※本記事は管理栄養士が執筆しております※
パイナップルが妊活に効果があるか知りたい方に向けて、気になる効果やおすすめの食べ方を紹介します。
パイナップルが直接的に妊活に効果があるという医学的根拠はありません。しかしパイナップルにはビタミンや食物繊維が多く含まれており、妊娠しやすい健康な体を作るために必要な栄養素が多く摂れます。
この記事では妊活中のパイナップルの効果に加え、食べ方や摂ったほうがいいタイミングを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
- パイナップルに含まれている栄養素は?
- パイナップルが妊活中におすすめな理由
- 男性の妊活にも効果がある?
- パイナップルを食べた方がいいタイミングは?
- おすすめの食べ方は?
- パイナップルと一緒に食べた方がいい食品は?
- 妊活に取り入れる時の注意点は?
- まとめ
パイナップルに含まれている栄養素は?
パイナップルは暖かい地域で生産されている果物で、コスタリカやフィリピン、ブラジルが生産地として有名です。日本では沖縄県で作られています。
加えてパイナップルはビタミンB1 やビタミンC、食物繊維など栄養価が高い果物です。ブロメラインとよばれるタンパク質分解酵素を含み、肉料理の消化を助けます。
パイナップルに含まれる主な成分
栄養成分 | 可食部100gあたり |
---|---|
エネルギー(kcal) | 54 |
たんぱく質(g) | 0.6 |
脂質(g) | 0.1 |
食物繊維総量(g) | 1.2 |
炭水化物(g) | 13.7 |
カリウム(mg) | 150 |
カルシウム(mg) | 11 |
マグネシウム(mg) | 14 |
鉄(mg) | 0.2 |
亜鉛(mg) | 0.1 |
ビタミンB1(mg) | 0.09 |
ビタミンB2(mg) | 0.02 |
ビタミンC(mg) | 35 |
葉酸(マイクログラム) | 12 |
出典:『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
パイナップルが妊活中におすすめな理由
パイナップルが妊活中におすすめな理由を3点紹介します。
- 腸内環境が改善する
- 疲労回復効果
- 肉類の摂取に効果的
食物繊維を豊富に含むため、腸内環境の改善につながりやすく、ビタミンB1やクエン酸により疲労がたまりにくくなります。さらにタンパク質分解酵素であるブロメラインの働きにより、肉類を食べたときの消化を助けます。
次の項目で詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。
パイナップルといえば、妊娠中はパイナップルを食べてはいけないといった話や、反対にパイナップルは着床率を高めるといった話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかしパイナップルと妊娠・妊活について直接的な医学的根拠はありません。
妊活中に限らず正しい食生活に必要なのは、特定の食品ばかりを食べたり、避けたりせずさまざまな食品からバランスよく栄養を摂ることです。
腸内環境が改善する
パイナップルには食物繊維が豊富に含まれているため、便秘や腸内環境の改善が期待できます。食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、パイナップルはそのどちらも含んでいます。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、便に水分を加えて軟らかくする成分です。不溶性食物繊維は水分を取り込んで腸の動きを活発にし、便通をよくします。
腸内環境がよくなることで、免疫機能の維持や栄養素の吸収・消化、精神の安定など心身の健康によい影響があるといわれます。
疲労回復効果
パイナップルは疲労回復に役立つビタミンB1やクエン酸が含まれています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に必要であり、不足すると疲労物質の蓄積につながります。
クエン酸は疲労物質を分解して代謝を促すほか、血流の改善やカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
肉類の摂取に効果的
パイナップルにはタンパク質分解酵素であるブロメラインが含まれています。肉類と一緒に食べると肉の軟らかさが増し、消化吸収が促進されます。
ブロメラインは熱に弱いため、加熱が必要な料理では十分な効果が発揮されません。生でパイナップルを食べたり、加熱前に肉類と一緒に漬け込んだりするとよいでしょう。
男性の妊活にも効果がある?
パイナップルには男性の妊活に効果的な成分も含まれています。βカロテンやビタミンCは、抗酸化物質として働く栄養素です。
抗酸化作用により、体内の活性酸素の発生や蓄積を抑えて細胞の酸化を予防します。細胞の老化を防ぐため、生殖機能の維持にも期待できます。
精子の数や運動率、正常形態率など精子の質は加齢とともに低下するため、抗酸化作用のある栄養素を意識して摂りましょう。
以下の栄養素が抗酸化作用をもちます。
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- ポリフェノール(アントシアニンやイソフラボンなど)
- カロテノイド(βカロテンやリコピン、アスタキサンチンなど)
生殖機能を維持する以外にも、抗酸化作用により動脈硬化予防やがん抑制、生活習慣病予防やアンチエイジング効果などが期待されています。
パイナップルを食べた方がいいタイミングは?
パイナップルはビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。次のような人はぜひ食事や間食にパイナップルを食べましょう。
- 肌荒れやむくみが気になるとき
- 便秘がちなとき
- 野菜不足を感じるとき
- 食事に1品追加したいとき
生理前の黄体期は肌荒れやむくみ、イライラや食欲増加など調子を崩しやすい時期です。パイナップルに含まれるカリウムは、体内の不要な水分を排出し、むくみ解消に役立ちます。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を十分に摂ることで便が軟らかくなったり腸の動きが活発になったりと、便秘改善効果があります。
スーパーやコンビニでパイナップルを見かけたら、間食や食事に1品追加して食べるのはいかがでしょうか。カット済みのものだと手軽に栄養が摂れます。
おすすめの食べ方は?
パイナップルは生で食べることが多いですが、実際はどのように食べると効果的なのでしょうか。パイナップルのおすすめの食べ方を紹介します。
生で食べる
パイナップルはパインジュースやパイン缶よりも、生の果物で食べる方が栄養素を効率よく摂れます。パイナップルに特徴的なタンパク質分解酵素、ブロメラインは加熱すると失活するためです。
パイナップルの切り方
- 上の葉の部分と底を切り落とす
- 縦に半分に切る
- もう一度縦に半分に切る
- 中心にある芯を切り落とす
- 皮と実を切り離す
- 一口大に切る
バナナやキウイフルーツは時間を置くことで甘味が増しますが、パイナップルは追熟しない果物です。スーパーに置いてあるものは買ってすぐに食べられます。
食事と一緒に食べる
パイナップルを朝食に食べると糖分が補給でき、目覚めよく物事に集中できます。糖質をエネルギーに変えるのに必要な、ビタミンB1やビタミンC、さらにミネラルや水分補給もできます。
先ほども記述したように、肉料理に加えて食べることもおすすめです。肉を軟らかくする働きがあり、腸での消化・吸収を助けます。
また、パイナップルには不溶性食物繊維が多く含まれています。よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べすぎを防ぐ効果が期待できます。
パイナップルと一緒に食べた方がいい食品は?
パイナップルと一緒に食べたい食品を紹介します。ぜひ普段の食事にパイナップルを取り入れてください。
肉類
タンパク質の分解酵素であるブロメラインにより、肉類を軟らかく食べられて消化によい働きがあります。
加熱前の肉にみじん切りやフードプロセッサーにかけたパイナップルと混ぜ込みましょう。タンパク質分解酵素が肉の筋繊維を壊すことでおいしく食べられます。
タンパク質分解酵素は加熱により働きを失うため、市販のジュースや缶詰などの加工品ではなく、生のパイナップルを使ってください。
シナモンパウダー
パイナップルに含まれるカリウムには身体を冷やす効果があります。カリウムは利尿作用をもち、体内の塩分と一緒に余分な熱を放出するためです。
身体を温める効果があるシナモンや生姜などのスパイスを一緒に摂ってください。シナモンは血流を改善し、身体の冷えに効果的です。シナモンシュガーを紅茶やコーヒーに入れて一息つくのはいかがでしょうか。
妊活に取り入れる時の注意点は?
妊活中にパイナップルを食べる上での注意点を解説します。
食べ過ぎには注意する
パイナップルは果糖やブドウ糖など糖質を多く含むため、食べすぎると血糖値の上昇や肥満につながります。
生のパイナップルを食べることで身体が冷えて、代謝や胃腸の働きが低下するおそれもあります。1日あたり200gを目安に食べましょう。
また、パイナップルの食べすぎで舌に痛みが生じることもあります。パイナップルを食べた後、舌がピリピリした経験がある人もいるでしょう。
タンパク質分解酵素であるブロメラインが舌の粘膜のタンパク質を分解してしまうため、舌がしびれるような症状が起こります。
量に関係なく、成熟していないパイナップルを食べると、シュウ酸カルシウムによって舌がピリピリすることもあります。
まとめ
パイナップルはビタミンB1やビタミンC、食物繊維など栄養価が高い果物です。ブロメラインとよばれるタンパク質分解酵素が含まれるため、肉料理に加えると肉を軟らかくしてくれる働きがあります。
抗酸化作用をもつβカロテンやビタミンCを含んでいるため、妊活中にもおすすめです。抗酸化物質は細胞の老化を防ぎ、生殖機能を維持する働きがあります。ぜひパイナップルを普段の食事に取り入れてください。