※本記事は薬剤師が執筆しております※
妊活を続けていても妊娠しない期間が長くなると、妊活がしんどい・つらいなどと感じる方もいるのではないでしょうか。そのような状態が続くと「妊活うつ」になるかもしれません。
妊活中にうつを発症する方もいるため、うつになる前に専門家に相談を行い、病院を受診することをおすすめします。うつを発症すると妊活を中断してうつの治療を行う可能性もあるため、早めに対処することが大切です。
本記事ではうつが心配される兆候についてご紹介しますので、ご参考ください。
目次
- 「妊活うつ」とは
- なぜ「妊活うつ」になってしまうのか?
- その状態「妊活うつ」一歩手前かも?【女性の場合】
- その状態「妊活うつ」一歩手前かも?【男性の場合】
- 少しでも心当たりがあるときは?
- まとめ
「妊活うつ」とは
「妊活うつ」とは妊活をしている期間にうつ状態になることをいいます。「妊活うつ」という病名がつくわけではなく、一般的なうつとして治療が行われます。
妊活中はストレスを感じやすく、うつ状態になることも多く、軽く考えてしまうことも多いでしょう。しかし、不調を放置せずに専門家に相談し、医療機関を受診することが大切です。
なぜ「妊活うつ」になってしまうのか?
「妊活うつ」の多くは、頑張りに応じた結果が出ない、周囲と比べて焦ってしまうなどが原因で起こりやすいです。妊活を行う期間は個人差があり、なかなか妊娠できない方もいます。
「子どもは天からの授かりもの」という言葉があるように、医療の力でもコントロールできない部分も多い領域です。焦らず、妊活以外のことにも目を向け、パートナーと一緒に将来を考えていきましょう。
その状態「妊活うつ」一歩手前かも?【女性の場合】
「妊活うつ」は珍しい症状が出るわけではなく、以下のような症状が「妊活うつ」の一歩手前かもしれません。
- イライラしてついパートナーにあたってしまう
- 気づいたら同じことを何度も考えている
- いろいろと不安になり涙がでてくる
- 日に日に焦りを感じてしまう
- 夜、なかなか眠りにつけない
このような症状が続くときは早めに医療機関を受診しましょう。それぞれの症状を詳しく解説していきます。
イライラしてついパートナーにあたってしまう
今まで気にならなかったことが気になりはじめ、イライラしてパートナーにあたることが増えるとうつの一歩手前かもしれません。
パートナーと妊活に対する価値観のずれがあるとストレスに感じ、パートナーとのけんかの原因にもなりやすいでしょう。
気づいたら同じことを何度も考えている
妊活期間が長くなると、ショックや絶望感を感じ、どうしたら妊娠できるかという情報収集や取り組みに没頭をすることがあります。
1日中同じことを何度も考えているときは、妊活うつの一歩手前の可能性もあるため、専門家などに相談をしてみましょう。
いろいろと不安になり涙がでてくる
「妊活を続けていけるのか」「妊娠できるのか」などと将来のことを考えて不安になり、涙が出る方もいるのではないでしょうか。生理が来た時に涙が出るという話はよく聞きますが、日常的に涙が出る方は注意が必要かもしれません。
日に日に焦りを感じてしまう
妊娠可能な年齢は限られている為、年齢が高い方ほど焦りを感じやすいかもしれません。日に日に焦りを感じてしまうのは仕方がないですが、自分のペースで取り組むことも大切です。
焦りを感じる頻度が多いようなら、メンタルクリニックのような医療機関へ相談してみましょう。
夜、なかなか眠りにつけない
誰でも眠りたいけれども、眠れないという経験はあるでしょう。しかし、眠りにつけない状態が続き、日常生活に支障をきたすときは不眠症の可能性があります。こころの病気の多くは不眠を伴い、妊活中にうつにかかる人も増加傾向です。
不眠だと思っていたら、実はうつだったというケースもあるため、なかなか眠りにつけない方は注意してください。
その状態「妊活うつ」一歩手前かも?【男性の場合】
「妊活うつ」は女性だけではなく、男性にも起こる可能性があります。男性の場合、以下のような症状があると「妊活うつ」の一歩手前かもしれないため、注意が必要です。
- 仕事や人生において自信がなくなる感覚が生じる
- 大事な日のセックスで緊張が強くなる(特に排卵日)
- パートナーを思いやる心の余裕がなくなる
- 周囲の期待を過剰に感じ、イライラが増してしまう
- 将来の金銭的な不安が日に日に強まる
男性は経済的な不安や将来の不安から、「妊活うつ」へつながる可能性があります。
仕事や人生において自信がなくなる感覚が生じる
妊活が上手くいかないと仕事や人生においても自信がなくなる感覚を持つ方もいます。男性としての自信を失いはじめていると感じるときはうつの可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
大事な日のセックスで緊張が強くなる(特に排卵日)
妊活を始めると排卵日前後のセックスで緊張が強くなる方も多いでしょう。緊張が強くなるときは、うつの一歩手前かもしれません。
妊活のためにセックスをしなければいけないと思いストレスに感じると、ED(勃起不全)などにつながる可能性もあるため、注意が必要です。
パートナーを思いやる心の余裕がなくなる
「ひとりで悩む妻にかける言葉が分からない」など、パートナーを思いやる心の余裕がなくなったときはうつの前兆かもしれません。妊活はお互いを思いやる気持ちが大切ですので、心の余裕がないときは注意しなければいけません。
周囲の期待を過剰に感じ、イライラが増してしまう
周囲の期待を過度に感じ、イライラが増す時も注意しましょう。子どもができないということは、結婚した夫婦に大きな心理的ストレスをもたらします。
ストレスを余計に感じてしまうときは妊活うつの一歩手前かもしれません。
将来の金銭的な不安が日に日に強まる
妊活期間が長くなるとサプリメントなどの費用もかかります。2022年4月から一部の不妊治療において保険適用されていますが、不妊治療には高額な治療費がかかるのが一般的です。
将来の不妊治療費用なども考えて金銭的な不安が日に日に強まることも多いでしょうが、不安感が続くときは注意してください。
少しでも心当たりがあるときは?
「妊活うつ」の一歩手前の状態に少しでも心当たりがあるときは、ひとりで悩まずに、パートナーに相談しましょう。うつ症状がひどくなる前に必ず病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
まずはパートナーに話をする
男女ともに妊活うつになる可能性はあるため、うつかもしれないと思ったら、まずはパートナーに話をしてみましょう。また、パートナーにうつ状態一歩手前の状態が見られるときも話し合いをしてみてください。
手遅れになる前に必ず病院で診てもらう
ふたりで話し合っても症状が改善されない時や、話し合うことが難しいときはふたりだけで解決しようとせずに、専門家に相談しましょう。うつ状態がひどくなると、妊活どころではなくなるため、手遅れになる前に必ず病院を受診してください。
まとめ
「妊活うつ」は心が弱いからなるわけでなく、妊活中の方は誰にでも起こる可能性があります。うつになる原因はひとつではなく、様々な要因が絡んでいるため自分だけまたはふたりだけで解説することは難しいかもしれません。
「妊活うつ」かもしれないと感じたときは、早めに医療機関を受診し、専門家に相談することが大切です。