※本記事は薬剤師が執筆しております※
「妊活を始めたけれどもなかなか妊娠できない…」「妊活始めたらどのくらいで妊娠できる?」と、妊活を始めると気になることはいろいろと出てきます。
妊活といえば、タイミング法ばかり注目しがちですが、他にも基礎体温を測ったり、睡眠時間を十分に確保したり、パートナーと話し合ったりするなど、他にも様々な準備が重要になです。
この記事では、妊活の平均期間を年代別に紹介し、妊活にはどのような準備が必要なのかを詳しく紹介していきます。
目次
- 年代別の平均妊活期間とは?
- 妊活はいつから始めるべき?
- 妊活期間を短縮するためにできることは?
- 妊活期間に控えた方がいいことは?
- まとめ
年代別の平均妊活期間とは
平均妊活期間とは、妊活を始めてから妊娠するまでの期間のことを言います。平均妊活期間は、妊活を始めた年代によって大きく変わってきます。
それでは、年代別にそれぞれ確認していきましょう。
20代の平均妊活期間
- 20〜24歳までは、平均妊活期間は4ヶ月
- 25~29歳までは、平均妊活期間は6ヶ月
20代から妊活を始めても4〜6ヶ月かかるのは、想像よりも長いと思われた方もいるでしょう。
実は健康な男性と女性が排卵日に合わせて避妊をせずに性交渉をした場合、妊娠できる確率は20〜30%で、意外と低いものです。
若いのですぐに妊娠できると思っている方も多く、そのため妊活を始めてみると「妊娠するまで思ったより時間がかかった」と感じる方もいるようです。
それでも、1年以内に妊娠する人が約80%で、他の世代に比べても高い妊娠率になっています。
30代の平均妊活期間
- 30〜34歳までの平均妊活期間は8ヶ月
- 35〜39歳までの平均妊活期間は13ヶ月
このように30代前半と30代後半では、平均妊活期間が大きく変わることに驚く方も多いでしょう。
日本生殖医学会の調べによると、年齢とともに卵子の質、受精後の胚の発育が悪化していきますが、35歳以降からはそれに加えて流産率が上昇していくので、妊娠率が大きく低下していきます。
また、35歳以上になると男性の精子の質、量の低下も出てきて、妊娠に更に影響が出てきます。
このため、35歳以上から妊活を始めた場合は、平均して1年以上かかることも視野においておきましょう。
40代の平均妊活期間
- 40〜45歳までの平均妊活期間は17ヶ月
40〜44歳の自然妊娠率は20%以下まで低下し、45〜49歳の自然妊娠率はさらに5%まで低下していきます。
先ほど述べたように、年齢とともに卵巣や卵子、子宮の機能が低下するため、30代に比べても妊活期間はさらに長くなっています。
また、婦人科系の病気の発症率が上昇することも明らかになっているため、40代で妊活を始めた場合は定期的に病院を受診するようにしましょう。
妊活はいつから始めるべき?
妊活は、夫婦で協力しあって始めないとなかなかうまくいきません。
経済的な部分や現在の状況を踏まえて、夫婦で話し合ってお互いに納得できるタイミングが妊活を始めるのにベストなタイミングになります。
つまり、「結婚してすぐに妊活を始めたい」「もう少し夫婦の時間を過ごしてから妊活したい」など考え方は夫婦によって様々あり、どのタイミングも間違いではありません。
ただし、男性、女性共に妊娠力は年齢が上がるにつれて低下していきます。また、不妊の原因は、男性と女性それぞれ半々の割合であるので、もし治療が必要になった場合は妊娠までにさらに時間がかかります。
そのため、子供が欲しいと考える場合は、出来るだけ早めに妊活を始めると妊娠率は上がりますし、不妊の原因が見つかった場合は早めに対処することが可能です。
妊活期間を短縮するためにできることは?
