- EDの原因は何?
- EDを自分で治す方法はあるの?
- EDだとしたら、どんな治療をするの?
- ED治療に保険は適用されるの?
EDはデリケートな問題であるため、人に相談できず、1人で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。EDの原因は大きく分けて4つあり、原因によって治療方法も異なります。
EDかもしれないと少しでも不安を感じた時はセルフチェックを行い、セルフチェックでEDの可能性が高いと判定された時は早めに医療機関を受診しましょう。適切な治療を受けることによって、EDが改善される可能性も高くなります。
この記事ではEDの原因や治療法などを網羅的に解説しますのでご参考ください。
⽬次
- EDとは?【勃起不全やインポとの違い】
- 勃起時の硬さを確認する方法
- EDのセルフ診断
- EDの原因について
- EDの治療方法
- EDに関する【Q&A】
- ED(勃起不全)の原因を特定することから始めよう
EDとは?【勃起不全やインポとの違い】
EDとは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発することです。英語のErectile Dysfunctionの略で勃起不全と訳されますが、勃起不全だけでなく、途中で中折れする、膣内へ挿入するのに硬さが足りないなどの状態も含みます。
1990年代頃はEDのことをインポテンスやインポテンツを略してインポという表現が使われていました。しかし、差別用語にあたる表現はふさわしくないという意見もあり、医療業界ではインポは使用せずにEDが使用されています。一般的に勃起不全とインポは同じ意味です。
勃起時の硬さを確認する方法
勃起時の硬さで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。勃起不全だけでなく、勃起時の硬さによってEDに該当する可能性があります。
勃起時の硬さをチェックするには、以下のスケール表を利用するのが簡単な方法です。ED診療ガイドライン第3版にも記載されており、病院受診時の問診表で記入を求められることもあります。
勃起の硬さスケール(日本語版 EHS)
あなたは自分の勃起硬度をどのように評価しますか?
グレード 1 |
陰茎は大きくなるが、硬くはない。 |
グレード 2 |
陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。 |
グレード 3 |
陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。 |
グレード 4 |
陰茎は完全に硬く、硬直している。 |
グレード1~2の場合もEDの可能性があるため注意が必要です。また、勃起時の硬さと角度には相関関係があるといわれているため、角度に変化がないかも日頃からチェックしておきましょう。
EDのセルフ診断
EDは国際勃起機能スコア(IIEF5やSHIM)と呼ばれるセルフチェックに沿って診断されることが多いため、まずはセルフ診断を受けてみましょう。
最近6カ月の状態で以下の5つの質問に回答してください。
- 勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか?
- 非常に低い
- 低い(2点)
- 中くらい(3点)
- 高い(4点)
- 非常に高い(5点)
- 性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか?
- 性的刺激はなかった(0点)
- ほとんど,又は全くならなかった(1点)
- たまになった(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々なった(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつもなった(5点)
- 性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- ほとんど、又は全く維持できなかった(1点)
- たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつも維持できた(5点)
- 性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- 極めて困難だった(1点)
- とても困難だった(2点)
- 困難だった(3点)
- やや困難だった(4点)
- 困難でなかった(5点)
- 性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか?
- 性交を試みなかった(0点)
- ほとんど、又は全く満足できなかった(1点)
- たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)(2点)
- 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)(3点)
- しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ほぼいつも,又はいつも満足できた(5点)
合計点数が21点以下の場合は、EDの疑いがあるとされているため、医療機関を受診して診断を受けましょう。セルフ診断の結果、医療機関を受診する時は問診時に点数を医師へ伝えてください。
EDの原因について
EDの原因は主に4つあります。それぞれの原因について詳しく解説していきます。
心因性ED
心因性のEDは精神的なストレスによって、性的な興奮が陰茎まで伝わらず、EDが起こりやすくなります。
20~30代に多く、仕事のストレス以外にも妊活によるストレスも多いようです。排卵日に性交渉をすると妊娠する可能性が高くなるため、排卵日に性交渉をしなければいけないというプレッシャーをかかえ、EDを発症するケースもあります。1度失敗すると心の傷となり、また失敗するかもしれないと不安を抱えてEDが悪化する場合もあります。
器質性ED
器質性EDは加齢による動脈硬化などが原因で物理的にEDとなるタイプです。ここでは以下の4つの原因について解説しますのでご参考ください。
- 動脈硬化
加齢だけでなく、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの病気が原因で動脈硬化が起こります。動脈硬化によって、血液の循環が悪くなり、陰茎海綿体に十分な血液が流れにくくEDを発症します。
- 血管障害
