「妊活がつらい」妊活はなぜつらい?ストレスへの対処法
男性妊活基礎知識
2023.02.19

「妊活がつらい」妊活はなぜつらい?ストレスへの対処法

 ※本記事は薬剤師が執筆しております※

妊活がストレスとなってつらいと感じている方も多いのではないでしょうか?

妊活中はストレスが溜まりやすいですが、発散方法やストレスとの付き合い方を知りストレスを解消できるようにしましょう。

この記事では妊活がストレスとなる瞬間や不妊の原因、ストレスへの対処法を解説します。ぜひ、最後まで読んでください。

目次

  1. 妊活は男女ともにストレスを感じるもの
  2. 不妊の原因
  3. 女性が「妊活がつらい」と感じる瞬間
  4. 男性が「妊活がつらい」と感じる瞬間
  5. 妊活中に周囲から言われて傷つく言葉
  6. 妊活がつらいときの対処法
  7. まとめ

妊活は男女ともにストレスを感じるもの

女性の社会進出が進むにつれ晩婚となり、初めて出産する女性の平均年齢は30歳を超えるようになりました。女性の出産年齢が上がるにつれ、自然妊娠は難しくなるため妊活に取り組むカップルも増えています。

妊活中にストレスを感じたことがある女性は約9割と言われており、妊活中にストレスを感じるのは男性だけではありません。

不妊の原因

不妊とは、避妊せず性交渉を行っていても、1年以上妊娠しない状態のことです。

不妊の原因は、男性女性のいずれか、もしくは両方にある場合があります。ここでは、不妊の原因を男女別に解説します。

  • 女性側の原因
  • 男性側の原因

女性側の原因

女性側に原因がある場合はどのような場合でしょうか?ここでは、女性側の原因6つを紹介します。

  • 排卵因子
  • 卵管因子
  • 頸管因子
  • 免疫因子
  • 子宮因子
  • 加齢

以下で、1つずつ詳しく説明します。

排卵因子

月経のように出血しても排卵はしていないことがあります。排卵がない原因に女性ホルモン分泌に影響する病気、重度の肥満または体重減少、ホルモンバランスの乱れによる病気などがある場合は、原疾患治療や排卵を起こす治療を行います。また、全く月経がない場合は、ホルモン分泌異常や早発閉経の場合もあるので、注意が必要です。

排卵の有無を確認する方法は、基礎体温測定です。

卵管因子

卵管は、卵子と精子が受精したり、受精卵が子宮に戻ったりする場所です。卵管が炎症や子宮内膜症で閉塞していると妊娠できません。クラミジア感染症に罹ったことのある人は、卵管が詰まることもありますが、その場合、ほとんど無症状です。

卵管の通過性は子宮卵管造影検査で調べられます。

頸管因子

頸管は子宮の出口を巾着の口のように閉めている筒のような部分です。排卵が近づくと、頸管から粘液が分泌され、精子が子宮の中に進入しやすくなります。粘液量が少ないと子宮内に進入できる精子が減って妊娠しにくくなります。

自宅での性行為の後に、病院で頸管内の精子の状態を調べることが可能です。

免疫因子

免疫反応にある「抗体」は関与する場合があります。「精子不動化抗体」という精子の運動性を失わせる抗体を持つ女性では、子宮頸管や卵管で卵子に到達する前に精子の運動性を失くすので、妊娠が成立しません。

精子不動化抗体の有無は、血液検査で調べることが可能です。

子宮因子

子宮筋腫、ポリープ、先天的形態異常などが原因で、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に手術や炎症による癒着や変形した部分があると、子宮内にたどり着いた胚が付いて育つことを妨げるので、妊娠が成立しません。

 超音波検査や子宮通水検査によって確認できます。

加齢

男女とも、加齢で妊娠する、させる力がともに低下します。女性は30歳辺りから自然妊娠率は減り、35歳からは顕著に低下します。さらに低下するのが40歳以降です。原因は、卵子の質の低下、子宮や卵巣の病気のリスクの増加です。

また、加齢で流産率が上昇するとも言われています。

男性側の原因

不妊の原因の半数は男性にあると言われています。男性側に原因がある場合はどのような場合でしょうか?ここでは、男性側の原因4つを紹介します。

  • 造精機能障害
  • 精路通過障害
  • 性機能障害
  • 加齢

以下で、1つずつ詳しく説明します。

造精機能障害

精子の数が少なめ、もしくは無い、あるいは精子の運動性が悪いなど精子の質に問題があると、妊娠率は下がります。精索静脈瘤などで精巣内の温度が上がると、精子の数や運動性が低下します。また、特に原因なく精子が作られない場合もあります。

