※本記事は管理栄養士が執筆しております※
葉酸は水溶性ビタミンの1種で、緑色の濃い野菜やレバーに多く含まれており、妊活中の男女、妊娠中の女性に積極的に摂取してほしい栄養素です。この記事では妊活で葉酸を効率よく摂りたい人に向けて、妊活に葉酸が必要な理由と葉酸が多く含まれる食べ物や飲み物、合わせて摂りたい栄養素について解説します。妊活中は葉酸をはじめとしたビタミンやミネラルがしっかりと摂れる、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
⽬次
- そもそも葉酸とは?
- 葉酸は妊活中におすすめの栄養素
- 葉酸が多く含まれる食品
- 葉酸が多く含まれる飲み物は?
- コンビニでも買える商品は
- 他にも知りたい!葉酸と一緒に摂りたい栄養素
- まとめ
そもそも葉酸とは?
葉酸はビタミンB群の一種で、体内でタンパク質合成に関わり、細胞を産生する重要な栄養素です。造血のビタミンとよばれ、不足すると動悸やめまい、疲れやすくなるといった貧血症状が見られます。葉酸はほうれん草の葉から発見された成分ですが、植物性食品と動物性食品両方に含まれます。
葉酸はビタミンB12とともに、体内でホモシステインからメチオニンを生成する酵素反応をサポートします。ホモシステインは体内で合成されるアミノ酸ですが、蓄積すると血管障害や認知症などを起こすといわれています。葉酸やビタミンB12といったビタミンB群は、動脈硬化の予防やコレステロールを下げる働きにも関与する栄養素です。
葉酸は妊活中におすすめの栄養素
葉酸は妊活中の男性、女性ともに積極的に摂りたい成分です。厚生労働省が定めた日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、1日あたり240マイクログラムの葉酸を摂取することが推奨されています。妊娠を計画している女性や妊娠中の女性は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために240マイクログラムの付加量が設定されています。
通常の食品で葉酸を摂りすぎた場合の体への影響は報告されていませんが、葉酸のサプリメントを飲む場合は摂取量に気をつけましょう。食品から摂る場合、葉酸は小腸の消化酵素によってポリグルタミン酸型からモノグルタミン酸型となりますが、サプリメントに含まれる葉酸は最初からモノグルタミン酸型として合成されたものです。サプリメントから葉酸を過剰摂取することで、ビタミンB12欠乏による大赤血球性貧血を見落とす可能性があります。
サプリメントや葉酸を強化した食品を摂る場合の耐容上限量として、1日あたり18〜29歳の男女で900マイクログラム、30〜64歳で100マイクログラム、65歳以上で900マイクログラムが設定されています。
葉酸の推奨量(マイクログラム/日)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
18~29歳 | 240 | 240 |
30~49歳 | 240 | 240 |
50~64歳 | 240 | 240 |
65~74歳 | 240 | 240 |
75歳以上 | 240 | 240 |
妊婦(付加量) | - | 240 |
授乳婦(付加量) | - | 100 |
出典:『日本人の食事摂取基準(2020年版)』
女性におすすめの理由
妊娠を計画している女性に葉酸が必要な理由は、葉酸に胎児の発育を促し、神経管閉鎖障害のリスクを下げる働きがあるためです。神経管閉鎖障害は妊娠4〜5週目の胎児に発症し、下肢の運動障害や膀胱・直腸機能の障害が起こる先天異常です。妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの摂取量が関わるため、妊活中は意識的に葉酸を摂りましょう。
男性におすすめの理由
男性の妊活には精子の量や質が重要です。葉酸は細胞分裂に必要なDNAやRNAの合成に必要であり、精子の正常形態率に関わります。また、皮膚や粘膜、髪の毛など体の健康にも大切な栄養素になっています。妊活中の男性も葉酸が不足しないよう、バランスの取れた食事を心がけましょう。
葉酸が多く含まれる食品