妊活期間は長くなればなるほど、悩みが増えて、大きなプレッシャーを感じてしまいます。
妊活を始めると「できれば早く妊娠したい」と考え、いい方法があれば実践したいと思う方は多いです。
ここでは、妊活期間を短縮する方法を具体的に3つ紹介していきます。
妊活可能か、体の状態をチェックしておく
夫婦ともに妊娠可能な状態かどうか、体の状態を病院でチェックしてもらいましょう。
一般的な検査は、以下の通りになります。
女性の場合は、
- 内診や経膣超音波検査で、子宮、卵巣に異常がないか確認。
- 子宮卵管造影検査で、子宮内に造影剤を注入して子宮の形や卵管が詰まっていないかを確認。
- 血液検査で、糖尿病などの全身疾患を確認したり、女性ホルモンなど妊娠に影響するホルモンの検査。
男性の場合は、
- 精液検査で、精液の量、精子の運動率、精子濃度、精子の形態、感染しているかどうかをそれぞれ確認。
- 診察や超音波検査で、陰嚢や精巣、精索を観察して異常がないか確認。
- 血液検査で男性ホルモン、染色体、遺伝子検査を行い、勃起障害や射精障害、精子に異常がある場合の原因を検査。
このように、病院で行う検査には様々なものがありハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
しかし、検査を行うことで、不妊の原因を見つけ早めに治療を行うことができますし、人工授精や体外受精など夫婦によって最適な妊活方法を知ることができます。
不妊治療外来がある病院だと、夫婦で一緒に検査が受けられるので、気軽に受診してみましょう。
生活習慣を改善する
生活習慣が乱れた状態で過ごしていると、ホルモンバランスや自律神経が乱れて、勃起不全を引き起こしたり、精子の量や質が低下したり、子宮や卵巣の機能が低下することがあるので注意が必要です。
精子は70日程度かけて作られていくので、日々の健康な生活習慣は非常に重要になってきます。
妊活をしている世代は、仕事や家庭で忙しい世代にもなりますが、これからの健康のためにも、妊活をきっかけに生活習慣を改善してみましょう。妊活に有効な生活習慣は、以下の通りになります。
- 禁煙
- 禁酒
- 適度な運動をする
- 7〜8時間の睡眠時間を確保する
- 適正体重を維持する
- 栄養バランスの良い食生活を心がける
妊活に対する二人の意識を確認しておく
夫婦で「妊活をしたい」と思っていても、認識がそれぞれ異なっていることは意外と珍しくありません。
妊活を始める前には、
- 妊活の方法(タイミング法なのか、人工授精、体外受精まで行うのか)
- どこまで妊活を続けていくのか(40歳まで、3年間などの具体的な期間)
- 不妊治療を行う場合は、どこまで金額を出すか(予算)
などを夫婦で話し合って意見を合わせておくと、安心して妊活を行うことができます。
また、妊活を続けていくうちに、妊活に関する様々な知識が身についてきますので、夫婦で共有しておくことで勘違いやすれ違いを減らすこともできるでしょう。
妊活期間に控えた方がいいことは?
妊活期間は、規則正しい生活を心がけ、生活習慣を改善することが大切です。
それに加えて、妊活期間中は特に控えたほうがいいことがあります。それぞれ確認していきましょう。
過度なダイエット
体に強い負荷をかける運動や極端な食事制限などの過度なダイエットをしてしまうと、ホルモンバランスが乱れてしまいます。精子の量や質が低下してしまったり、排卵が止まってしまったりする恐れがあります。
これは、過度なダイエットをしてしまうことで、脳が生命維持に必要ではない臓器の働きを低下させてしまうことが原因だと考えられています。
適度な運動であれば、ストレス発散にもなり、適正体重維持にもなりますので妊活に有効です。過度なダイエットは避け、適度な運動を持続的に続けて、栄養バランスの良い食事を摂取するように心がけましょう。
睾丸を温める行為
睾丸の最適な温度は35℃と言われていて、これは人間の体温よりも低い温度になります。
睾丸の温度が高くなってしまうと、精巣の機能が低下してしまい精子の質や量に影響を与えてしまうのです。
デスクワークの仕事が多い人は、下半身に熱が籠りやすくなります。長時間座り続けることは避け、適度に立ち上がり動くようにしましょう。特に、膝の上でパソコンを乗せていると、精巣の温度が2〜3℃上昇するので注意が必要です。
インナーは密着性の高いタイプよりも、トランクスタイプのような通気性の高いものを着用するのがおすすめです。
過剰なストレス
仕事や家庭のことで忙しい中、妊活を続けている方も多いです。妊活を続けていると、周りの人が自分よりも先に妊娠していることが気になったり、なかなか妊娠できないと落ち込んだりプレッシャーを感じたりして、悩みが深くなりがちです。
過剰なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱してしまうので、妊活では悪循環になってしまいます。
運動や食事や旅行など、自分に合ったリラックス方法を見つけてこまめにストレスを発散するようにしましょう。
まとめ
妊活期間の平均は、年代によって大きく変わってきます。20代の頃は、1年以内に自然妊娠できる確率は高いのですが、30代半ば以降になると大きく減少して行きます。そのため30代半ば以降の妊活期間の平均は1年以上になることも珍しくありません。
このような結果から、妊娠率が高い若いうちに妊活を始める方がいいのですが、夫婦で話し合いをしてお互いが納得できるタイミングで始めることも大切です。
まずは、夫婦で話し合って妊活に対する意識を確認しておきましょう。
妊活期間を短縮するためには、日々の生活習慣の改善するように心がけ、過度なダイエットや睾丸を温めるような行為、過剰なストレスを抱えないように注意しましょう。