※本記事は薬剤師が執筆しております※
「そもそも滋養強壮とはどういう意味?」「滋養強壮を高める食べ物や食べ方は?」「高麗人参やマカは効果があるの?」などと疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
滋養強壮とは、必要な栄養を体にいきわたらせ、強い体をつくることです。食事は食べているけれども、疲れやすい、風邪をひきやすい、スタミナがないと感じる方は、体に必要な栄養素が不足しているかもしれません。滋養強壮を高める食材を食生活に取り入れ、元気な体をつくりましょう。
本記事では、滋養強壮におすすめの食材と栄養素について解説し、食材を使った料理もご紹介しますのでご参考ください。
目次
- 滋養強壮とは?
- どんな人に滋養強壮が必要?
- 滋養強壮を高める食べ物の特徴は?
- 滋養強壮にいい食材①高麗人参
- 滋養強壮にいい食材②マカ
- 滋養強壮にいい食材③にんにく
- 滋養強壮にいい食材④すっぽん
- 滋養強壮にいい食材⑤牡蠣
- 滋養強壮にいい食材⑥にら
- 滋養強壮にいい食材⑦長いも
- 滋養強壮にいい食材⑧うなぎ
- 滋養強壮にいい食材➈卵
- 滋養強壮にいい食材⑩納豆
- まとめ
滋養強壮とは?
滋養とはからだの栄養となることで、強壮とはからだが丈夫で元気なことをいいます。滋養強壮とは、体に必要な栄養をしっかり摂り、強い体を作ることです。
1日3食食べているのに「疲れやすい」「体がだるい」「元気がない」と感じる方は体に必要な栄養素が不足しているかもしれません。好き嫌いが多く、好きなものばかり食べていると栄養が偏り体に必要な栄養素が不足します。
栄養素のバランスがよく、滋養強壮効果の高い食品や栄養ドリンクなどを利用し、効率よく栄養素を摂るのもおすすめです。
どんな人に滋養強壮が必要?
滋養強壮が必要な人は疲れている人、虚弱体質の人、病気によって体力が低下している人です。強弱体質の方は胃腸が弱く、冷え症状があることも多いため、冷え性の方も滋養強壮が必要かもしれません。
滋養は足りない栄養を補充することをいうため、普段の食事で栄養素がとれていないと感じている方も滋養強壮を高める食材を食生活の中にとりいれてみるといいでしょう。栄養素は蓄えられないため、継続して食べることが大切です。続けやすい方法で取り組んでみてください。
滋養強壮を高める食べ物の特徴は?
滋養強壮を高める食べ物にはビタミン成分、カルシウム、アミノ酸、生薬成分などが豊富に含まれています。
ビタミンは多くの食材に含まれており、体内の代謝に重要な働きを担う栄養素です。体の中でつくることができないか作ることができても不十分であるため、食品などから摂取する必要があります。
ビタミンは、多く摂ったからといって滋養強壮効果が高まるわけではありません。脂溶性ビタミンであるビタミンA.D.E.Kでは、過剰摂取により過剰症を引き起こす可能性があります。食品からだけで過剰摂取になることはほとんどなく、サプリメントなどと併用する時に注意が必要です。
代表的な食材10個の栄養素や食材を使った料理などをご紹介しますのでご参考にされてください。
滋養強壮にいい食材①高麗人参
高麗人参は日本では朝鮮人参と呼ばれることもあり、漢方薬にも利用されています。ウコギ科の植物で、栄養成分はジンセノサイドです。主に高麗人参の根に含まれます。
何千年も前から、健康目的で中国伝統医学に使用されており、元気を補う作用を持つ食材として有名です。神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進などの作用によって、ストレスに対する抵抗力や新陳代謝を高めるとされています。
高麗人参は加工法によって、「水参」「白参」「紅参」の3つに分類されます。高麗人参の中でも水参を使った料理には参鶏湯などがあります。紅色になるまで乾燥させた紅参をミキサーにかけて牛乳とはちみつを入れれば人参シェイクになります。粉末ですと、ホットケーキに混ぜ込むなど様々な料理に使いやすくなるでしょう。
滋養強壮にいい食材②マカ
マカは滋養の宝庫と言われ、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸を含むアミノ酸などの栄養素がバランスよく含まれます。代表的な栄養成分は以下のとおりです。
- ビタミンB群・C・E
- カリウム
- カルシウム
- ナトリウム
- マグネシウム
- セレン
- 亜鉛
- 銅
- 必須アミノ酸を含むアミノ酸
- 不飽和脂肪酸
マカの原産地ペルーではインカ帝国時代から男性の活力源として利用されており、疲労の回復や精力回復の効果も期待できます。
マカは輸入規制されているため、日本で生のマカを食べることは難しいかもしれません。加工されたマカ粉末をドリンクやヨーグルト、カレーなどに混ぜ込んで食べることができます。
滋養強壮にいい食材③にんにく
にんにくは、ユリ科の香味野菜です。滋養強壮にいい栄養成分は独特な匂いの成分であるアリシン・ビタミンB群などです。アリシンはエネルギー代謝に関与するビタミンB1と結びつき、持久力や疲労回復などを持続させる効果が期待できます。にんにくは昔から食中毒などを防ぐために利用されており、殺菌作用もあります。
アリシンを摂りすぎると、胃腸に負担がかかり、腹痛や胃痛などを起こす原因となるため、摂りすぎには注意してください。通常の食事で摂りすぎることはほとんどありません。
アリシンは、水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、生のままで食べるのがおすすめです。刺激が強いため、生で食べにくい時は油でさっと加熱して食べてください。豚肉などのビタミンB1を多く含む食材と合わせて食べるといいでしょう。
