※本記事は薬剤師が執筆しております※
妊活をするにあたり、ピルをいつやめるのがいいか知りたい方も多いのではないでしょうか?
ピルは排卵を抑える薬で、服用をやめることで生理周期がもどるので、ピルをやめてから2∼3ヶ月で妊娠可能になります。
この記事では、ピルの役割と妊娠との関係について紹介します。ぜひ、最後まで読んでください。
目次
- 「ピル=避妊薬」は誤った認識?ピルを正しく理解しよう
- ピルの服用をやめるとどうなる?
- ピルをやめてから妊娠できるまでにどれくらいかかる?
- ピルをやめてからの妊活によくある不安や疑問
- 妊活に向け、ピルの服用をやめたパートナーに男性ができること
- まとめ
「ピル=避妊薬」は誤った認識?ピルを正しく理解しよう
ピルは正確にいうならば避妊薬ではなく、排卵が起こらないようにするホルモン剤です。
生理痛や生理不順などの治療にも使われ、うまく使えば女性にメリットの多い薬です。
この機会にピルについて正しく理解しましょう。
- 「ピル」とは何か
- 「ピル」の効果・役割
- 「ピル」の種類
以下で、1つずつ詳しく説明します。
「ピル」とは何か
ピルとは、2つの女性ホルモン「卵胞ホルモン」「黄体ホルモン」が含まれているホルモン剤です。服用すると、通常、排卵後に増える黄体ホルモンが増え、排卵が起こらなくなります。
「ピル」の効果・役割
避妊目的や生理不順改善のため用いられることが多いピルですが、実は妊活にも有効な薬です。
以下で、1つずつ詳しく説明します。
ホルモンバランスを整え体調を改善
女性ホルモンに乱れがあると妊娠しにくくなり、婦人科系の病気になる可能性も出てきます。ピルを服用するとホルモンバランスが整い、妊娠にも良い影響を及ぼし、不妊の原因になる病気(子宮内膜症など)を予防できます。
生理をコントロールできる
ピルを服用した場合に起こる生理の変化は、「生理自体が軽くなる」、「生理の回数も減らすことができる」、「自分に都合のいい時に生理を起こさせることが可能になる」などです。
卵巣の働きを休めることができる
初潮から閉経まで毎月1回排卵が行われますが、これが絶え間なく続くと卵巣は疲弊してしまいます。 ピルの服用で、排卵を抑制させると卵巣の働きも休まるので、卵巣の老化の進行を緩やかにすることができます。
「ピル」の種類
ピルには含有する女性ホルモン量が異なり、低用量ピルと中用量ピルがあります。低用量ピルの主な目的は避妊、中用量ピルの主な目的は子宮筋腫や子宮内膜症の治療です。
子宮内膜症は10人に1人の女性に発症するといわれています。中用量ピルの服用で月経期間の調整や経血量を減らして生理痛を弱めることが可能になり、中用量ピルは子宮内膜症の治療にも使われています。
ピルの服用をやめるとどうなる?
ピルの服用では、避妊、生理痛の緩和、生理不順の改善などさまざまなメリットがあります。 服用を中止した場合も、すぐに体に異変をきたすわけではありません。
ピルの服用をやめた場合の体の変化は3つあります。
- 排卵が戻り、妊娠できる体になる
- 月経痛などの症状が戻る
- 吐き気や頭痛などがなくなることも!
以下で、1つずつ詳しく説明します。
排卵が戻り、妊娠できる体になる
ピルの服用を中止すると、たいてい、3か月以内に約90%の排卵機能が戻り、妊娠できる体になります。長期間ピルを服用していても、同じように排卵が再開します。
妊娠を希望するようになったらピルをやめましょう。ピルは不妊の原因にはならず、不妊の原因になる、子宮筋腫や子宮内膜症を予防する効果があります。
月経痛などの症状が戻る
ピルの服用をやめると、ほとんどの場合、3か月で月経が戻ってきます。排卵機能が戻るので、妊娠可能です。したがって、月経時、月経痛などの症状が戻る可能性があります。 月経痛が元に戻り、つらい場合は医師に相談しましょう。
吐き気や頭痛などがなくなることも!
ピルの副作用による吐き気や頭痛、乳房の張り、むくみ、だるさなどが起きていた場合は、ピルをやめることで治ります。
副作用の現れ方や程度は個人差が大きいです。副作用は強く現れてしまう方もいますが、ほとんどの方は体がピルに慣れると症状も次第に落ち着きます。
ピルをやめてから妊娠できるまでにどれくらいかかる?