葉酸はほうれん草やブロッコリーなど緑色の濃い野菜やレバー、穀類、豆類に多く含まれます。葉酸が豊富な食品のうち、以下の食品について詳しく紹介します。
食品に含まれる100gあたりの葉酸量(マイクログラム)
食品 | 100gあたりの葉酸量(μg) |
---|---|
ほうれん草 | 210 |
枝豆 | 320 |
レバー(鶏) | 1300 |
焼きのり | 1900 |
うに | 360 |
プロセスチーズ | 27 |
出典:『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』
ほうれん草
ほうれん草は100gあたり210マイクログラムの葉酸が含まれています。スーパーで売られている1束は約150~200gで、加熱するとかさが減るため手軽に摂ることができます。ゆでた後は水に取り、アク抜きをしてから調理しましょう。100gあたり20kcalと低カロリーで、葉酸のほかにもビタミンAやビタミンE、カリウムや鉄などビタミン・ミネラルが豊富です。
枝豆
枝豆は100gあたり320マイクログラムの葉酸が含まれており、10さやで可食部約20g、約64マイクログラムの葉酸を摂取できます。ゆでてそのまま食べるのはもちろん、バター炒めやおにぎり、サラダに入れるのもおすすめです。枝豆はタンパク質が豊富で、葉酸以外にもビタミンKやビタミンB1、カリウムや鉄の代謝に必要なモリブデンが多く含まれます。
レバー
鶏レバーは100gあたり葉酸が1300マイクログラム含まれています。牛レバーや豚レバーよりも葉酸が多く含まれ、低カロリーでクセがないことが特徴です。たんぱく質が豊富で必須アミノ酸をバランスよく含み、亜鉛、鉄などを合わせて摂取できます。ただし妊婦の過剰摂取に注意が必要なビタミンAが多く含まれているため、妊娠中は摂取量に気をつける必要があります。
焼きのり
焼きのりは100gあたり1900マイクログラム、焼きのり1枚あたり57マイクログラムの葉酸が含まれています。葉酸のほかにもビタミンB12やヨウ素、モリブデンを摂ることができます。
うに
うには100gあたり360マイクログラムの葉酸が含まれています。寿司2貫分でうに20g、約70マイクログラムの葉酸が摂れます。うにはパスタやグラタンなど洋食にも合う食材で、脂溶性ビタミンであるビタミンEが豊富です。
チーズ
プロセスチーズは100gあたり27マイクログラムの葉酸が含まれており、スライスチーズ1枚(約18g)で4.8マイクログラム摂取できます。コンビニで簡単に手に入り、アーモンドやナッツ、コショウが効いたものなど味の種類も多く、手軽に間食として摂れるためおすすめです。プロセスチーズは葉酸のほかにもビタミンB12やカルシウム、リンを多く含みます。
葉酸が多く含まれる飲み物は?
葉酸はお茶や青汁、ココアなど嗜好飲料からも摂ることができます。葉酸が多く含まれる飲み物を紹介します。
飲み物に含まれる葉酸量(マイクログラム)
飲み物 | 葉酸量(μg) |
---|---|
せん茶(浸出液100g) | 16 |
青汁ケール(粉末10g) | 80 |
ココア(粉末25g) | 7 |
せん茶
せん茶は茶葉100gあたり1300マイクログラム、浸出液100gあたり16マイクログラムの葉酸が含まれており、ほかにもビタミンB2やビタミンC、マンガンが豊富です。せん茶以外にも抹茶や玉露などの緑茶や紅茶にも葉酸は含まれます。ただしカフェインも多く含むため妊娠中の摂取量には注意しましょう。
青汁ケール
ケールが原料の青汁では、1杯あたり約80マイクログラムの葉酸を摂ることができます。青汁は大麦若葉やケール、明日葉を原料としますが、なかでもケールはスーパーフードとよばれる野菜で、高い抗酸化作用を持っています。大麦若葉に比べると苦味がありますが、葉酸の他にもビタミンAやカルシウム、クロロフィルやGABAなどの栄養素を摂取できます。サプリメントを選ぶときは国が定める安全性や有効性の基準に従っている、保健機能食品がおすすめです。
ココア
ココアは1杯あたり約7マイクログラムの葉酸を含みます。葉酸のほかにもビタミンB2やビタミンB6、カルシウムやカリウム、鉄や食物繊維といった成分が豊富で、疲労回復や貧血、情緒不安定、便秘といった症状の予防や解消を期待できる食品です。
コンビニでも買える商品は?
