※本記事は薬剤師が執筆しております※
「パートナーが病院を受診したから自分も検査をするべき?」「いろいろな検査があってどれを受けたらいいのかわからない」と、妊活を始めると検査について悩む方が多くいられます。
妊活男性に必要な検査は、家で簡単に受けられる検査もあれば、病院を受診する検査まで幅広くあります。そのため、自分に必要な検査を選択するのは難しいと思うかもしれません。また、どのような検査になるのか、金額面についても気になるものです。
この記事では、妊活男性にぜひ受けてほしい検査について、検査の受け方、費用面まで詳しく説明をしていきます。
目次
- そもそも不妊の検査とは?
- 男性の妊活事情(データあり)
- 診療が泌尿器科へ!病院で受ける妊活前の検査と費用
- 自宅で簡単に受けられる妊活前の検査と費用
- 参考|妊活で女性が受ける検査
- まとめ
そもそも不妊の検査とは?
不妊の検査とは、妊娠しにくい原因があるかどうかを調べるものです。もし、原因が見つかった場合は、治療を行なったり、人工授精や体外受精などその人に合った適切な妊活方法で妊娠する確率を上げていくことができます。
実際には、不妊の原因は男女半々ずつの割合であることが明らかになっています。
そのため、妊活をしていてもなかなか妊娠できない場合は、女性だけではなく男性も早めに検査をすることが重要です。
男性、女性の場合によって不妊の検査内容は大きく変わってきますし、保険診療でできる検査もあれば、自費で検査が必要なものもあります。
男性の妊活事情(データあり)
妊活男性の中で3人に1人が、病院で精液検査を行って自分の精子の状態をチェックしていることがわかりました。 また、病院に行かずに郵送での検査を利用して、自宅で精液検査を行った男性は、10人に1人の割合だということがわかりました。
これだけのデータを見ると、男性も積極的に妊活をしているように感じるかもしれません。
しかし、妊活を始めた当初は、パートナーのように積極的に参加をしていなかった男性は3人に1人で、その中の2割強が半年以上遅れてやっと妊活に取り組むようになったことが明らかになっています。
また、1〜2年はパートナーが1人で妊活を行っていて、それからやっと妊活を始めた男性も珍しくないようです。
一般的に、女性よりも男性の方が妊活に取り組むタイミングが遅れている傾向にあり、自身の妊活を振り返ってみて、約6割の男性が「もっと早い時期から妊活に取り組めばよかった」と後悔しています。
妊活に協力的ではなかったことは、パートナーにとっては辛いことで、時には夫婦関係にも亀裂が生じることがあります。いろいろと後悔をしないためにも、妊活を始める前には、まずパートナーとよく話し合うことが大切です。
男性は、病院に行かずに自宅で簡単にチェックすることができる精子検査キットがあります。まずは気軽に検査を受けてみるといいでしょう。
診療が泌尿器科へ!病院で受ける妊活前の検査と費用
不妊検査と言えば、産婦人科のイメージがありますが、男性の不妊検査は泌尿器科でも行うことができます。
実際に病院で受けられる検査と費用について、それぞれ確認していきましょう。
精液検査
精液検査とは、精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染症があるかどうかを確認していく検査です。
2日〜1週間程度の禁欲期間を確保して、マスターベーションで精液全量を病院で採取します。
精液はその日によって変動するため、数回検査を行うこともあります。
自然妊娠するために必要な精液検査の基準値は、WHO(世界保健機関)の調べで明らかになっており、基準を下回っている場合は、人工授精や体外受精、顕微授精など治療をステップアップする場合があります。
費用は、自費診療となり約5000円です。
風疹(ふうしん)抗体検査
風疹抗体検査とは、風疹の抗体を持っているかどうかを確認する検査のことです。血液検査が必要です。
風疹の抗体を持っていれば、風疹にかかることはありませんが、抗体を持っていなければ風疹に感染する可能性があることがわかります。
そもそも、どうして妊活に風疹の抗体検査が必要なのかと疑問に思う方もいるでしょう。
妊娠している時に風疹に感染してしまうと、胎児が先天性風疹症候群になってしまう恐れがあります。
先天性風疹症候群とは、赤ちゃんが心疾患、難聴、白内障、発育の遅れ、精神的な発達の遅れなどの障害が出てくる感染症です。
予防するためには、妊婦が風疹にかからないようにするしかありません。しかし、風疹は感染力が強いため、家族も風疹にかからないように抗体検査することが重要です。
子供の頃に予防接種を行っていても、成長するにつれて風疹の抗体がなくなっている場合もあります。妊活をきっかけに、改めて風疹の抗体を確認して、もし抗体がない場合は早めに予防接種を受けましょう。
風疹抗体検査は自費で約6000円かかります。予防接種を行う場合はそれに加えて予防接種費用約9000円がかかります。自治体によっては、助成金が出ることがあるのでホームページで調べてみましょう。
自宅で簡単に受けられる妊活前の検査と費用
妊活男性は、妊活の意識があっても仕事で忙しく「病院を受診する時間がない」と悩みを抱えている方も多いでしょう。そんな時に、自宅で簡単にできる検査キットがあるのはご存知でしょうか。
