妊活の理想的なタイミング|妊娠の確率を上げる方法
男性妊活基礎知識
2022.11.01

妊活の理想的なタイミング|妊娠の確率を上げる方法

※本記事は薬剤師が執筆しております※

妊活の理想的なタイミングについて知りたいと思っている方は多いのではないでしょうか?

妊活のタイミングを最大限に高めるためには、確認すべきことがいくつかあります。

さらに子宮内膜症など病気の可能性なども同時に確認しておくと良いでしょう。

この記事では妊活のタイミングだけでなく、そのタイミングでの妊娠を最大限に高めるための知識についても解説します。

この記事をパートナーと一緒に読んで妊活を成功させましょう。

⽬次

  1. 理想的な妊活のタイミングと回数
  2. 排卵日を確認する方法
  3. 基礎体温と排卵日の関係性
  4. 基礎体温と日数の関係性
  5. 月経周期や症状による注意点
  6. 妊娠確率を下げる注意点
  7. 男性も妊活の準備を徹底する
  8. 妊活の確率を最大限に高めよう

理想的な妊活のタイミングと回数

自然妊娠を目指す上で理想的な妊活のタイミングと回数を知っておくことは大切なことです。ここでは理想的な妊活のタイミングと回数についてお話します。ポイントは以下の3つです。

  • 排卵日の5日前から排卵当日まで
  • 毎日性行為を行うほど確率が上がりやすい
  • タイミング法を実施する

以下に1つずつ説明します。

排卵日の5日前から排卵当日まで

排卵の5日前~排卵当日までの性交渉で妊娠の可能性があり、排卵日の1日前と2日前が妊娠率が高いと言われています。

排卵とは月経周期に合わせて成熟した卵子が、卵巣から排出されることです。排卵された卵子は卵管に入り、精子との出会いを待ちます。一方、性交で射精された精子は腟、子宮から卵管へ進み、卵子との出会いを待ちます。妊娠は卵子と精子が出会い、融合し、受精卵となることが始まりです。

排卵の1~2日前が1番妊娠しやすく、排卵6日以上前と排卵日の翌日以後はほぼ妊娠しないという報告があります。また、米国生殖医学会は、排卵4日前から排卵前日までに、1~2日おきに性交渉すると妊娠しやすいとしています。

妊娠しやすい時期はあくまで目安のため参考にしてください。

毎日性行為を行うほど確率が上がりやすい

性交渉をいつ行うかという時期ばかりが注目されますが、回数も重要です。

週に2〜3回性交渉があれば、精子が常に女性の体内に存在するので、排卵がいつあっても妊娠できることになります。逆に回数が少なければ妊娠の確率は下がります。

妊娠率は、毎日の性交渉で37%、1日おきは33%、週1は15%という報告もあります。

毎日性交渉した方が妊娠率は高いです。

タイミング法を実施する

タイミング法とは、妊娠の可能性が最も高いと考えられている排卵日を予測して性交渉をもち、妊娠の確率を上げる方法です。不妊治療のひとつで、最初に行われることが多い治療法です。タイミング法を毎月実施することで妊娠の確率は上がります。

妊娠しやすい時期は排卵日を基準にして考えます。排卵後の卵子の寿命は約24時間、女性の体内に入った精子の寿命は約72時間と覚えておきましょう。妊娠のためには排卵が起きたときに精子がなければいけません。したがって妊娠しやすいタイミングと考えられているのは排卵日の1日前〜排卵日です。

これがタイミング法の基本です。精子の生成は毎日なので、排卵日に合わせて数回性交渉すると良いでしょう。

排卵日を確認する方法

タイミング法にとって大切な排卵日ですがどのようにすれば排卵日を正確に知ることができるのでしょうか?

