※本記事はが薬剤師が執筆しております※
妊活中に薬を服用してもいいのかどうかを知りたいと思っている方は多いのではないでしょうか?
妊娠への影響は少ないですが、服用が必要な際は、医師、薬剤師への相談が必要です。薬によっては妊娠に影響する可能性もあります
この記事では妊活中の薬の服用について紹介します。なるべく薬に頼りたくない方向けに対処法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
⽬次
- 薬の服用は妊活に影響ある?
- 男性の薬の服用は影響ある?
- なるべく薬に頼りたくないときはどうすればいい?
- 妊活中におすすめの漢方薬は?
- まとめ
薬の服用は妊活に影響ある?
妊娠初期の薬の服用は基本的には大きく影響することはありません。
服用する薬や時期によって、赤ちゃんに影響することがあることは確かですが、妊娠の初期に市販薬を何回か服用しても、問題がない場合がほとんどです。心配な方は、薬の服用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
風邪薬や生理痛の鎮痛剤など、市販薬について
市販の薬は病院で処方されるものより、成分量が少ないものが多く、短期間の服用で赤ちゃんに影響する可能性は極めて低いです。また、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンは妊娠中でも比較的安全だとされています。
市販薬を服用する前には必ず添付文書をよく読み、妊婦が飲んでも良いかどうか確認しましょう。判断に迷う場合は、医師や薬剤師に相談して、服用する際には十分に注意しましょう。相談する医師などがいない場合は、全国47都道府県の拠点病院に「妊娠と薬外来」が設置されていますので、各地域の相談外来で相談を受けていただくことも可能です。
不妊治療をしている場合
不妊治療をしている場合は、通院先の医師に相談しましょう。
不妊治療で使用している薬で副作用が起こる場合もありますが、その場合は副作用への対処も含めて、医師のアドバイスに従いましょう。自己判断での市販薬の服用はおすすめしません。
持病などで薬を飲んでいる場合
持病の主治医に妊活することを相談してみましょう。病気によっては、妊娠に適さない時期や、妊娠中、出産後に注意が必要な場合もあります。持病の主治医と婦人科医の連携が必要な場合もあります。
持病がある場合は病気の治療を継続することが基本です。「治療継続して問題ないか」「妊娠や赤ちゃんのために薬を変えることが可能か」などを相談します。「治療終了後に妊娠を考える」「妊娠や赤ちゃんに影響の少ない薬に変更」「薬の量や種類を減らす」など、各々に最適な方法を探します。
何か不安なことがあれば医師に相談し、きちんと説明してもらいましょう。
男性の薬の服用は影響ある?
サリドマイドなど一部の薬を除いて、男性が服用した薬が妊娠やお腹の赤ちゃんに影響することはほとんどないです。
薬の服用で問題ある精子ができたとしても、そのような精子は卵子までたどり着けず受精までつながることは少ないです。また、薬の服用に関係なく、問題がある精子は20%程度の割合で精液中に存在します。妊娠率が低下する可能性はありますが、赤ちゃんへの影響はありません。
精子の質には、服用した薬よりも睡眠や食事などの生活習慣による影響の方が大きいです。体調管理も含めて、生活習慣を整え、精子の質を上げましょう。
それでも不安な場合は医師、薬剤師に相談しましょう。
なるべく薬に頼りたくないときはどうすればいい?
妊活中に体調を崩してしまうことはあります。服用する薬の心配はあまりしなくても良いとは分かってはいても、万が一のことを考えて、「なるべく薬に頼りたくない」という気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、頭痛が起きた場合の薬に頼らない対処法を3つ紹介します。
- マッサージやストレッチ
- 漢方薬
- できるだけ安静にする
以下で、1つずつ詳しく説明します。
マッサージやストレッチ
デスクワークを続けた場合に起こる頭痛は緊張型頭痛であることが多いです。頭から肩にかけての筋肉の緊張が原因なので、マッサージやストレッチで対処できます。ホットタオルで温めて血行を良くすることも効果があります。
また、緊張型頭痛が起きやすい方は、頭痛が起きなくても1時間デスクワークをしたら、少し立って歩くなど体を動かし、頭痛が起きないように努めましょう。
漢方薬
漢方薬を服用してお腹の赤ちゃんに悪い影響があったという報告はほとんどありません。また、頭痛薬はその時の症状を抑えるだけですが、漢方薬は症状を抑えるだけでなく、体質改善も期待できます。
本来、漢方では服用する薬を病名ではなく、証という服用する人の体質や症状の現れ方などで決めます。同じ頭痛でもひとりひとり異なる処方を服用するのが、漢方薬です。
漢方薬に詳しい医師か薬剤師に相談して服用する漢方薬を選ぶことをおすすめします。
できるだけ安静にする
片頭痛の場合はできるだけ安静にしましょう。
片頭痛は脳の血管が急激に拡張して発症します。光や音などの刺激、睡眠の過不足、女性ホルモン(卵胞ホルモン)、体動などで痛みがひどくなるので、片頭痛が起きたら安静にし、暗い部屋で横になりましょう。
妊娠中はエストロゲン量が増え、安定しているため、片頭痛があっても軽くなる人が多いですが、十分な睡眠時間を確保して休むようにしましょう。
妊活中におすすめの漢方薬は?
漢方薬は1人ひとりの体質や症状で処方を決めるため、おすすめの漢方は人によって異なります。
漢方ではカラダは「気、血、水」の3つで構成されており、不調の原因は気血水のバランスの崩れと考えられています。漢方薬を服用することで、バランスを整え、体調を整えます。
ここで解説するのは、妊活中に使う代表的な漢方薬2つです。
- 温経湯(ウンケイトウ)
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
どのような人に向いているのかも含め、以下で、1つずつ詳しく説明します。
温経湯(ウンケイトウ)
全身の状態を改善する効果があり、不妊症に悩む女性などに用います。
漢方でいう血が不足している血虚(けっきょ)という状態を改善する薬で、冷え症で、手足がほてりリップクリームが手放せない人に向いています。
皮膚の荒れ、あかぎれなどは典型的な血虚の症状で、乾燥して防御機能が低下した皮膚は、湿疹などのトラブルも起こりやすいです。このような皮膚症状の改善にも用いられることがあります。
- 配合生薬:麦門冬、 半夏、 当帰、 甘草、 桂皮、 芍薬、 川芎、 人参、 牡丹皮、呉茱萸、 生姜、阿膠
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
なかなか妊娠しないなど精神的ないらだちがある場合におすすめの漢方薬です。
漢方でいう瘀血(おけつ)(血の滞り)を取り除き、気逆(きぎゃく)(気の流れが正常とは逆)や気うつ(気が停滞する)からくる抑うつを改善する処方です。体力があまりなく、不定愁訴といわれる、めまい、頭痛、のぼせ、発汗、イライラ、不安などの身体の不調がある人に向いています。
また、排卵を整えるために、ホルモン剤とこの漢方薬を併用することもあります。
- 配合生薬:柴胡、芍薬、当帰、茯苓、蒼朮、山梔子、牡丹皮、甘草、生姜、薄荷
まとめ
本記事では妊活中の薬の服用について解説してきました。
妊娠初期の薬の服用は基本的には大きく影響しません。また、一部の薬を除いて、男性が飲んだ薬が妊娠や赤ちゃんに影響することは、ほとんどありません。
持病がある場合は病気の治療を継続することが基本です。妊娠期間やその先の子育てには、自分では想定できないトラブルや心配事があります。主治医と相談し、今後の治療法を検討するようにしましょう。
薬の服用で困った時は自分で判断せずに気軽に医師、薬剤師に相談しましょう。