※本記事は薬剤師が執筆しております※
「そろそろ赤ちゃんが欲しいから、妊活を始めたいけれども何から始めたらいいのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
妊活はひとりではできないため、夫婦で計画を確認し、協力して進めていかなければいけません。ひとりで知識を増やすのではなく、パートナーとふたりで知識を深めていきましょう。
多くの情報がインターネット上にありますが、中には間違った情報もあります。また、妊活にいい成分だからといって摂りすぎると、副作用が出る可能性も考えられます。正しい情報へアクセスするために、ふたりで妊活について基礎知識を増やしておくとよいでしょう。
本記事では妊活に必要な基礎知識を網羅的に解説しますので、ご参考にしてください。
目次
- 妊活のためにできる準備
- 妊活に重要な生活習慣
- 妊活中の注意点
- 基礎体温と月経の関連性
- 妊娠や妊活【Q&A】
- 夫婦で協力しながら妊活を始めよう
妊活のためにできる準備
妊活中は赤ちゃんを迎えるために準備を行う期間です。パートナーと協力して計画を立て、健康な体づくりを心がけましょう。基礎体温をつけて排卵日を予想したり、産婦人科を決定したり、不妊検査を受けたりと、妊活のためにできる準備はたくさんあります。
夫婦で計画を確認する
計画通りに赤ちゃんが来てくれるわけではありませんが、ある程度計画を立てて夫婦で確認しておくことが大切です。妊活はどちらか一方だけが頑張るものではありません。妊娠に向けて以下のことをお互い確認しておくとよいでしょう。
- いつ頃産みたいのか
- 何人欲しいのか
- 出産費用の予算
- 不妊治療まで行うのか
排卵日の予想をする
基礎体温は排卵が起こっているかを知る大きな手がかりです。基礎体温を測って記録すると排卵日を予想できます。基礎体温は、女性が起床時に横になったままで、舌の下に婦人体温計を入れて測る体温です。妊活のために基礎体温表をつける人が多いでしょう。
排卵日は排卵日予測検査薬を活用しても予想でき、基礎体温の測定と合わせると排卵日予測の精度が高くなります。
自分で排卵日を予想することもできますが、産婦人科などの病院を受診し、超音波検査で排卵日を推測することもできます。
一般的に妊娠しやすい性交渉のタイミングは排卵の前、または排卵直後といわれています。排卵日を予想して、妊娠しやすいタイミングで性交渉を行うと妊娠の可能性が高まります。
産婦人科を決定し、相談する
妊活は妊娠がゴールではありません。妊娠が判明したら、定期的に妊婦検診を受けて、出産を迎えます。出産後も産後1カ月検診や乳腺炎などの母乳トラブルで産婦人科を受診することもあります。
人気のある産婦人科は妊娠が判明し、病院を受診した時点で出産の予約を取らなければいけない場合も多くなっています。そのため、妊娠する前から出産したい産婦人科を決定しておくことをおすすめします。
生理が遅れて妊娠検査薬が陽性になったら、事前に調べておいた産婦人科を受診しましょう。また、子宮がん検診などで受診し事前に雰囲気を知っておくこともおすすめです。
不妊の要素がないか確認する
5組に1組が不妊に悩む時代と言われています。男女ともに不妊の原因があるため、不妊検査は男女が一緒に受けることが大切です。
不妊検査では、妊娠するために問題になるようなことはないかを調べます。もし、妊娠しにくい問題があれば、治療をすることで妊娠する可能性が高くなります。妊活の一環として不妊検査を受けてみることもおすすめです。
妊活に重要な生活習慣
妊活には規則正しい生活習慣が大切です。妊娠に限った話ではありませんが、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動と適正体重の維持に気をつけていきましょう。
必要な栄養を摂取
男女ともにバランスの良い食事を摂ることが重要です。栄養素が偏ると栄養失調になり、体全体に影響を与える可能性があります。妊活中に摂取すべき栄養素を女性と男性それぞれに解説します。
女性の場合
妊活中の女性が摂取すべき栄養素は葉酸、亜鉛、鉄分、たんぱく質です。特に葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天性異常の発症率を下げると明らかにされているため、過不足なく摂る必要があります。
詳しくは以下の記事をご参考ください。
男性の場合
男性が摂取すべき栄養素も女性と同じですが、特に亜鉛を摂るとよいでしょう。亜鉛が不足すると精巣の働きに影響を与えると言われています。牡蠣やピーナッツ、豚レバー、牛肉などの食品に多く含まれていますので、妊活中の男性は積極的に摂ってください。
詳しくは以下の記事をご参考ください。
良質な睡眠
人は寝ている間に脳や体を休ませるため、良質な睡眠は大事です。質の良い睡眠をとるために夜更かしをせずにできるだけ早めに布団に入り、朝は毎日同じ時間に起床しましょう。
必要な運動量や体重
