「そろそろ子どもがほしい」と考えている方、精子を活性化させる方法があることをご存じでしょうか。実は、海外の研究では男性の精子の濃度は40年間で半減してしまうことが明らかになっていますし、不妊に悩む男性のほとんどは精子に問題を抱えていると言われています。
そのため、妊活している男性は、自分で意識して精子の質を良くしていく行動を取ることが重要です。
この記事では、精子が活性化しなくなる原因や、精子を活性化するためには具体的にどのようなことが必要なのかを詳しく紹介していきます。
⽬次
- 問題のない通常の精子の状態とは?
- 精子が活性化しなくなる原因
- 精子活性化でお悩みならまずは病院へ
- 精子活性化のために必要な7つの行動
問題のない通常の精子の状態とは?
問題のない通常の精子の状態とは、大きく分けて三つの条件が必要です。
まず、精子の数が多い事(道路が1500万/ml 以上)、精子が活発に動いていること(運動率が40%以上)、正常な形態の精子が多く存在すること(4%以上存在する)です。
精子が射精されて、膣から子宮頚管、子宮内、卵管、卵子まで辿り着くのは、実は難しいことで、そこまで生き残るのは良質な精子でもごくわずかです。
そのため、妊娠する確率を上げるためには、とにかく良質な精子がたくさんあることが重要です。
しかし、自分の精子に問題があるかどうかを肉眼で確認することは不可能です。詳しく知りたい方は病院に相談してみましょう。
精子が活性化しなくなる原因
新しい精子は、精巣の中で毎日作られ続けています。 精子が活性化しなくなるのには様々な要因が深く結びついています。
大きく分けて3つありますので、それぞれ確認していきましょう。
加齢
男性は、年齢を重ねると精巣の大きさは少しずつ小さくなり、男性ホルモンの量も少しずつ少なくなります。そのため、加齢とともに精子を作る能力は低下していきます。
30代と50代を比較した研究では、精液量は22%、精子運動率は37%、精子正常形態率は18%まで低下することが分かっています。
男性には女性の閉経のような仕組みはないため、男性ホルモンがなくなることはありません。そのため「まだまだ大丈夫」と思いがちですが、気が付かないうちに精子の量は減っているのです。
以前よりも睾丸が小さくなっていたり、柔らかい感触がある場合は、精液が減少している可能性があります。
ストレス
男性が、精神的なストレスを受けると脳下垂体にも影響を与えてしまいます。ホルモンの分泌が悪くなってしまい、精子形成に影響が出てしまいます。
精原細胞から精子が作られるには74日かかります。そのため、日ごろからストレスをためないように気をつけることが重要です。
また、ストレスが溜まると酸化ストレスが体の中に蓄積されていきます。この酸化ストレスは、精子のDNA損傷を引き起こし、運動率の低下、流産の増加を引き起こしてしまいます。
酸化ストレスを減らすには、運動で抗酸化物質を増やすことが有効です。また、抗酸化作用があるサプリメントを服用してみるのもいいでしょう。
生活習慣の悪化
生活習慣が悪化すると精子の量と質が大きく下がってしまいます。以下のような生活習慣には注意が必要です。
睡眠不足
中国の研究では、睡眠時間と精液量、精子の数の関連を調べたところ、7〜8時間睡眠の男性の結果が最も良かったことが明らかになっています。
睡眠が不足している人は、適切な睡眠時間をとることで精子の量や質が改善することも分かっているので、普段からしっかり睡眠を取るように心がけましょう。
しかし、これは睡眠を取れば取るほどいいのではありません。9時間以上では精液量、精子の数がかえって減少したことが明らかになっています。
肥満
デンマークの調査では肥満の男性に減量を行ってもらい、8週間後に精子を調べたところ、精子濃度が50%、精子の数が40%増加したことが分かりました。さらに52週間、適正体重をキープした男性は、精子の質が改善された状態を維持できていることが明らかになっています。
また、1年後には実験前よりも精子細胞が2倍に増加し、リバウンドした人は精液の質が悪化したことが分かりました。
精子活性化でお悩みならまずは病院へ
このように、加齢、ストレス、生活習慣の悪化で精子には様々な悪影響が出ていることが分かりました。
精子を活性化させたいと悩んでいる方は、まず自分の精子の状況を把握することが大切です。精液検査は、泌尿器科や不妊治療をしている病院で行っています。数日の禁欲期間を作り、射精用のカップに採取することで調べることができます。
