冬本番に流行するインフルエンザの感染予防には、インフルエンザの予防接種が有効です。しかし、妊活中は赤ちゃんへの影響が心配になり、インフルエンザの予防接種に悩む方も多いと思います。
結論からいうと、妊活中でもインフルエンザの予防接種は可能です。ただ、インフルエンザの予防接種は義務ではなく、最終的には本人の希望と接種を実施する医師の判断で行われます。
本記事では、妊活中のインフルエンザの予防接種の影響について解説します。妊活中の新型コロナウイルスワクチンの影響についても紹介するため、妊活中のワクチン接種で悩まれている方は参考にしてください。
目次
- 妊娠中にインフルエンザにかかるとどうなる?
- インフルエンザの予防接種について
- 妊活中はインフルエンザワクチンを打ってもいい?
- 男性もインフルエンザワクチンを打ってもいい?
- インフルエンザワクチンが及ぼす影響を解説
- 妊活中に接種できない予防接種とは?
- 妊活中はコロナワクチンを打ってもいい?
- まとめ
※ワクチンの接種が可能かは最終的に医師の判断によります。不妊治療中の方、妊娠中や妊娠の可能性のある方、授乳中の方は、必ず接種前に医師に相談してください。
妊娠中にインフルエンザにかかるとどうなる?
妊娠中のインフルエンザの感染は以下のリスクが考えられています。
- 肺炎など深刻な合併症を引き起こし、症状が重くなりやすくなる
- お腹の赤ちゃんや妊娠の経過へ悪影響を与える
新型インフルエンザが流行した2009年にWHO(世界保健機関)は「妊婦は一般の人より集中治療室を必要とする確率が10倍高い」「とくに妊娠28週以降の妊婦は注意が必要」という声明を出しています。
また、流産や早産、赤ちゃんが小さく産まれたり、お腹の中で亡くなるなどのリスクが上がる可能性も考えられています。
妊娠中に感染すると妊婦さんと赤ちゃんの両方に影響がでる可能性があるため、インフルエンザにかからない対策と早めの治療が大切です。
参考:厚生労働科学研究.新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中の人や授乳中の人へ
インフルエンザの予防接種について
妊娠中のインフルエンザの予防接種については、産婦人科診療ガイドラインには以下の記載があります。
- 妊婦へのインフルエンザの予防接種はインフルエンザの予防に有効
- 妊婦と産まれてくる赤ちゃんの両方に利益をもたらす可能性がある
インフルエンザの感染予防には予防接種が有効ですが、妊娠中も同様に効果があると考えられています。
また、妊娠中や出産後の予防接種は、予防接種ができない生後6か月未満の赤ちゃんのインフルエンザの感染リスクを減らす可能性も期待されています。
妊活中はインフルエンザワクチンを打ってもいい?
妊活中の方だと、妊娠の可能性がある時期のワクチンの影響が気になると思います。ただ、インフルエンザワクチンは、妊娠初期を含めてどの時期でも接種が可能です。妊娠初期にインフルエンザワクチンを接種しても、先天異常の発生率の増加はみられないようです。
また、インフルエンザワクチンは妊娠中に接種が問題ないとされる不活化ワクチンです。不活化ワクチンとは、接種してもワクチンの成分による感染をおこさないワクチンです。そのため、希望があれば妊活中の方もインフルエンザワクチンを打つことができます。
ここではワクチン接種のメリット、デメリットを紹介します。接種を受けるかどうかの参考にしてください。
メリット
妊活中のインフルエンザワクチンの接種には下記のメリットがあります。
- 妊娠初期のインフルエンザの感染や重症化するリスクを下げる
- 体調不良による通院や性行為のタイミングを逃す可能性を下げられる
妊娠した場合に限らず、妊活に影響がでる可能性があるため、男女ともにインフルエンザの感染対策が大切です。ワクチンは有効な感染予防の手段となります。
デメリット
インフルエンザワクチンで副反応が起こる可能性と接種時期に注意する必要があります。
副反応とは、痛みや発熱など免疫がつく以外の反応がみられることです。
また、抗体ができるまでは約2〜4週間かかります。例年1月末〜3月上旬がインフルエンザのピークになるため、12月中旬までの接種が推奨されています。
妊活中の男性はインフルエンザワクチンを打ってもいい?