前立腺がんや腎移植などの外科的手術で陰茎につながる血管の損傷が起きた場合、EDになる可能性があります。手術前に説明を受けると思いますが、術前に勃起への影響についてしっかり確認しましょう。
- 神経障害
勃起は神経伝達によってコントロールされるため、糖尿病性神経症、てんかん、パーキンソン病などの神経障害によってED症状がでるという報告があります。
- 内分泌機能の低下
男性ホルモンの1つであるテストステロンの低下によって勃起する力が弱くなり、EDが起こります。テストステロンは30歳ごろから分泌量が低下するため、年齢とともにEDの患者さんは増加します。
混合性ED
EDの原因を1つに特定することが難しく、上記の心因性・器質性、下記の薬剤性EDが重なってEDを引き起こしていることをいいます。
薬剤性ED
ED診療ガイドライン第3版にEDのリスクファクターとして5種類の治療薬が掲載されています。
- 降圧薬
- 抗うつ薬
- 前立腺肥大症治療薬(α遮断薬と 5α還元酵素阻害薬)
- 髄腔内バクロフェン(intratechal baclofen: ITB)療法
- 非ステロイド性抗炎症薬
全ての薬が該当するわけではないため、薬の服用を開始するときは医師又は薬剤師へEDとの関連性があるのかご確認ください。
EDの治療方法
EDの治療はED治療薬が誕生するまで限られた医療機関でしか行えませんでした。1991年1月にバイアグラ錠が厚生労働省に認可され、多くの医療機関でED治療を行えるようになりました。 現在ではバイアグラ、レビトラ、シアリス(各ジェネリック医薬品)が承認され、内科などの医療機関でも処方されています。シアリスは2022年で販売が中止され、ジェネリック医薬品のみが流通しています。
ED治療薬は網膜色素変性症や心臓疾患がある方は服用することができないなどの制限があるため、注意が必要です。
ここでは、EDの原因に合わせた治療方法を解説しますので、ご参考にされてください。
心因性EDの場合
心因性EDの場合は、ストレスの軽減や妊活プレッシャーを和らげる治療が行われます。メンタル面が原因で、神経や血管に異常がないことが多いため、ED治療薬が効きやすいといわれています。しかし、ED治療薬を服用してもすぐに絶好期に戻るわけではないため、ゆっくり改善するまで治療を続けることが大切です。
器質性EDの場合
器質性EDの治療は、原因となる高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の治療が行われます。EDも生活習慣病も生活習慣に原因があるものが多く、生活習慣の改善指導も同時に行われるでしょう。根本治療には時間がかかるため、ED治療薬を使うことができる方はED治療薬の併用が可能です。
混合性EDの場合
混合性EDの改善には、器質性EDや心因性EDなど複数ある原因の治療が行われます。混合性EDの場合でも、ED治療薬は有効です。
薬剤性EDの場合
薬剤性EDが疑われた場合には、経過観察、原因薬剤を減量もしくは中止、ED治療薬の追加が検討されるでしょう。
同時に行いたい対策
EDはストレスや生活習慣病が原因の1つとなり、発症する病気です。上手にストレスを発散したり、生活習慣病の予防を同時に行うとED改善にもつながるでしょう。ここでは同時に行いたい対策をご紹介します。
食生活を改善する
人の体は毎日食べるものによって作られます。食生活の改善によって高血圧や糖尿病、脂質異常症を予防できるのと同じようにEDを予防する効果が期待できます。
バランスの良い食事を心がけ、塩分や糖質、脂質を抑えて食べ過ぎに注意しましょう。亜鉛や良質なタンパク質を積極的にとることもおすすめです。
生活習慣を整える
睡眠不足になると体の疲れが取れず、ストレスを抱える原因になってしまいます。睡眠をしっかりと取り、規則正しい生活を送りましょう。
普段の生活に運動を取り入れることもおすすめです。ウォーキングなどの有酸素運動はストレス発散になりますし、運動によって血行がよくなります。信号待ちの時に足踏みするなど、簡単にできる方法から試してみてください。
禁煙や禁酒を始める
禁煙と禁酒を始めてみましょう。
喫煙はEDの原因の1つになります。タバコを吸って影響を受けるのは肺や気管支というイメージが強いですが、血管も影響を受けます。喫煙により血管が収縮すると血液の流れが悪くなり、EDが起こりやすくなります。意志が弱くて禁煙できないと思う方は、禁煙外来を受診してみましょう。
過度な飲酒によって勃起に必要な神経伝達が抑えられてしまい、勃起に至らない可能性もあります。アルコールには依存性もあるため、アルコールの飲み過ぎがEDの原因かもしれないと判断された時は禁酒しましょう。
EDに関する【Q&A】
ED治療について解説してきましたが、疑問点が出てきた方もいるのではないでしょうか?ここではED治療についてよくある質問に回答していきます。
ED治療はいつから始めるべき?
ED治療は早期に始めたほうがよいでしょう。EDは動脈硬化と深い関係があり、EDで受診した患者さんの中には早期に生活習慣病の治療を開始しなければいけない人もいます。EDと軽視せずに早めに医療機関を受診することをおすすめします。
ED治療薬にもジェネリック医療薬はある?
ED治療薬にはジェネリック医薬品もあります。ジェネリック医薬品とは国が先発品と同等の治療効果があると認めた医薬品です。先発品よりも値段が安く設定されているため、安くED治療薬を購入したい方はジェネリック医薬品を選択するとよいでしょう。
朝勃ちしなくなったらEDのサイン?
朝勃ちするかしないかはEDの診断基準には含まれないため、朝勃ちしないこと=EDとはいいきれません。EDは性交渉時の勃起の状態や満足度で診断しますが、朝勃ちの減少とEDの発症はどちらもテストステロンの分泌量減少に影響を受けるため、相関関係がある可能性があります。
インポテンツとインポテンスの違いは何?
インポテンツ(impotenz)はドイツ語でインポテンス(impotence)は英語です。どちらも性的不能という意味で違いはありません。
ED治療に保険は適用されるの?
一般的にED治療は保険が適用されない自費診療です。2022年4月より男性の不妊治療に使用する場合、ED治療薬のシルデナフィルとタダラフィルが保険適用の対象となりました。保険適用されるにはさまざまな条件があるため、不妊治療中の方はかかりつけの医療機関へご相談ください。
ED(勃起不全)の原因を特定することから始めよう
EDはさまざまな原因によって起こる病気です。EDかもしれないと感じた時は、セルフチェックを行い、EDに該当する可能性が高い場合は早めに医療機関を受診して原因を特定しましょう。
原因を特定し治療を行うことによってEDが改善され、満足いく性交渉ができる可能性が期待できます。