※本記事は薬剤師が執筆しております※
「そろそろ妊活をしたいと考えているけれども、何から始めればいいの?」
「どうして妊活には基礎体温の計測が必要なの?」
「基礎体温の測定方法はどうすればいいの?」
上記のようなお悩みをお持ちではありませんか?妊活を始めるときに、基礎体温を測ることはとても大切です。基礎体温を測ることで大まかな排卵日を予測することができます。排卵日を知ることができると、妊娠成立の近道へとつながります。
本記事では基礎体温を測る方法、妊娠しやすいタイミングについて解説しますのでご参考にしてください。
⽬次
- 基礎体温とは?
- 妊活をするカップルは基礎体温を計ろう
- 妊娠しやすいタイミングは?
- 基礎体温の計り方
- 理想的な基礎体温のパターンとは?
- 注意したい基礎体温パターン
- 基礎体温の測定を習慣づけるポイント
- 排卵検査薬から排卵日を予測することも
- まとめ
基礎体温とは?
基礎体温とは起床時に安静にして測定する体温のことです。基礎体温には女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが反映されるため、基礎体温を測ることによって排卵日や生理開始日を予測することができます。
基礎体温は低温期と高温期の2つに分かれ、低温期と高温期の体温差は0.3℃以上が理想的です。生理周期が28日の場合、低温期の14日間は卵巣から卵胞ホルモンの分泌が増え、排卵を境に黄体ホルモンの分泌が増える高温期へと移行します。妊娠が成立しないと、14日後に体温が下がり、生理が始まります。
妊活をするカップルは基礎体温を測ろう
毎日基礎体温を測定することによって「排卵が起こっているのか」「排卵日はいつか」「妊娠しているのか」などが推測できます。
基礎体温が低温期と高温期に分かれていない場合、毎月生理がきていても排卵が行われていない無排卵の可能性も考えられます。
低温期と高温期に分かれていると、低温期から高温期に移行する時期が排卵期です。毎日の基礎体温測定から排卵日を予測できるため、性交渉のタイミングをとりやすくなります。
また、妊娠が成立していると高温期が続くため、妊娠の可能性に気づきやすくなるでしょう。
妊娠しやすいタイミングは?
一般的に妊娠しやすい性交渉のタイミングは排卵の前、または排卵直後といわれています。精子と卵子が生存している間に出会わないと妊娠が成立しないため、妊活中は排卵日を事前に予測することが大切です。
卵子の生存期間は排卵後約24時間、精子の女性の体内での生存期間は個人差がありますが約2〜3日といわれています。妊娠しやすいタイミングで性交渉をするために、毎日基礎体温を測りましょう。
基礎体温の計り方
基礎体温は一般的な体温計では測ることができません。微妙な体温の変化を調べるため、口の中で測定する専用の婦人体温計が必要です。睡眠中に測定するのが理想的ですが、寝ている間に測定できないため、起床後すぐに測ります。
基礎体温の測り方は以下のとおりです。
- 寝ている状態のまま、基礎体温計を舌下のつけ根の左右どちらかにあてる
- 舌で押さえて口を閉じ、体温計がずれないように手で支える
- 測定完了の合図が鳴るまで待つ
安静状態で計測しよう
基礎体温は安静状態で計測します。起き上がるだけでも基礎体温は変化するため、寝たままの状態で基礎体温計を使用できるよう枕元などに準備しておきましょう。
毎日布団に入った状態で基礎体温を計測する習慣を身につけることが大切です。習慣化するには、少なくとも3週間続けることが必要といわれているため、まずは1周期毎日続けてみましょう。
理想的な基礎体温のパターンとは?