妊娠を計画中の男性もインフルエンザの接種は可能です。インフルエンザワクチンの説明書には、「妊娠を計画中の男性に使用してはいけない」という記載はありませんでした。
インフルエンザに感染すると、パートナーへ家庭内感染を起こしてしまう可能性があります。また、精子はインフルエンザの発熱により一時的に精子数が減少する報告もあるようです。
妊活中の男性も予防接種を受けるかどうかよく考えてみましょう。
インフルエンザワクチンが及ぼす影響を解説
インフルエンザの接種後は、妊娠中のカラダやお腹の赤ちゃん、母乳へはどんな影響があるか気になるところだと思います。
産婦人科診療ガイドラインには、以下の記載があります。
- 母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低い
- 授乳婦にインフルエンザワクチンを投与しても乳児への悪影響はない
ここでは、さらにインフルエンザワクチンが及ぼす影響を詳しく解説します。
妊婦/母体
妊娠中の全期間において、母体とお腹の赤ちゃんへの危険性は極めて低いと考えられています。
ただ、下記のような副反応が報告されているため、カラダに異常があった場合はすぐに医師へ報告して相談をしましょう。
- 接種した箇所の赤み、はれ、痛み
- 発熱、頭痛、寒気、だるさなどの全身の反応
- 稀にショックやアナフィラキシー様症状(発疹やじんましんなど)など
母乳
授乳中にインフルエンザワクチンを接種しても、赤ちゃんへの悪影響がないと考えられています。そのため、授乳中の方でも希望すれば接種は可能です。
育児中にインフルエンザに感染すると、お世話が大変になったり、赤ちゃんへ移らないか心配になることも多いです。もし、授乳中にインフルエンザワクチンの接種を希望する場合は病院で相談してみましょう。
妊活中に接種できない予防接種とは?
妊娠の可能性があるときは生ワクチンの予防接種はできないため注意しましょう。
生ワクチンとは、病原体となるウイルスの毒性を弱めたものが原材料のワクチンです。そのため、妊娠中に生ワクチンを接種すると、ワクチンのウイルスがお腹の赤ちゃんへ移行する可能性があります。そのため、妊娠中や妊娠の可能性がある方は、生ワクチンの接種ができないとされています。
ただ、妊娠前の接種が推奨される生ワクチンに、風疹ワクチンがあります。ここでは、風疹ワクチンについて解説します。
風疹ワクチン
風疹は妊娠初期に感染すると赤ちゃんに先天性の病気が起こる可能性があります。そのため、抗体がない方は妊娠前から風疹ワクチンの接種が推奨されています。
ただし、風疹ワクチンは生ワクチンのため、お腹の赤ちゃんへの影響を避ける必要があります。そのため、妊娠中は接種できず、接種後は2ヶ月程度の避妊が必要です。
また、男性も妊娠中のパートナーに感染させないだけではなく、風疹の流行を防ぐためにも、風疹ワクチンの接種がすすめられます。
妊活中は男女ともに、早めの風疹ワクチンの接種を計画しましょう。
参考:厚生労働省.風疹について
妊活中はコロナワクチンを打ってもいい?
厚生労働省は「妊娠を計画中の方も新型コロナワクチンの接種推奨の対象としており、妊娠中の時期を問わず接種を推奨している」としています。
現時点では、生殖器に悪影響を与える報告もなく、ワクチン接種を受けるために妊娠のタイミングを変更する必要はないと考えられています。
また、「男性が新型コロナに感染すると精子数が減少する」「新型コロナワクチンの接種が精液初見に悪影響を与える可能性は低い」という報告もあるようです。
不妊治療中の方で、新型コロナワクチン接種の影響が気になる方は、かかりつけの病院で相談をしてみましょう。
まとめ
本記事では、妊活中のインフルエンザワクチンの影響を解説しました。以下が本記事のポイントです。
- 妊娠中にインフルエンザに感染すると、重症化やお腹の赤ちゃんや妊娠の経過に悪影響がでる可能性がある
- インフルエンザワクチンは妊活中の男女ともに接種が可能
- 妊娠中はどの時期でも、インフルエンザワクチンによる母体と胎児への危険性はきわめて低い
- 妊娠の可能性があるときは生ワクチンの予防接種はできない
妊活中は男女ともに、インフルエンザに感染しないことが大切です。インフルエンザの感染予防に有効なインフルエンザワクチンが気になる方はパートナーと一緒に接種するかどうか考えてみてくださいね。