご参考ください。
⽬次
- 牡蠣に含まれる栄養素と効果
- 牡蠣の効果を生かした食べ方
- 牡蠣の食中毒について
- 牡蠣の正しい選び方
- 牡蠣の正しい保存方法
- 牡蠣の効果を最大限に生かして食を楽しもう
牡蠣に含まれる栄養素と効果
牡蠣に含まれる栄養素は以下のとおりです。
- 亜鉛
- 鉄分
- タウリン
- グリコーゲン
- ビタミンB群
各栄養素にどのような効果が期待できるのか解説しますので、続きをお読みください。
亜鉛
牡蠣には亜鉛が豊富に含まれているため、亜鉛の摂取源として貴重な食材です。亜鉛が不足すると皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、免疫機能障害、成長遅延などが起こると報告されています。妊娠中は胎児の発育に亜鉛が使われるため、妊婦さんには成人女性の推定平均必要量+1mg、 推奨量+2mgの基準が設定されています。
男性妊活サポート
亜鉛は男性の生理機能へも影響を与えると考えられています。体内の亜鉛は精液からも失われるため、妊活中の方は女性だけでなく男性も積極的に摂った方がいいでしょう。
鉄分
牡蠣は鉄分も多く含んでいる食品です。鉄は酸素を体中に運ぶ働きをするため、鉄が不足すると貧血だけでなく、動悸や息切れなどの症状も引き起こします。また、鉄不足は血行不良を引き起こし、妊活を妨げる可能性があります。
女性の場合、月経血によって多くの鉄が失われるため、鉄分を多く含む牡蠣はおすすめの食材です。
タウリン
タウリンは胆汁酸と結びつくことによってさまざまな健康効果が期待されているアミノ酸の1つです。肉、魚、乳製品に多く含まれ、特に牡蠣などの貝類や、いかなどの軟体動物に多く含まれています。疲れに効く可能性があるため、多くの栄養ドリンクに配合されています。
グリコーゲン
牡蠣には多くのグリコーゲンが含まれています。
グリコーゲンとはブドウ糖が多数結びついた化合物です。肝臓や筋肉組織に蓄えられて貯蔵エネルギー源として働きます。運動時など急にエネルギーが必要になると、グリコーゲンがブドウ糖へ分解されエネルギーを補給します。
ビタミンB群
牡蠣はビタミンB群も豊富に含まれています。
ビタミンB1やビタミンB2は糖質を体内でエネルギー源へ変える工程で必要です。栄養ドリンクに多く含まれているように、疲れやすいと感じている方におすすめのビタミンです。
また、ビタミンB12が不足すると貧血や抹消の神経障害を引き起こす可能性があります。牡蠣にはビタミンB12も多く含まれているため、ビタミンB群を摂りたいと思っている方へおすすめの食材です。
牡蠣には細胞の増殖と深い関係がある葉酸も含まれています。葉酸サプリによって胎児の神経管閉鎖障害のリスクが低減された報告があるため、妊活中から葉酸を摂取することが推奨されています。
食事からの葉酸摂取と神経管閉鎖障害との関連性は明らかになっていません。しかしながら、理論的には食事から摂った葉酸も神経管閉鎖障害を予防すると考えられています。
牡蠣の効果を生かした食べ方
多くの栄養素が含まれている牡蠣ですが、牡蠣の食べ方によっては栄養素を摂れない可能性もあります。ここでは牡蠣の栄養素をできるだけ損なわないように食べる方法をご紹介します。
生食で食べる
牡蠣に含まれる豊富な栄養素を効率的に摂るためには、生食で食べることがおすすめです。加熱調理すると、熱に弱い栄養素を効率的に摂ることができません。
組み合わせると良い食材
牡蠣と組み合わせて食べると牡蠣の栄養素をより効率的にとることが期待できます。牡蠣と組み合わせて食べると良い食材をご紹介しますので、牡蠣料理を食べる時、一緒に食べてみましょう。
レモン
レモンに含まれるビタミンCは、牡蠣に含まれる鉄の体内への吸収を助けます。また、レモンの香りによって牡蠣の臭みを消す効果もあるため、レモン汁を絞って牡蠣を食べましょう。
ほうれん草
ほうれん草は鉄分や葉酸が豊富な野菜の1つです。牡蠣にも鉄分が豊富に含まれるため、不足しがちな鉄分を牡蠣とほうれん草から摂ることができます。牡蠣とほうれん草のソテーなどがおすすめです。