コンビニで手に入りやすい食品で葉酸を多く含むものを紹介します。葉酸は野菜やレバーに多く含まれていますが、忙しくて調理する時間が取れない人は以下のものを選んではいかがでしょうか。
納豆
納豆は1パック40gで約50マイクログラムの葉酸を摂取できます。簡単にタンパク質が摂れ、葉酸のほかにもビタミンB2やカルシウム、鉄を多く含む食品です。納豆特有の成分であるナットウキナーゼはタンパク質分解酵素であり、血流を改善して血圧を下げる働きがあるといわれています。
味噌汁
味噌汁1杯で約9マイクログラムの葉酸を摂れます。大豆を発酵してできた味噌にはアミノ酸やビタミンが多く生成されており、体内で作られない9種の必須アミノ酸がすべて含まれています。栄養バランスが気になるときは野菜たっぷりの味噌汁をプラスしましょう。
ほうれん草の胡麻和え
ほうれん草の胡麻和えは小鉢一杯分で約150マイクログラムの葉酸を摂れます。ビタミンやミネラルが豊富なほうれん草と抗酸化作用で注目されているごまを普段の食事に取り入れましょう。
他にも知りたい!葉酸と一緒に摂りたい栄養素
葉酸と合わせて摂りたいビタミンやミネラルの働きを紹介します。栄養価が高い食品でも、1つですべての栄養素を補うことはできないため、1日30品目を目標にさまざまな食品を組み合わせて摂りましょう。
亜鉛
亜鉛はアミノ酸からDNAの合成、タンパク質の再合成を行います。味覚を感じる味蕾細胞の働きや免疫反応に関わる栄養素です。亜鉛は葉酸の吸収をサポートするほか、精子の形成や活性化に効果が期待できます。
ビタミンC
ビタミンCはビタミンB群の1つで、コラーゲンを生成して血管や皮膚、粘膜を強くし、免疫力をアップさせます。体内で活性化した葉酸を維持してくれるビタミンCは、ストレスが多いと欠乏しやすくなるので、豊富に含まれる緑黄色野菜や果物を意識して摂りましょう。
ビタミンB2
ビタミンB2は糖質やタンパク質、脂質の代謝とエネルギー産生に必要であり、不足すると口内炎や肌と髪のトラブルにつながります。牛乳や乳製品、豆類に多く含まれる栄養素です。
ビタミンB6
ビタミンB6は補酵素としてタンパク質の代謝に必要であり、にんにくや肉、魚類に多く含まれます。ビタミンB6がアミノ酸代謝を活性化することにより、つわり症状を緩和する働きも期待できます。
ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸とともに働いて、赤血球の合成や神経の働きを調節するほか、動脈硬化の予防やコレステロールを下げる働きも期待されています。ビタミンB12を多く含む食品として魚介類やレバーがあり、植物性の食品にはほとんど含まれません。十分な量を摂ることで悪性貧血や不眠症、胎児の成長不良の予防効果が期待できます。
まとめ
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、代謝に関わる重要な栄養素です。胎児の発育促進に必要であり、女性にとって妊娠前、妊娠初期に積極的に摂りたい成分です。妊活中の男性にも精子のDNA損傷率を下げる、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすといった働きが期待できます。1日あたり240マイクログラムの葉酸が摂れるよう、葉酸が多く含まれるほうれん草や枝豆、ブロッコリーなどの野菜やレバーを積極的に摂りましょう。サプリメントから葉酸を摂る場合は、過剰摂取にならないよう気をつけてください。