精子の量、質を確認する方法は、精液検査です。

精路通過障害

精子がペニスの先端まで行くための道が途中で閉塞されていると、射精はできますが、精子は排出できないので、妊娠が成立しません。精巣上体炎など過去の炎症により精管が詰まっている場合や先天性の静管不形成なのどの場合があります。

性機能障害

勃起障害(ED)、腟内射精障害などが原因で、セックスで射精できないことです。一般的に、仕事などでのストレスや妊活での精神的なプレッシャーなどが原因と考えられますが、糖尿病、心理的および精神疾患的要素、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因のこともあります。

勃起障害(ED)の場合は治療薬があります。

加齢

男性も加齢により妊娠させる力が低下します。男性の妊娠させる力の低下は、女性に比べれば遅いですが、35歳ごろから精子数と精液量の減少、精子の質の低下、男性ホルモンの分泌減少が始まります。

普通、50歳代まで妊娠させる力はありますが、個人差が大きいのが特徴です。

女性が「妊活がつらい」と感じる瞬間

「子どもが欲しい」とパートナーと話し合って妊活を始めたけれども、妊娠に至らない期間が長くなると焦りが出てきます。「子どもって意外にできないものだ」と、想像していなかったつらさを味わうこともあるかもしれません。

女性が「妊活がつらい」と感じる瞬間とは、どんなときなのでしょうか?ここでは女性が「妊活がつらい」と感じる瞬間を4つ紹介します。

  • 生理が来るたびにつらい
  • 周囲からの言葉に傷つく
  • パートナーとの考えにズレがある
  • 仕事と妊活の両立がつらい

以下で、1つずつ詳しく説明します。

生理が来るたびにつらい

生理が来るたびに妊活がリセットされ、それが毎月繰り返されるので、どんどんつらくなってしまいます。いつ妊娠できるか分からないので、終わりがないように思ってしまうことも原因でしょう。

人によっては「妊活うつ」になることもあるので、注意する必要があります。また、不妊治療では、副作用や痛みを伴うことがあるので、それが原因で疲れるという人もいるようです。

周囲からの言葉に傷つく

「早く孫が見たい」とか直接的なことは言われなくても無言のエールが辛かったり、何気ない会話の中にある「どこどこの子どもが…」という言葉を変に勘ぐってしまったりと、周囲の様子や声をつらく感じたことが妊活中はあるようです。

義両親、実両親、親戚など、相手は人によりいろいろですが、妊活を経験した方の多くが同じ思いをしています。

相手が悪気なく言っていることでも、妊活中は強いストレスを感じることがあります。つらい妊活は、夫婦二人の絆で乗り越えましょう。

パートナーとの考えにズレがある

妊活は2人で行うものですが、カップルのうちどちらか一方が妊活や不妊治療に理解がないと、一人で抱え込んでしまうことになってしまいます。特に、年齢による制約を受ける女性の方が男性よりも焦りやすく、子どもを望む気持ちに温度差が生じてしまうこともあるでしょう。

気持ちに温度差があると物事はうまく進みにくいです。妊活を始める前だけでなく、妊活を始めたあとも、常日頃からよく話し合って、妊活への共通認識を持っておくようにしましょう。

仕事と妊活の両立がつらい

厚生労働省の調査では、不妊治療の経験者の約3割が、仕事と不妊治療が両立できず、どちらかをやめるかもしくは仕事で雇用形態を変更しています。その理由は、「通院回数が多いため」「精神面での負担が大きいため」「仕事の日程調整がむずかしい」が上位でした。

両立できていても、仕事が妊活に影響することは多いです。「排卵予定日前後は性交渉を行う」と決めていても、仕事が忙しいと億劫になってしまったり、クリニックでの検査や治療も、仕事を休む必要が出てくる可能性もあるので、時間的な余裕は必要です。仕事のスケジュール調整時には、優先順位を決めるなどの工夫も必要になります。

不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての 総合的調査研究事業調査結果報告書【概要】

男性が「妊活がつらい」と感じる瞬間

男性が「妊活がつらい」と感じる瞬間はどのようなときでしょうか?ここでは、男性が「妊活がつらい」と感じる瞬間を2つ紹介します。

  • 妊活によるプレッシャーがつらい
  • 金銭面の不安

以下で、1つずつ詳しく説明します。

妊活によるプレッシャーがつらい

なかなか妊娠が成就しないと、男性の性行為へのプレッシャーも増していきます。勃起不全(ED)や膣内射精障害の原因は、セックス中の不安も大きいです。一度EDや膣内射精障害があると、失敗した経験が更なる不安を生んで、以後のセックスでも失敗してしまうということになる可能性もあります。

