不妊治療の助成金とは?保険適用の条件を徹底解説!
妊活とお金
2022.11.19

不妊治療の助成金とは?保険適用の条件を徹底解説!

※本記事は薬剤師が執筆しております※

不妊治療を検討しているけれども、助成金やどの程度保険が適用されるのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

不妊治療の助成金は各自治体によって助成内容が違うため、お住まいの自治体のホームページなどを確認することがおすすめです。不妊治療には保険適用になる治療方法や保険適用外でも自治体独自の助成対象となる治療方法もあります。

本記事では不妊治療の助成金についてと保険適用の条件について解説しますのでご参考ください。

⽬次

  1. 不妊治療には助成がある
  2. 不妊治療の種類
  3. 不妊治療の助成対象となる方
  4. 新たに保険適用となる主な不妊治療
  5. 不妊治療の保険適用で得られるメリット
  6. 仕事と治療の両立
  7. まとめ

不妊治療には助成がある

不妊治療にはさまざまな方法があり、保険が適用される治療法や保険適用されていなくても自治体から助成が出る治療法もあります。不妊治療に対する助成内容や申請手続きなどは自治体によっても異なるため、お住まいの都道府県や指定都市、中核都市にお問い合わせください。

不妊治療には高額な金額がかかるため、政府も少子化対策の一環として助成金の拡充を行ってきました。

特定不妊治療費助成とは

2004年から特定不妊治療費助成として不妊治療にかかる費用の助成が実施され、多くの人に利用されてきています。特定不妊治療費助成の対象治療法は体外受精及び顕微受精でした。

2022年4月より一般不妊治療の人工授精等、生殖補助医療の体外受精、顕微受精等について保険適用されることになりましたが、保険適用までの移行に向けた支援として2021年1月より特定不妊治療費助成の拡充が行われました。

特定不妊治療費助成の対象だった治療方法が保険適用されたため、多くの自治体において2022年3月末で特定不妊治療費助成は終了されています。

2022年度中は保険適用への移行期間であるため、経過措置期間が設けられています。

不妊治療(先進医療)費助成

特定不妊治療費助成は終了となる予定ですが、不妊治療には保険適用されていない治療方法が多くあります。保険適用されていない先進治療などに独自で助成を行っている自治体もあるため、お住まいの自治体のホームページや子育て支援担当部署にご確認ください。

不妊治療の種類

不妊治療にはタイミング法や人工授精の一般不妊治療と体外受精や顕微授精などの生殖補助医療に分けられます。それぞれの治療方法について解説しますので、続きをお読みください。

一般不妊治療

一般不妊治療とはタイミング法や人工授精のことをいいます。患者さんにとって比較的負担が少ない治療法で、一般不妊治療で妊娠するカップルも多くいます。

一般不妊治療も高度な治療です。女性の場合、タイミング法でも人工授精でも卵子の状態が成熟しているか観察しなければいけません。男性の場合、人工授精において精子の選択が大切になります。

人工授精においてはさまざまな条件はありますが、2022年4月より保険適用となりました。

生殖補助医療

生殖補助医療とは以下の一連の流れにおける診療をいいます。

  1. 採卵、採精
  2. 体外受精、顕微授精
  3. 受精卵・胚培養
  4. 胚凍結保存
  5. 胚移植

日本生殖医学会などの関係学会が発表するガイドラインなどで有効性と安全性が確立された不妊治療方法です。要件はありますが2022年4月より保険適用となりました。追加の選択肢として行われるオプション治療についても保険適用となる治療もあるため、治療を行っている医療機関へご確認ください。

不妊治療の助成対象となる方

不妊治療の助成対象となる方は、特定不妊治療(体外受精および顕微授精)以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された夫婦です。特定不妊治療費助成も保険適用になる場合も以下の制限があります。