現時点では主に以下の方法が知られています。

  • 基礎体温法
  • 検査薬
  • 超音波検査
  • 頸管粘液

以下に1つずつ説明します。

基礎体温法

毎朝ほぼ同じ時刻に基礎体温を測定し、「基礎体温表」に記録することで排卵日を予測する方法です。基礎体温の低い「低温期」と基礎体温の高い「高温期」の分かれ目前後が排卵日時期となります。

基礎体温測定は起き上がる前に行い、目盛が0.00度単位の婦人体温計で口腔内(舌下)で行ないます。基礎体温表には体調の変化なども記載しておくと良いでしょう。

この方法は3ヶ月以上続けてください。また、排卵時期にはまだ低体温という場合もあり、排卵日の特定ができない場合もあります。

排卵日予測検査薬

尿を検査薬にかけて、尿中の黄体ホルモン濃度の変化を検査することによって排卵日を事前に予測する方法です。黄体ホルモンは排卵を促すホルモンです。

朝、昼、夜のいつの尿でも良いので毎日同じ時刻に検査します。排卵日予測検査薬の購入先は薬局です。製品により操作方法、判定のしかたが異なるので、薬剤師に相談し、分かりやすいものを選びましょう。

超音波検査

病院で行う超音波検査により、卵胞の直径を測定する方法です。

排卵日直前の卵胞の大きさは20mmくらいです。排卵の時期を知るには排卵前後に何回か超音波検査をしなければなりません。確実な排卵日を知るためには尿中黄体ホルモン検査と組み合わせます。

頸管粘液

子宮頸管(しきゅうけいかん:子宮の入り口)でできる頸管粘液の様子で受精可能日を予測する方法です。

排卵直前になると、粘液の量が増えて、白もしくはクリーム色、膣もしっとりした感じになります。

基礎体温と排卵日の関係性

排卵は「低温期」の最終日に起こると仮定されていますが、排卵が分かるのは、通常「高温期」に入ってからです。そのことからも基礎体温だけで排卵日を確実に予測するのは困難なことと言えます。

健康な成人女性ではホルモンバランスで高温期と低温期に分かれます。0.3~0.5度の範囲に低温期と高温期の差が納まっていれば理想的です。 ただし個人差があるので、体温が2相に分かれているようなら、きちんと測れています。

基礎体温だけで排卵日の予測が困難でも、体の状態を知ることができ、生活のリズムも整うので体調管理のために妊活中は記録し続けると良いでしょう。

基礎体温と日数の関係性

基礎体温と日数にはどのような関係性があるのでしょうか?

基礎体温と日数について気をつけるポイントは3つです。

  • 高温期が9日以内
  • 高温期が16日以上
  • 高温期が不安定

以下に1つずつ説明します。

高温期が9日以内

高温期が9日以内と短い場合は、黄体ホルモン分泌が円滑でない「黄体機能不全」の疑いがあります。

黄体ホルモンの分泌が不十分だと、受精卵の着床準備のための子宮内膜の変化(内膜の分泌期)が不完全なため、着床障害が起こります。その結果、不妊症や妊娠しても流産となる原因の1つです。

2年間の不妊があれば積極的な検査が必要です。黄体機能不全は治療も可能なので是非産婦人科医を受診しましょう。

高温期が16日以上

通常、14日間程度の高温期が16日以上続くような場合は、妊娠の可能性が考えられます。

さらに21日以上続いた後、出血が起こる場合は切迫流産しているかもしれません。いずれにしても高温期が続く場合は、産婦人科医に診察してもらいましょう。

高温期が不安定

月経が来ても排卵を伴っていない「無排卵月経」が考えられます。

無排卵月経は不妊の原因です。長い期間、無排卵状態だと骨粗鬆症(こつそそうしょう)や子宮体がんになる危険性が高くなります。

無排卵月経になる原因には、病気とそれ以外のものがあります。原因となる病気は多のう胞性卵巣症候群という卵巣疾患や甲状腺疾患などです。それ以外の原因としては、肥満やダイエットによる低体重、ストレスなど、また抗うつ薬など薬の影響でなる場合もあります。

高温期が不安定な場合はなるべく早く産婦人科医を受診しましょう。

月経周期や症状による注意点

月経はその周期や症状により無排卵月経や子宮内膜症などの可能性が判断できる要素にもなります。

月経で分かる可能性のある病気は以下の4つです。

  • 無排卵月経の可能性
  • 無月経の可能性
  • 子宮内膜症の可能性
  • 子宮筋腫の可能性

以下で1つずつ説明します。

無排卵月経の可能性

正常な月経周期は25〜38日間です。月経周期が24日以内の場合、まずは基礎体温をつけて無排卵になっていないか確認しましょう。低温期と高温期がはっきりしていれば無排卵ではありません。