妊娠、出産では女性の体に大きな負担がかかります。運動して筋肉をつけ、健康的な体をつくりましょう。運動習慣がない方は、ウォーキングやストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動からはじめてみてください。
妊娠するためには、やせすぎも太りすぎもよくありません。適正な体重を維持しましょう。適正体重はBMIが22のことをいい、適正体重 = 身長(m)×身長(m) ×22で計算することができます。
妊活中の注意点
妊活中には気を付けるべき点があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。特に、以下の4点に注意してください。
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 風疹
- 冷え
それぞれ詳しく解説していきますのでご参考ください。
①喫煙する
妊娠中の喫煙は胎児へ大きな影響を与えるため、妊娠が判明したら禁煙しなければいけません。喫煙している方は妊活と同時に禁煙も始めましょう。タバコに含まれるニコチンは血管を縮ませる作用があるため、胎児に栄養が届きにくくなります。
②過度にお酒を飲む
妊活中はお酒を飲んでもいいですが、妊娠中と授乳中は飲酒を避けなければいけません。アルコールは胎盤を通り、胎児へ移行します。妊活中からお酒を控え、妊娠が判明したらノンアルコール飲料などへ切り替えましょう。
③風疹に感染する
妊娠中に風疹に感染するとおなかの赤ちゃんに感染して、難聴や心臓などの病気を持って生まれる可能性が高くなります。風疹の予防接種を受けていない方は、妊活をする前に予防接種を受けてください。風疹の予防接種後2カ月程度は避妊が必要です。
予防接種を受けたかどうか分からない方は、風疹の抗体があるかどうか検査することもおすすめです。自治体によっては無料で抗体の有無を検査しています。検査を受ける時はパートナーと一緒に受けましょう。
④体を冷やさない
冷えは万病のもとです。体が冷えてしまうと、体全体の血行や代謝が悪くなり、子宮や卵巣にも影響が出やすくなります。体を冷やさないように気をつけましょう。首、手首、足首を温めると効果的に体を温めます。
基礎体温と月経の関連性
基礎体温と月経の周期は関連しており、基礎体温をつけると妊活の理想的なタイミングが予想できます。また、基礎体温から排卵障害などの病気の疑いが見つかることもあります。
妊活を始める方はまず基礎体温を測定し、排卵が起こっているかどうかを確認してみましょう。基礎体温から、排卵日が予想できたら排卵日の前後に性交渉のタイミングを合わせると妊娠の可能性が高くなります。
詳しくは以下の記事をご参考ください。
妊娠や妊活【Q&A】
妊娠や妊活について何となく分かってきたけれども、不明点もいくつか出てきた方もいるのではないでしょうか。ここでは妊娠や妊活についてよくある質問へ回答していきます。
妊娠の確率は高いのか?
避妊しなければすぐに妊娠するのではと考える方もいるかもしれません。健康に問題の無い男女が避妊をせずタイミングを合わせて性交渉した場合、妊娠する確率は約20~30%です。高齢になるほどさらに妊娠する確率は下がるため、妊娠確率が高いとはいえません。
着床したサインは?
着床した時に少量の出血を起こす「着床出血」という現象が起こることもあります。生理と違い、少量の出血が短い期間だけ続きます。着床出血がある割合は25%以下と言われており、着床出血が起きない方が多いです。
出産にかかる費用は?
出産にかかる費用には保険が適用されないため、妊婦健診も含めて全額自己負担です。帝王切開の場合は健康保険が適用されます。
多くの自治体で妊婦健診の助成があります。詳しくはお住まいの自治体へご確認ください。
出産費用にも助成があり、国民保険または社会保険に加入している方は、一児につき42万円の出産育児一時金が支給されます。通常、42万円の差額分を医療機関へ支払うことが多いですが、申請後に入金される場合もあるため、一時的に支払いが発生することもあります。
出産費用は、正常分娩では30万~70万円と幅があり、平均値としては40万~50万円が一般的です。無痛分娩などの分娩方法を選択するときは追加料金がかかります。
不妊の目安は?
不妊の目安は妊娠を希望する健康なカップルが避妊をしないで性交渉しているにもかかわらず、一般的に1年妊娠しないことをいいます。しかし、年齢を重ねると妊娠する確率が下がるため、1年経たず、数ヵ月自然妊娠しなければ医療機関を受診して不妊治療を受けるカップルもいます。
夫婦で協力しながら妊活を始めよう
妊活は夫婦で協力しながら始めましょう。妊活には注意点もあるため、ふたりで基礎知識を増やしておくことが大切です。
妊活はひとりではできませんので、パートナーと一緒に計画を確認し、協力して進めてください。不安に思った時は夫婦で悩みを抱え込まずに、自治体の窓口や医療機関へ相談しましょう。