  • 年齢制限
  • 回数制限

助成の対象となる方は原則法律婚の夫婦ですが、事実婚関係にある方も対象となります。

年齢制限

治療期間の初日における女性の年齢が43歳未満の夫婦が対象です。

回数制限

原則、1子ごとに6回までの回数制限があります。40歳以上43歳未満の方は助成回数が6回ではなく3回へ減ります。

特定不妊治療費助成では体外受精、顕微授精、男性不妊治療において1回30万円助成されていました。

2022年3月以前までの助成金の支給回数は保険適用になってからの回数には含みません。

所得制限は撤廃

特定不妊治療費助成は2021年1月に助成が拡充され、所得制限が撤廃されました。2020年12月までは夫婦合わせた所得が730万円未満の人のみが対象でした。

新たに保険適用となる主な不妊治療

2022年4月から保険適用となる主な治療方法は以下の4つです。

  • タイミング法によるED治療薬
  • 人工授精
  • 体外受精
  • 顕微授精

それぞれ詳しく解説していきますので、ご参考ください。

全ての医療機関で保険適用されるわけではないため、ご注意ください。保険適用の医療機関であるかどうか、かかりつけの医療機関またはお近くの医療機関に確認して受診しましょう。

タイミング法によるED治療薬

2022年4月より不妊症治療で使用する場合に限って、バイアグラなどのED治療薬が保険適用の対象となりました。保険を使用する時にはさまざまな条件があるため、不妊治療を行っている医療機関へご相談ください。

人工授精

一般不妊治療の1つで、タイミング療法の次のステップで行うことが多い治療法です。女性の排卵の時期に合わせ、子宮の入り口から管を入れ洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内へ直接注入します。精子を注入した後は自然妊娠と同じであるため、自然妊娠に近い治療法です。

体外受精

体外受精とは女性の体から採卵した卵子とパートナーの精子を一緒にして受精させ、受精卵を直接子宮に移植して着床を促す治療法です。受精後発育した体外培養後胚を体内に移植すると妊娠確率が高くなるため、一般的に約2〜5日後に子宮内に移植します。

顕微授精

顕微授精とは1つの精子を細い針の先端に入れて、顕微鏡で確認しながら卵子へ直接注入する治療法です。体外受精では卵子に精子を振りかけることによって受精卵が作られますが、顕微授精では状態の良い精子を捕まえて卵子へ注入するため、体外授精よりも受精率が高くなります。しかし、良い精子を注入しても全てが受精卵になるわけではありません。

不妊治療の保険適用で得られるメリット

不妊治療が保険適用となるメリットは以下の2つです。

  • 経済的負担の軽減
  • 出産に対する抵抗感の軽減

それぞれのメリットについて解説していきます。

経済的負担の軽減

2022年3月までは保険が適用されず、医療費は全額自己負担だったため経済的な負担が重く、経済的理由で不妊治療を中止するケースもありました。

不妊治療が保険適用されたことにより、治療費の自己負担は3割となり、さらに治療にかかった費用が一定額を超えた場合には、1カ月の自己負担額を抑える高額療養費制度の対象にもなります。

助成は後払いでしたが、保険適用になると窓口での支払い時点で3割負担となるため、経済的な負担が軽減されるでしょう。

出産に対する抵抗感の軽減

内閣府で行われたインターネットによる子育て費用に関する調査によると、1人の子どもを大学まで卒業させるためにかかる費用は約3,000万円以上という調査結果が出ています。妊娠は子育てのスタートであり、出産後は子育て費用もかかるため、2人目を経済的理由で諦める方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、不妊治療の保険適用によって不妊治療における自己負担金が減るため、第2子以降の不妊治療に抵抗感があった方も治療を前向きに考えられるようになります。

仕事と治療の両立

不妊治療は女性の排卵周期に合わせて通院が必要になるため、仕事との両立が難しくなります。近くに不妊治療を行っている医療機関がない場合、遠方まで通院する必要があり、短時間の通院でも1日休みが必要です。

厚生労働省の調査によると、不妊治療を経験した方のうち16%が、不妊治療と仕事を両立できずに離職しています。

また、職場内では、不妊治療についての認識があまり浸透していないこともあります。企業には、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備が求められているため、今後は不妊治療と両立して働きやすくなる環境に期待できるかもしれません。

まとめ

不妊治療は精神的にも金銭的にも時間的にも負担がかかる治療です。治療費が高額なだけでなく、いつ妊娠が成立するか分からないため、通院期間が長くなることも多くなります。経済的な理由で不妊治療を諦める人も多く、国や自治体も少子化対策の一環として助成を行っています。

助成内容はお住まいの自治体によっても異なるため、くわしい情報はお住まいの自治体に確認してください。

また、全ての医療機関が助成金の対象や保険適用となるわけではありません。受診する前に医療機関の情報もチェックしましょう。

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