月経周期が24日以内は頻発月経と呼ばれ、「卵胞期短縮症」や「黄体機能不全」などの病気も疑われます。それぞれ、増殖期(卵胞期:低温期)が短くなる病気、分泌期(黄体期:高温期)が短くなる病気です。この場合も基礎体温をつけていれば医師が判断しやすくなります。

低温期と高温期が以前より短くなったと感じたら、早めに産婦人科医に相談しましょう。

無月経の可能性

39日以上と長過ぎる場合は希発月経、90日以上月経がない場合は無月経といいます。無月経の女性のほとんどは卵巣からの排卵がなく、このような場合は妊娠できません。

月経周期が長いのはもともとの体質による場合とホルモン分泌や卵巣機能などに異常がある場合がありますが、治療しないと無月経になってしまうこともあります。また、長期間無月経だと治療効果が出なくなってしまいます。

月経周期39日以上が長く続く場合は産婦人科医に相談しましょう。

子宮内膜症の可能性

月経中寝込むほどの腹痛がある場合は子宮内膜症の可能性があります。

20~30代に多い病気です。 免疫異常、腹腔内へ月経血が逆流するという「逆流説」がありますが、はっきりとした発症メカニズムは現在のところ分かっていません。

子宮筋腫の可能性

月経血にレバー状の固まりが混じる場合は子宮筋腫の可能性があります。

子宮筋腫とは子宮の筋肉細胞が増加したり腫大したりして発生する良性の腫瘍です。筋腫はホルモンの影響を受けて増大するので、閉経で自然治癒します。

妊娠確率を下げる注意点

妊娠のタイミングを上げるにしても、妊娠の確率を下げる生活は避けるべきです。妊娠確率を下げないようにするための生活上の注意点にはどんなことがあるのでしょうか。気になるところです。

妊娠の確率を下げる注意点は2つです。

  • 禁煙をする
  • 食事管理を徹底する

以下に1つずつ説明します。

禁煙をする

受動喫煙の心配もあります。パートナーと一緒に禁煙しましょう。

男性の喫煙は精子のDNAの損傷率を高めるほか、精子の運動率を低下させます。女性の喫煙は卵子の老化を進め、低体重児出生のリスクを上げます。さらに、どちらの場合も待っているのは妊娠率の低下と流産率の上昇です。

妊活を考えたら、同時に禁煙しましょう。

食事管理を徹底する

1日3回、ビタミン、ミネラルを含めた栄養のバランスの良い食事を摂りましょう。妊娠に必要なホルモン生成のため、肉を含むたんぱく質はしっかり摂取したい栄養素です。

炭水化物は控えましょう。妊娠に肥満は禁物です。必要以上の炭水化物摂取は脂肪として蓄積されます。

オメガ3脂肪酸や葉酸は男性が摂取したい栄養素です。食事で摂取しにくい場合はサプリメントも活用しましょう。

男性も妊活の準備を徹底する

妊活のタイミングを最大限に生かすために男性も妊活の準備を徹底しましょう。男性が妊娠確率を高める対策として挙げられるのは以下の2つです。

  • 生活習慣の改善
  • 定期的な射精

精子ができるには74日以上かかるので質の高い精子のためには、十分な睡眠をとる、定期的な運動をするなど健康的な生活を心掛ける必要があります。

射精しないと死滅精子など質の低い精子が多くなります。妊娠にはフレッシュな精子の方が良いので、2~3日に1回は射精して精巣内の精子を新しくしましょう。頻度は個人差なので気にしなくて良いです。

妊娠、出産は女性が担うことが大半ですが、妊活には男性にしかできないこともあります。しっかり準備して妊娠確率を上げましょう。

妊活の確率を最大限に高めよう

妊活のタイミングと妊娠を最大限に高めるための知識について解説してきました。

昔から「子は授かりもの」と言い、教科書通りに進めても授かるとは限りません。とは言っても妊娠を望む限り、できるだけのことはしたいものです。男性、女性ともに健康的な生活を送り、基礎体温測定などそれぞれが妊娠確率を上げる対策を徹底しましょう。

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