※本記事は薬剤師が執筆しております※
ビタミンCの効果や働きについて詳しく確認したい方は多いのではないでしょうか?
ビタミンCは、老化を防ぎ、免疫力を高める抗酸化ビタミンです。ビタミンCの効果は様々ですが、飲み過ぎると吸収率が低下するなどの報告もあるため、適量を毎日摂取することを意識しましょう。
この記事では、ビタミンCの効果以外に摂取方法や過剰摂取など網羅的に解説します。ぜひ、最後まで読んでください。
目次
- ビタミンCとは?
- ビタミンCの効果や働き
- ビタミンCが不足すると?
- ビタミンCを多く含む食材
- ビタミンCの効率的な摂取方法と注意点
- ビタミンCの副作用【過剰摂取】
- ビタミンCと薬の相互作用
- ビタミンCの適量を毎日摂取しよう
ビタミンCとは?
ビタミンCは、皮膚や血管の老化を防ぎ免疫力を高める働きを持つ抗酸化ビタミンです。
ここではビタミンCについて、2つのことを紹介します。
- ビタミンCの発見
- ビタミンCは体内で合成できない
以下で、1つずつ詳しく説明します。
ビタミンCの発見
ビタミンCは水溶性ビタミンの1つで、壊血病の原因や治療法を探るための研究で、リンドによってオレンジ果汁から発見されました。
15世紀以降の大航海時代、壊血病は新鮮な野菜や果物を食べることが極端に少なかった船乗り達の間で流行しており、死に至る病でした。
ビタミンCは体内で合成できない
人のほか、モルモットなどでは、ビタミンCを合成するために必要な酵素がないので、食事からビタミンCを摂取する必要があります。しかし、哺乳動物の多くは、体内でブドウ糖からビタミンCを合成できます。
人やモルモットでは、進化の過程でビタミンC合成経路に必要な酵素の遺伝子に突然変異がたくさん入り、そのため体内でビタミンCを合成できなくなってしまいました。
ビタミンCの効果や働き
ビタミンCには以下のような効果や働きがあります。
- 男性妊活サポート
- 美肌効果
- 老化予防
- 免疫力の向上
- ストレスの緩和
- 白内障の予防
- 貧血予防、改善
- 抗がん作用
- 痛風予防
以下で、1つずつ詳しく説明します。
男性妊活サポート
精子は体内で発生する活性酸素による酸化ストレスで老化しますが、ビタミンCの摂取で老化を抑えられます。
美肌効果
ビタミンCには抗酸化作用があるため、シワやたるみの原因となる物質を作る活性酸素を除去します。日焼け防止になるほか、日焼け後のケアにも効果的です。
ビタミンC入りの外用薬、内服薬がありますが、どちらも日焼け防止、日焼け後のケアに役立ちます。
老化予防
ビタミンCには活性酸素を除去して体内の酸化を防ぐ働きがあるので、ビタミンCは老化を防ぐことができると言われています。
ビタミンC合成不能マウスをビタミンC欠乏状態にして、長期間飼育すると普通のマウスの平均寿命が2年だったのに対し、ビタミンC欠乏マウスの平均寿命は6か月であったと言われています。
免疫力の向上
ビタミンCを多く含む免疫細胞の白血球やリンパ球は、ビタミンCの摂取で免疫機能が強化されるため、疾病への抵抗力が高まります。
免疫細胞が病原体を攻撃する際にも活性酸素を排出しますが、その際、自分の正常細胞もダメージを受けやすい状況です。ビタミンCなどの抗酸化作用を持つ物質が豊富にあれば回避でき、免疫機能は低下せずに済みます。
ストレスの緩和
ビタミンCはストレスに抵抗するために分泌されるアドレナリンの生成にも不可欠です。
ストレスにさらされるとビタミンCは大量に消費されます。寒暖、不安、疲労などもストレスです。睡眠不足の時、風邪をひいた時などには、ストレスへの抵抗力アップのために意識してビタミンCを摂取しましょう。
白内障の予防
ビタミンC摂取が多いほど老人性白内障の発症率が低いと報告されています。
老人性白内障の主な原因とみなされているのは、水晶体蛋白の酸化です。食事からのビタミンC摂取が多いと、眼組織のビタミンC濃度が高くなり、加齢からの水晶体のダメージを予防するものだと思われます。
貧血予防、改善
青菜、納豆、穀物類などの植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が高まります。
ビタミンCは加熱すると失われるので、食後のデザートに果物を摂取したり、ピーマンやジャガイモなど加熱してもビタミンCが壊れにくい食品を組み合わせて摂取しましょう。
抗がん作用
ビタミンCには、ハムやソーセージの摂取で、体内で生成される発がん物質「ニトロソアミン」の生成を抑制する効果があることが分かっています。
また、その他にビタミンCには発がん性を弱めるという報告もあります。
痛風予防
外国の研究ですが、ビタミンCが尿酸低下作用を示し、痛風予防効果を持つことが報告されています。
ビタミンCが不足すると?