ピルの服用をやめると、だいたい2~3か月以内に妊娠できるようになります。したがって、妊娠を希望したらピルをやめるのがよいでしょう。
早くて1カ月月、遅くとも3カ月ほど
早い人で1カ月ほどで月経が戻り、およそ3カ月ほどで自然な月経周期になるので、そうなると妊娠可能になります。
しかし、ピルは月経不順を根本的に治すわけではないので、服用中止とともに、月経不順だった人は以前のように月経不順に戻り、月経周期が乱れてしまう可能性があります。 ピル中止後すぐの月経(退行出血)は、ピル服用時と同じ時期にきますが、2回目以降は周期が乱れる可能性ありです。 ピルをやめてから月経が戻らない時は、妊娠している可能性もあるので、妊娠検査薬や産婦人科医で検査しましょう。
ピルをやめる場合は、医師へ相談しましょう。 ピルの服用はいつでもやめられますが、体調の変化のリスクがあるので、 やめた場合にどういった症状が起きる可能性があるのか医師と確認し、検討してください。
また、ピルをやめた場合の体調の変化次第では再び服用した方がいい場合もあり、医師の判断が必要になる場合があります。 PMSや月経痛などがつらい場合はピルを処方した医師に相談しましょう。
ピルをやめてからの妊活によくある不安や疑問
ピルをやめてからの妊活によくある不安や疑問について解答します。疑問が解決する場合もあるので、読んでみてください。
- ピルをやめてすぐに妊娠しても大丈夫?
- ピルを止めても排卵が起こらないときは?
- またすぐにピルの服用を再開するのはよくない?
以下で、1つずつ詳しく説明します。
ピルをやめてすぐに妊娠しても大丈夫?
ピルの服用中止直後に妊娠しても、胎児に影響を与えることありません。
低用量ピルについては、日本国内だけでなく、海外でも広く検討されており、多くの研究が報告されていますが、ピル内服の胎児への悪影響を報告するものは1つもありません。したがって、ピルの内服を中止後は、安心して妊活に取り組みましょう。
ピルを止めても排卵が起こらないときは?
ピルを中止したことで、元々の月経不順が戻ってきて、排卵が起こらない可能性もあります。しかし、ピルを中止後に排卵周期が戻るのには個人差があって1カ月の方もいれば、3カ月ぐらいかかる方もいます。もし排卵しているかどうかを知りたければ、基礎体温を測定してみましょう。
基礎体温を測定して排卵している様子がなかった時は、産婦人科医を受診しましょう。
またすぐにピルの服用を再開するのはよくない?
服用中止から3カ月以内なら、ピルを再開しても血栓症のリスクは抑えられると考えられています。
ピルの服用には血栓症のリスクがあり、これは服用開始から4カ月以内にもっともリスクが高まるといわれています。 血栓症のリスクを最小限にしたい場合は、中止再開を繰り返すことは避けましょう。 ピルを中止したいが、再開も考えている場合は、医師に相談してから中止することをおすすめします。
妊活に向け、ピルの服用をやめたパートナーに男性ができること
妊活に向けて、ピル服用をやめた女性に対して男性にもできることがあるので、3つ紹介します。
- 女性パートナーの些細な変化に気を配る
- しばらくは女性に負担をかけないよう家事などを率先する
- 女性パートナーだけでなく、自分の健康にもしっかり気を遣う
以下で、1つずつ詳しく説明します。
女性パートナーの些細な変化に気を配る
些細な変化で、自分では何ともないと思ってしまうようなことでも、そばで見ているとはっきり分かることがあります。ピルについての正しい知識のもと、冷静に客観的にパートナーを見守ってあげましょう。
例えば、以前のような月経が戻ってきて、顔色がいつもより青く、辛そうであれば、「以前のような月経が戻ってきて辛いのだな」と考え、そっとしておいてあげましょう。期間が過ぎれば、いつも通りのパートナーに戻ります。
しばらくは女性に負担をかけないよう家事などを率先する
パートナーが長くピルを飲んでいた場合、どんなことが起こるか分かりません。できる限りパートナーの心配事や負担は受け持ってあげるつもりでいましょう。
女性パートナーも自分のことはいえ、不安です。しばらくは、女性パートナーに負担をかけないよう家事なども率先してするようにしましょう。
女性パートナーだけでなく、自分の健康にもしっかり気を遣う
自分の体調が不安定になるとパートナーに余計な心配を与えてしまいます。自分の健康にもしっかり気を配り、規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心掛けましょう。
自分もパートナーも健康第一の意識を強く持って過ごしましょう。
まとめ
本記事では、ピルの役割と妊娠との関係について紹介してきました。
ピルは排卵を抑える薬で、服用をやめることで生理周期がもどるので、ピルをやめてから2∼3カ月で妊娠可能になります。
ピルを中止した時の体の変化は人によってさまざまです。女性パートナーが妊活のためにピルをやめた場合は、男性にもできることがあります。女性パートナーの些細な変化に気を配り、自分もパートナーも健康第一の意識を強く持って過ごしましょう。