アプリや郵送で行う検査キットが販売されていて、以前よりも手軽に検査ができるようになってきました。それぞれ確認していきましょう。
アプリでその場で検査できる検査キット
検査キット専用のアプリをインストール後、付属品のルーペを携帯のカメラにセットして、撮影すると、精子の量や濃度、運動率を調べることができます。
精液を採取してすぐに確認することができるので、精子の損傷が少ない状態で検査をすることができます。
「とにかく早く結果を知りたい」「スマホでデータを管理したい」と考える人におすすめです。
ただし、検査キット用のアプリのインストールや採取した精液を説明書を見ながら手順に沿って正しく取り扱う必要があるので、手間がかかります。また、失敗してしまうとせっかく買った検査キットが無駄になってしまうことがありますので注意が必要です。
関連商品は以下の通りです。
- コウノトリ男性用精子チェッカー(2回採取分、5500円)
- メンズルーペ(4回採取分、1650円)
- ドゥーテスト運動精子濃度検査キット(2回採取分、5500円)
郵送で精度の高い検査ができる検査キット
専用の検査キットで精子を採取し、郵送します。専門のスタッフが、精子の状態を細かくチェックし、精液量や精子数、総精子数、精子正常形態率が分かります。
郵送して検索結果が出るまで約1週間かかりますが、アプリでの検査に比べて精度が高く精子正常形態率まで分かります。また、精液を採取して発送するだけなので、操作方法が簡単なのもメリットです。「詳しく検査をしたい」「なるべく操作が簡単な方がいい」と考える方におすすめです。
関連商品は以下の通りになります。
- あおぞら研究所(1回採取分、6000円)
- プレグナクト(1回採取分、3980円)
- 宅配精子検査(1回採取分、3000〜11000円)
参考|妊活で女性が受ける検査
男性の妊活は、主に精子の状態を確認することになります。
それに対して、女性の場合は様々な検査を受けているのはご存知でしょうか。妊活の時にパートナーがどのような検査を受けるのかを知ることも大切です。妊活で女性が受ける検査内容を確認しておきましょう。
産婦人科での初診療
初診では、まず月経周期や出血量、既往歴などについて確認をしていきます。
あらかじめ基礎体温の記録表があれば、月経周期やホルモンバランスを確認しやすくなります。
内診では、子宮や卵巣の状態を確認して、痛みがあるところがないかチェックしていきます。
経膣超音波検査
経腟超音波検査とは、細長いプローブという器具を膣内に挿入して子宮や卵巣の状態を画像で確認することができる検査です。
子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの異常がないか確認することができます。
血液検査
血液検査では、主に女性ホルモン、男性ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモンなど妊娠に関わるホルモンの検査をしていきます。また、糖尿病などの全身性の病気がないかもチェックしていきます。
これらのホルモンの血中濃度は、月経周期によって変動するので月に数回採血が必要です。
AMH検査
AMH検査とは、抗ミュラー管ホルモンの血中濃度を検査することです。
抗ミュラー管ホルモンは、発育途中にある卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣の中にあとどのくらい卵子が残っているのかを予測することができます。
卵子は、生まれる前に作られて卵巣に保存されているだけで、新たに作ることができません。そのため、年齢とともに AMH の値は小さくなっていきます。
子宮卵管造影検査
子宮口から子宮内へ造影剤を注入して、 X線造影室で子宮の形や卵管の閉塞がないかを確認していきます。また、この検査でまれに妊娠しにくいタイプの子宮奇形が分かることがあります。
痛みを少し感じる検査になりますが、卵管の閉塞が解消されて自然妊娠ができるようになる場合があります。
フーナーテスト
フーナーテストとは、性交後の子宮頚管粘液を後日採取して、精子の数や精子の運動率を確認する検査です。検査日の12時間前くらいに性交渉を行うのが一般的です。
結果が不良だった場合は、精子の問題か女性が抗精子抗体を持っているかどうかを調べて、人工授精、体外受精など適切な不妊治療法を検討していきます。
まとめ
男性妊活では。精子の状態や風疹の抗体検査を行うことで、今の自分の状況を確認していくことが重要です。
妊活は、女性の方が主体的に行っていて、男性は後で自覚が出てくる傾向があるのが現状です。しかし、不妊の原因は、男性と女性それぞれ半々の割合であることが明らかになっています。早めに妊活に取り組むことで「もっと早く始めていたらよかった」と後悔が少なくなりますし、不妊の原因が見つかった場合は早めに対処可能なので、検査しない場合よりも妊娠する確率はアップします。
また、忙しくてなかなか病院に行く機会がない場合は、郵送やアプリで精子の状態を調べるキットが販売されています。このような製品をうまく活用してみるのもいいでしょう。
まずは夫婦で話し合って、積極的に検査を受けるようにしましょう。