滋養強壮にいい食材④すっぽん
すっぽんは栄養素が多く含まれるため、滋養強壮にいい食材として、日本では縄文時代ごろから食べられてきました。すっぽんには体内でつくることができない必須アミノ酸が豊富に含まれています。必須アミノ酸はエネルギー源にもなるため、滋養効果が期待できるでしょう。代表的な栄養成分は以下のとおりです。
- カリウム
- ビタミンA・B・C・D・E
- カルシウム
- リン
- 鉄
- 亜鉛
滋養強壮だけでなく、肌の若々しさや、筋力作り、男性の活力サポートなどの効果も期待されています。ビタミンBは糖質を体内でエネルギー源に変える過程で必要です。疲れやすいと感じている方はすっぽん鍋などを食べてみてください。
滋養強壮にいい食材⑤牡蠣
牡蠣には亜鉛、鉄分、タウリン、グリコーゲン、ビタミンB群などの栄養素がバランスよく含まれています。滋養強壮にいい食材であるため、積極的に食べたい食材の1つです。
牡蠣に含まれる豊富な栄養素を効率的に摂るためには、生食で食べることがおすすめです。加熱調理すると、熱に弱い栄養素を効率的に摂ることができません。しかし、食中毒の危険性もあるため、体調を崩しているときに生の牡蠣は避けた方がいいでしょう。
レモンやブロッコリーなどのビタミンCを豊富に含む食材と一緒に食べることによって、牡蠣に含まれる栄養素の効果を高めてくれます。生牡蠣を食べるときは、レモンを絞って食べ、加熱調理する牡蠣鍋やソテーの時は野菜と一緒に食べるのがおすすめです。
滋養強壮にいい食材⑥にら
にらにはビタミンC、カリウムや葉酸、アリシンなどの栄養素が含まれています。辛味成分であるアリシンは疲労回復などに効果が期待できます。
アリシンはビタミンB1と一緒に食べると、ビタミンB1の吸収率があがるため、豚肉や豚や鶏のレバーなどのビタミンB1を多く含む食材と一緒に食べるとよいでしょう。滋養強壮にいい食材⑨でご紹介する卵と一緒に炒めたニラ玉などの料理もおすすめです。
アリシンは熱に弱いため、火を通しすぎないよう注意してください。細かく刻むとアリシンが増えるため、できるだけ細かく刻んでみるといいでしょう。にらは根元に多くのアリシンが含まれているため、根元まで調理するのがおすすめです。
滋養強壮にいい食材⑦長いも
長いもにはビタミンB1、ビタミンC、食物繊維、カリウムなどの栄養素が多く含まれております。長いもにはでんぷんを分解する酵素であるジアスターゼが含まれるため消化がよくなり、効率よく栄養を取り込むことができます。
ジアスターゼは熱に弱いため、生で食べるのがおすすめです。とろろにして、ご飯にかけて食べると美味しいでしょう。煮ても焼いてもある程度の効果は残るため、長いもソテーなどもおすすめです。
滋養強壮にいい食材⑧うなぎ
うなぎは栄養価が高くてバランスの良い食材です。滋養強壮にいい食材として有名で、夏バテ予防に土用のうしの日に食べる方も多いのではないでしょうか。
疲労回復に役立つビタミンB群だけでなく、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、亜鉛など男性力の増強や健康体の維持をサポートする成分が豊富に含まれています。うなぎは小骨ごと食べられるため、カルシウムもとれます。
蒲焼きや白焼きで食べるのが一般的です。せいろ蒸しやひつまぶしが有名な地域もあり、酢の物やう巻きなどの食べ方もあります。
滋養強壮にいい食材⑨卵
卵には良質なタンパク質が多く含まれ、栄養の優等生と言われるとおり、様々な栄養素がバランスよく含まれています。肉、魚や大豆製品などのタンパク質と比べてもビタミンやミネラルが豊富です。
人間の体で作られない必須アミノ酸がバランス良く含まれているため、疲れやストレス解消効果も期待できます。卵に含まれる必須アミノ酸のひとつ、メチオニンは肝臓でアルコールを分解するときに必要で、肝臓を守る力もあります。
卵は色々な料理に活用でき、卵かけご飯や卵焼き、茶碗蒸しなど様々な料理があります。今回ご紹介する滋養強壮にいい食材と組み合わせて調理すると効果的です。毎日卵を食べ、卵の栄養を体に取り込み強い体を作りましょう。
滋養強壮にいい食材⑩納豆
納豆も卵と同様に良質なタンパク質が多く含まれています。納豆にはビタミン・カリウム・鉄・食物繊維などの栄養素が含まれ、滋養強壮にいい食材のひとつです。
納豆は大豆を納豆菌で発酵させて作られます。発酵によって、タンパク質をアミノ酸まで分解するため、消化性が抜群です。体内のさまざまな代謝を助けるビタミンB2も多く含んでいます。
ご飯に納豆をかけて、納豆ご飯として食べても美味しいですし、カレーや味噌汁に入れても美味しく食べられます。
血液をサラサラにする薬(ワーファリン)を服用中の方は納豆を控えなければいけないため注意が必要です。
まとめ
滋養強壮とは、体に必要な栄養をしっかり摂り、丈夫な体を作ることです。めったに食べられない食材もありますが、今回ご紹介した滋養強壮にいい食材には様々な栄養素がバランスよく含まれています。
「疲れやすい」「体がだるい」「元気がない」と感じる方は、食べやすい食材から普段の食生活の中に積極的に取り入れてみてください。継続的に滋養強壮にいい食材を食べると疲れにくい体へと変化するかもしれません。
すっぽんやマカなど滋養強壮にいい食材から栄養素を摂るのが難しい場合は、加工したサプリメントなどを利用してみてください。滋養強壮にいい食材やサプリメントを利用して健康管理に気をつけましょう。