精子活性化のために必要な7つの行動
①精子検査で自分の精子状態を正しく把握
自分の精子の状態が分かると、精索静脈瘤等の不妊に関わる疾患や原因が分かるので、早く治療を開始することができます。
もし、治療を行っても精子の数が自然妊娠できる基準よりも少ない場合は、人工授精、体外受精、顕微受精のいずれかに切り替えることで、妊娠する確率を上げて行くことができます。
②定期的な運動を心掛ける
運動することで肥満予防はもちろん、抗酸化物質を増やし、酸化ストレス、精液中の炎症や精子のDNAの損傷が減少することが分かっています。
精子に有効な運動方法を調べた研究では、運動不足の男性は1日に30分から40分程度の軽めのジョギングや強めのウォーキング等の有酸素運動を少なくとも3ヶ月続けることで精子の量、質が改善し、妊娠率が上がることが分かっています。
運動不足の方は、まず軽めの運動から始めてみましょう。
③アルコールは極力控え、飲んでも少量に
アルコールを飲用すると、アルコール脱水素酵素でアセトアルデヒドに分解されます。アルコールの強い人と弱い人がいますが、弱い人はアセトアルデヒドを代謝するアルデヒド脱水素酵素が少なくなっています。
アセトアルデヒドは毒性がある物質で、DNAやタンパク質に強く結合し、精子を損傷してしまいます。そのため、アルコールを摂取すると精子の運動率や精子の数に悪影響を与えることが分かっています。
また、アルコールは睡眠の質も低下させてしまいます。アルコールは極力控えて、飲んでも嗜む程度の少量に抑えしましょう。
④喫煙は避け、禁煙する
喫煙が精子に与える影響を調査した研究では、タバコを吸うと、精子の数や運動率、正常な精子の数が低下することが分かっています。
タバコの本数を減らすと、ある程度精子の質と量は改善しますが、本数を減らしても精子のDNAは損傷してしまいます。また、タバコに含まれるニコチンの影響で体内の血流が悪くなり、勃起障害(ED)の原因になることが明らかになっています。
そのため、喫煙は避けて、禁煙することがベストの選択です。それでも、急に禁煙することが難しい場合もありますので、禁煙補助剤を利用してみるのもいいでしょう。
⑤ビタミンB•C•Eや亜鉛で精子の量を増やす
ビタミンBは生きていくために必要なエネルギーを作ったり、DNAを作るために必要な栄養素です。ビタミンC•Eは抗酸化作用があり、酸化ストレスから精子を守るのに役立ちます。
亜鉛は、体に必要な微量元素の1つで、筋肉や骨等の多くの臓器に存在していいます。体の中の生理作用に関わっていて、タンパク質の合成やDNAの合成にも必要な物で、精子を作るためにも重要です。
ビタミンBCEや亜鉛は、男性だけでもなく女性の妊活にも必要な栄養素なので、パートナーで一緒に取り入れてみましょう。
⑥ベータカロチンやリコピンで精子の質を高める
ベータカロチンやリコピンは動植物に含まれる赤黄色オレンジ色の色素の1つです。ベータカロテンは、人参、パセリ、ほうれん草に多く含まれているビタミンAの前駆体で、体内で抗酸化作用を持つビタミンAに変換されます。
リコピンは、トマトに多く含まれている物質で抗酸化作用がビタミンEの100倍以上あります。また、LDLコレステロールを下げて、酸化を防ぐので、血流を改善する効果や生活習慣病を予防する効果が期待されています。
ベータカロチンやリコピンを摂取することで、DNAの損傷を防ぎ、精子の質を高めることができます。食事で摂取するのもいいのですが、サプリメントで効率よく摂取することがおすすめです。
⑦定期的に射精を行う
精子は、精巣内で毎日作られています。そのため、溜め込めば溜め込むほど精子濃度が上がっていいような印象がありますが、長い期間溜め込んでいると精子の膜に傷がついてしまいDNAに傷がつくことが分かっています。
個人差はありますが、適切な禁欲期間は3〜5日と言われています。禁欲期間が短すぎると未成熟な精子が増えてきてしまうので注意が必要です。少なくとも週に1回は定期的に射精を行いましょう。
まとめ
男性妊活を成功させるためには、精子の量と質を向上させることが重要です。
精子を活性化しなくなる原因には、加齢やストレス、生活習慣が引き金になっており、自分の精子の状態が気になる場合は病院に行ってしっかり検査をしてもらいましょう。
精子活性化のためには、定期的な運動や、禁酒、禁煙、必要な栄養素を摂取することが重要です。定期的に射精を行うことも忘れないようにしましょう。
この記事を参考に、精子活性化のポイントを押さえながら、効率よく妊活を進めていきましょう。