ビタミンCが不足すると私たちの体にはどんなことが起きるのでしょうか。
ここではビタミンCの不足について、4つのことを紹介します。
- 1日の必要摂取量
- ビタミンCの消費は激しい
- ビタミンC欠乏症について
- ビタミンC欠乏症の治療方法
以下で、1つずつ詳しく説明します。
1日の必要摂取量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、毎日の食事から摂取すべきビタミンCの摂取量の目安(推奨量)は、成人男性・女性共に100mg/日です。
【ビタミンCの食事摂取基準(mg/日)】
年齢(歳) | 推奨量 |
---|---|
0~1 | 目安量 40 |
1~2 | 35 |
3~5 | 40 |
6~7 | 50 |
8~9 | 60 |
10~11 | 70 |
12~64 | 85 |
65~ | 80 |
妊婦 | +10 |
授乳婦 | +45 |
喫煙者 | +35 |
妊婦、授乳婦、喫煙者は上の表の摂取推奨量にそれぞれ45mg、35mg、10mgの追加摂取推奨量があります。
ビタミンCの消費は激しい
ビタミンCは想像以上に体内で多く使われているため、不足しやすいです。また、喫煙はビタミンCの必要量が30%増加するので、喫煙している方は、必要摂取量より多いビタミンCを摂取する必要があります。
ビタミンC欠乏症について
ビタミンC欠乏症では、疲労、筋力低下を感じ、易怒性がみられます。ビタミンC欠乏症・重度のビタミンC欠乏症は壊血病と呼ばれ、あざ、歯のトラブル、毛髪及び皮膚の乾燥、貧血が起こります。
ビタミンC欠乏症の治療方法
ビタミンC欠乏症の治療法は、ビタミンCのサプリメントを摂取することです。野菜と果物の摂取を増やし、栄養価の高い食事の摂取を行いましょう。
ビタミンCを多く含む食材
体内ではいろいろな効果のあるビタミンC。必要量はできるだけ効率良く摂取したいものです。
ここではビタミンCを効率的に摂取できる食材を紹介します。
- 動物性の食材
- 植物性の食材
以下で、1つずつ詳しく説明します。
動物性の食材
肉製品のハム・ソーセージ・フランクフルトなどには、100g当たり約20~25mgのビタミンCが酸化防止剤として含まれています。
これは、鮭を塩で漬けて塩鮭にしたり、果物を砂糖で煮てジャムにしたりするのと同じことで、長く保存するための方法です。冷蔵庫のない時代の大切な知恵です。
植物性の食材
ビタミンCを豊富に含む植物性の食材は、野菜や果物、イモ類などです。
ビタミンCを多く含む食品の含有量は以下の通りです。
【100gあたりのビタミンC含有量(mg)】
食材 | 100gあたりのビタミンC含有量 |
---|---|
アセロラ | 1,700mg |
赤ピーマン | 1,700mg |
黄ピーマン | 1,500mg |
ゴールデンキウイ | 140mg |
ブロッコリー | 120mg |
菜の花 | 110mg |
ピーマン | 76mg |
ビタミンCの効率的な摂取方法と注意点
ビタミンCの効率的な摂取方法と注意点を知っていますか?
ここでは、ビタミンCの効率的な摂取方法と注意点を3つ紹介します。
- 茹でるとビタミンCが減少する
- サプリメントは「食後」と「就寝前」が良い
- 朝は柑橘系を控えるべき?
以下で、1つずつ詳しく説明します。
茹でるとビタミンCが減少する
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、水に溶けやすく、熱に弱いという特性があります。そのため、ビタミンCが豊富でも、茹でる・煮るという調理方法だとビタミンCが水に溶け出て、ビタミンC含有量が減ってしまいます。
ビタミンCが多い野菜や果物は、鮮度が良いものをなるべく生で食べるようにしましょう。
サプリメントは「食後」と「就寝前」が良い
ビタミンCは空腹時より食後に摂取した方が吸収が穏やかです。
また、就寝後1〜2時間が成長ホルモン分泌のピークなので、就寝前ビタミンCを摂取しておけば、コラーゲン生成を促せます。
朝は柑橘系を控えるべき?
「朝は柑橘系を控えるべき」という話は気にしなくて大丈夫です。
ビタミンCを豊富に含む食べ物には、日焼けの原因となる「ソラレン」が含まれる食べ物があり、「ソラレンを含む=日焼けする」というイメージから、「朝は柑橘系を控えるべき」という誤解が生まれたのです。
ビタミンCの副作用【過剰摂取】
ビタミンCの過剰摂取の副作用について確認しておくと、日常生活で役立ちます。
ここでは、ビタミンCの副作用【過剰摂取】について2つ紹介します。
- 基本的に健康障害の報告はない
- 過剰摂取はビタミンCの吸収率が下がる
以下で、1つずつ詳しく説明します。
基本的に健康障害の報告はない
ビタミンCを摂取し過ぎても、健康被害が生じたという報告はありません。
過剰に摂取したビタミンCは尿として排出されてしまいます。
過剰摂取はビタミンCの吸収率が下がる
ビタミンCは摂取しすぎると吸収率が下がると言われています。
ビタミンCは約200mg/日までは吸収率90%ですが、1日1000mg以上だと吸収率50%以下になります。
ビタミンCと薬の相互作用
ビタミンCには抗酸化作用があるので、ビタミンCを多く摂取する人はがん発症リスクが低いと考えられますが、ビタミンCサプリメントががんを予防することはないようです。
むしろ、ビタミンCサプリメントは化学療法や放射線療法などのがん治療と相互作用する可能性があると言われています。
ビタミンCとビタミンE、セレン、βカロチンなど抗酸化物質を併用すると、血中コレステロール濃度がコントロールされるので服用する2つの薬剤(スタチンとナイアシン)の心保護作用は弱まると言われています。
ビタミンCの適量を毎日摂取しよう
ビタミンCの効果以外に摂取方法や過剰摂取など網羅的に解説してきました。
ビタミンCは、老化を防ぎ、免疫力を高める抗酸化ビタミンです。ビタミンCの効果は様々ですが、飲み過ぎると吸収率が低下するなどの報告もあるので、適量を毎日摂取することを意識しましょう。