金銭面の不安

妊活中は、妊活用のグッズや医療費などお金がかかるため、金銭的にも厳しい状況になりやすいです。

医療費については、2022年4月からは不妊に関する検査や薬、人工授精、体外受精、顕微授精などが保険適応となり、窓口負担が3割になったので、以前より負担が軽減されるケースは増えています。しかし、妊活を続けるためにはお金を稼ぎつづけなければならない、と特に男性が負担を感じやすいです。

妊活中に周囲から言われて傷つく言葉

妊活中はつらい時期だからこそ、周囲からの言葉に敏感になりがちです。妊活中に周囲から言われて傷つく言葉にはどんなものがあるのでしょうか?

ここでは、妊活中に周囲から言われて傷つく言葉を2つ紹介します。

  • 親族からの「子どもはまだ?」
  • 友人からの妊娠報告

以下で、1つずつ詳しく説明します。

親族からの「子どもはまだ?」

実母、義両親、親戚など、相手はいろいろですが、妊活経験のある人は多かれ少なかれ、何気ない一言でもつらく感じることがあると言っています。

赤ちゃんを待ち望む、周囲からの期待の声、無言のエール。プレッシャーに感じるなという方が無理かもしれません。

友人からの妊娠報告

なかなか妊活がうまくいかない時に、周りから妊娠報告を受けると、「良かったね」と思う半面、つらいと感じてしまいます。

友人からの妊娠報告がつらい理由は主に下記の2つです。

  • なぜ自分は授からないのか、他の人は自分より楽して授かっているような気がする
  • おめでたいけど心からお祝いし切れないこととその気持ちになる自分への自己嫌悪

そんな気持ちをうまく切り替えて、自分たちの妊活に励みましょう。

妊活がつらいときの対処法

妊活は長く続けば続くほどつらく感じるようになるようです。妊活がつらく、ストレスを感じるときの対処法にはどのようなものがあるでしょうか?

ここでは、妊活がつらいときの対処法を4つ紹介します。

  • 自分を責めない
  • 性行為をカップルで楽しむ
  • 妊活仲間を作る
  • パートナーと意識を合わせる

以下で、1つずつ詳しく説明します。

自分を責めない

妊活中は、特に女性は自分を責める傾向があります。「もしあのとき〇〇をしなければ…」など、原因を考えたらキリがありません。より大きなストレスを感じることにつながるため、自分を責めるのはやめましょう。

「自分のせい」と思える理由が見つかって自分を責めても、妊娠の役に立たないだけでなく、気分が沈んで、楽しい妊活から遠ざかってしまいます。

性行為をカップルで楽しむ

本来、性行為は、2人にとって大切なコミュニケーションです。しかし「妊活」となると、セックスは妊娠する手段になってしまいます。愛と喜びというより、作業、苦しみという気持ちが強くなります。これは、男性にとっては勃起不全の原因になり、さらには自然妊娠が見込めなくなる理由です。

人工授精という手段はありますが、予防のためには日常からセックスを楽しみましょう。

妊活仲間を作る

妊活がうまくいっていないと友人などにも話しづらく、孤独感を感じ、閉塞感から落ち込みやすくなるものです。そんな時は一人で悩まず、クリニックでのつながりやSNSで心の内を共有できる相手を探してみてはどうでしょうか。

世界を広げると同じようなことで悩んでいる人が見つかる可能性が出てきます。「一人で悩まないようにする」ことが大切です。

パートナーと意識を合わせる

妊活は2人の問題です。どんなことでも共有し合いましょう。「このくらいは相手も分かっている」と思うのはやめましょう。何でも、相手と相談して、小さな違和感が、大きな温度差にならないように、パートナーと意識を合わせましょう。

「どんな家族を持ちたいか」という家族像を共有していますか?家族像を共有することで、2人が進んで行く方向が分かり、漠然とした不安は減り、ドッシリと構えていられるでしょう。

まとめ

この記事では、妊活がストレスとなる瞬間や不妊の原因、ストレスへの対処法を解説してきました。

ストレスの発散方法を知ることで、ストレスと上手く付き合えるようにしましょう。

何より妊活は夫婦2人の問題です。パートナーとどんなことでも共有し、意識合わせていきましょう。また、具体的な妊活の進め方などについては、医療機関や自治体の情報を十分にチェックしましょう。

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