ブロッコリー
緑黄色野菜の1つであるブロッコリーには葉酸やビタミンCが豊富に含まれています。水溶性のビタミンCは茹でるとビタミンの量が減ってしまうため、蒸すかレンジによる加熱調理がおすすめです。妊活中の方はブロッコリーを積極的に摂りましょう。
トマト
トマトに多く含まれるリコピンは体内で過剰につくられた活性酸素を除去する働きがあります。酸化ストレスによる体へのダメージを軽減するトマトと一緒に摂ると、牡蠣の効果が向上することが期待できるでしょう。
アスパラガス
アスパラガスにも葉酸とビタミン類が多く含まれています。妊活中の方へおすすめの食材の1つです。
牡蠣の食中毒について
牡蠣は食中毒の原因としても有名です。牡蠣を食べて嘔吐や下痢などの症状を経験した方もいるのではないでしょうか。ここでは牡蠣の食中毒について解説していきます。
食中毒の種類と時期
牡蠣による食中毒の原因は主に冬に流行するノロウイルスと夏場に多い腸炎ビブリオです。
ノロウイルス
マガキの旬である冬にノロウイルス感染症も流行します。牡蠣自体がはじめからノロウイルスを持っているわけではありません。ノロウイルスに感染した人の便中に含まれるノロウイルスは下水とともに川や海に流れ出て、牡蠣などの2枚貝の体内にとどまります。
ノロウイルスを持った牡蠣を食べることによって食中毒は引き起こされます。しかしながら、ノロウイルスによる食中毒は生や加熱不足のものによって起こるため、十分に加熱すれば問題ありません。
腸炎ビブリオ
海水の温度が上昇する夏場が旬であるイワガキは腸炎ビブリオによる食中毒の可能性があります。腸炎ビブリオは海水中に分布しているため、魚介類に着くことを防ぐことはできません。食中毒を防ぐには食材の洗浄と温度管理、調理器具による2次汚染を防ぐことが大切です。
牡蠣にあたりやすい人の特徴
同じ牡蠣を食べても食中毒になる人とならない人がいます。ウイルスや細菌による食中毒を発症するかしないかの差は、その人の免疫力に左右されるからです。
不規則な生活をしていたり、体調を崩したりしているときに牡蠣を食べるとあたりやすくなるため、体調がよい時に牡蠣を食べましょう。
牡蠣の正しい選び方
殻付きの牡蠣は、一般的にサイズが大きく、殻に黒みがあるものは美味しいと言われています。
むき身の牡蠣を選ぶときは、薄い黄色の身と半透明の貝柱でどちらも大きいものを選びましょう。鮮度が低下すると貝柱や身は白くなっていきます。また、外側の黒いヒダが大きい方が美味しい牡蠣である可能性が高いため、参考にしてください。
出荷日などを確認して、できるだけ新しいものを選ぶこともポイントです。
牡蠣には生食用と加熱用の2種類がありますが、鮮度の違いで分けているわけではありません。食品衛生法によって生食用かきの規格基準が決められており、基準を満たしたものだけ生食用と表示されています。
牡蠣の正しい保存方法
牡蠣で体調を崩さないためには購入後の牡蠣を正しく保存しなければいけません。購入後は必ず冷蔵庫内で保存しましょう。冷蔵庫の中でもチルド室などより低温室での保存がおすすめです。むき身の場合も殻付きの場合も消費期限は必ず守りましょう。
むき身の場合
むき身の場合は温度管理が重要です。保存温度は5℃以下が望ましいため、チルド室などに保存しましょう。パックのつけ水は鮮度保持のための塩分調整がしてあります。中の水分は捨てずにそのまま保存してください。
殻付きの場合
身殻を下にして湿度を保った状態で、チルド冷蔵しましょう。牡蠣は乾燥に弱いため、適度な湿度を保つことが大切です。殻付きの牡蠣に塩水を含ませたキッチンペーパーや新聞紙などをかぶせ、ラップをかけると湿度を保つことができます。
牡蠣の効果を最大限に生かして食も楽しもう
牡蠣には亜鉛、鉄分、タウリン、グリコーゲン、ビタミンB群などの栄養素が豊富に含まれており、健康維持や妊活のために積極的に食べたい食材の1つです。牡蠣を生で食べると栄養素を効率的に摂ることができますが、一方で食中毒に気をつけなければいけません。
牡蠣の効果を最大限に生かした食べ方を意識しながら、様々な食材と組み合わせて食を楽しみましょう。