毎日基礎体温を計測しはじめたら、グラフ化してチェックしてみましょう。基礎体温をアプリに入力すると、グラフ化できるため、アプリの利用がおすすめです。ここでは理想的な基礎体温のパターンについて解説していきます。
2相(低温期と高温期)になっている
正常な排卵が行われていると基礎体温のグラフは低温期と高温期の2相になっています。しかしながら、基礎体温は微妙な体温差を計測するため、体調や気温に左右されることも多くあります。神経質にならずに、リラックスして測りましょう。高温期と低温期が分かると、上手に計測できていると考えられます。
高温期の長さが12~14日ある
高温期の長さは12〜14日です。高温期には黄体ホルモンが分泌され、黄体ホルモンの作用によって体温が上昇します。また、黄体ホルモンは子宮内膜を成熟させ、受精卵が着床しやすい環境を整えます。
高温期が短い場合は、黄体機能不全などの疑いもあるため、婦人科で検査を受けましょう。黄体機能不全は不妊症や流産につながる可能性があります。黄体機能不全は、卵巣機能が未熟な若年層や、加齢などにより卵巣機能が低下した方に見られます。
低温期が約11~14日間続く
低温期の長さは個人差がありますが、一般的に約11〜14日間続く方が多いでしょう。高温期の長さには個人差が少ないため、低温期の長さによって生理周期は異なります。
高温期から低温期に入ると数日以内に生理がくる方が多いようです。低温期に入っても生理がこないときは、基礎体温の測り方に問題がないか確認してみましょう。室温が低く身体が冷えている場合は、基礎体温が下がることもありますが、計測方法に問題がなく、低温が続く時は生理不順や妊娠が疑われます。
注意したい基礎体温パターン
基礎体温を計測し、グラフ化した後は注意しないといけない基礎体温に当てはまっていないかチェックすることも大切です。ここでは気をつけたい基礎体温パターンについて説明しますので、ご確認ください。
折れ線グラフがバラバラ
基礎体温のグラフが2相になっておらず、ギザギザになっている時は注意が必要です。理想的な基礎体温グラフは低温期、高温期の2相に分かれている状態ですが、どこが低温期か高温期か分からないという方もいるかもしれません。就寝時間や起床時間がバラバラだと基礎体温も正しく測りにくくなります。睡眠不足や不規則な生活はできるだけ避けましょう。
ずっと高温期が続く
黄体ホルモン剤を服用していないのに、2週間以上高温期が続く場合には妊娠の可能性があります。妊娠検査薬で妊娠の有無をチェックして、すみやかに病院を受診しましょう。高温期が続いているのに出血が始まった場合には流産の兆候である可能性も考えられます。
低温期が続き終わらない
低温期が続いていつになっても高温期にならない場合、排卵が起こっていない可能性が考えられます。また、低温期が24日を超えるときは月経異常を起こしている可能性もあるため、すぐに産婦人科を受診しましょう。早期発見して治療を行うことにより、不妊予防につながります。
基礎体温の測定を習慣づけるポイント
基礎体温は「計測を忘れてしまった…」など、計測を習慣づけることが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは基礎体温の計り忘れがないように工夫する方法をご紹介します。
アプリを活用する
基礎体温は計測しただけで低温期と高温期を把握するのは難しいため、記録を残すことがおすすめです。計測して、記録することが面倒だと感じる方は、基礎体温計とスマホアプリが連動している基礎体温計を選びましょう。基礎体温計と連動したアプリを活用すると、自動的に記録を残せるため、手間を減らすことができ、続けやすくなります。
パートナーに協力してもらう
毎日の健康チェックのために毎朝体温を測っている方も多いでしょう。基礎体温の測定を習慣づけるために、パートナーの体温測定を起床後すぐにしてもらい、一緒に測定すると習慣化しやすくなります。妊活は2人で協力することが大切ですので、基礎体温の測定もパートナーに協力してもらいましょう。
排卵検査薬から排卵日を予測することも
基礎体温の測定と合わせて排卵日予測検査薬を活用すると排卵日予測の精度が高くなります。排卵日予測検査薬とは排卵がおこる前に急激に増える黄体形成ホルモンを検知することで事前に排卵を予測する検査薬です。
排卵日予測検査薬は尿中に大量に分泌されるLH(黄体ホルモン)サージを検知します。LHサージから約40時間以内に排卵がおこるといわれているため、約1日前に排卵日を予測することができます。
基礎体温測定からは排卵後に高温期になることが分かるため、基礎体温と排卵日予測検査薬を併せることにより排卵日予測の補助として有用です。
排卵日予測検査薬は第1類医薬品に指定されているため、薬剤師がいる薬局でしか購入することができません。また、妊娠のために排卵日の予測を補助する検査薬ですので、避妊目的に設計されていません。
まとめ
基礎体温を測定することは女性の体の状態を知るために大切なことです。基礎体温から、生理開始予定日や排卵日を予測できるだけでなく、無排卵などの病気の可能性に気づくことができます。
基礎体温を測定し、記録すると排卵日予測の手助けになるため、性交渉のタイミングもとりやすくなり、妊娠確率も高くなることが期待できます。
妊活のために基礎体温を記録する場合、気になる点があれば自己判断せずに医師に相談してください。