※本記事は薬剤師が執筆しております※
「最近うまくいかなくなった」「このまま勃起ができなくなったらどうしよう」と気になる方は多いと思います。
勃起力は、男性ホルモンとの量と関係しており、20代をピークに徐々に減少するため、年齢とともに勃起力に悩む方が増えてきます。50代になると、30%の方は勃起不全で悩みを抱えていることが分かっています。
個人差が大きい問題なのでなかなか周りの人に打ち明けられなくて、不安を抱えている人も多いと言われています。
勃起力を向上させる方法は様々ありますが、単独の方法では十分に効果が出にくいので、いろいろな方法を複数組み合わせて行うことが効果的です。
今回は、勃起力が低下する原因にはどのようなものがあるのか、そして対策方法を詳しく説明していきます。
目次
- 勃起が起こるメカニズム
- 勃起力をチェックする方法
- 勃起障害(ED)の原因とは?
- 勃起力を維持する対処法
- 勃起力に関する【Q&A】
- 勃起力を最大限に高める対策を徹底しよう
勃起が起こるメカニズム
勃起は、性的興奮を得ると大脳から陰茎へ指令が送られて、陰茎海綿体の筋肉を弛緩させることで陰茎全体の血流が良くなり、陰茎海綿体内に一気に血液貯めることで勃起が起こります。
このように、神経、血管、心理面がうまく連動して起こる仕組みになっています。
勃起力をチェックする方法
勃起力をチェックする方法は、勃起の硬さ、角度、持続時間から判断することができます。また、国際勃起機能スコアを測定してみるのも良いでしょう。
それでは、詳しく確認してみましょう。
硬さ
勃起しても柔らかくなったと感じる時は、硬さを測定してみましょう。
グレード1〜4まであり、フルーツで例えると、グレード1がこんにゃく、グレード2がみかん、グレード3がグレープフルーツ、グレード4がりんごの硬さと言われています。
グレード3以下の硬さの場合は、勃起不全 (ED)の可能性があります。
角度
勃起の角度も重要な判断要素になります。お腹につく位のまっすぐに立ち上がった角度が0°だとして、勃起力がしっかりある場合は、鋭角に立ち上がります。
調査の結果、平均の勃起角度は74.3°であることがわかりました。この角度は、地面と水平になる90°よりもやや上向きの角度になります。
勃起不全(ED)の診断基準には、角度の項目はありませんが、90°よりも角度が大きくなる場合は、勃起力が低下していると考えられます。
持続時間
研究結果によると、勃起が持続する時間は平均10分ですが、状況によって大きく左右されるため持続時間だけで勃起不全 (ED)の判断をすることはできません。重要なのは夫婦生活が最初から最後まで持続することです。
オランダ、スペイン、トルコ、アメリカ、イギリスの人々を対象とした研究では、挿入してから射精するまでの時間は平均5分であることがわかりました。
これを長いと捉えるか短いと捉えるかは、夫婦によって変わるので時間にだけとらわれるのではなく、夫婦の満足度が大事です。ただし、挿入から射精までの間、勃起が持続できなくなる場合は勃起力が低下していると判断しましょう。
国際勃起機能スコア
国際勃起機能スコアは、医療機関で勃起不全(ED)を測定するために使われています。利用してみるのもいいでしょう。
項目としては、
- 勃起を維持する自信
- 勃起した時挿入可能になる硬さになる頻度
- 挿入後に勃起を維持できた頻度
- 挿入から射精まで勃起を維持できた頻度
- 夫婦生活に満足できた頻度
以上の5項目をそれぞれスコア化して、合計点数でどの程度勃起不全があるのかを判断していきます。
勃起障害(ED)の原因とは?
勃起には、神経系の働きと血管•血流の働き、心理面がうまく連動することで起こるようになります。
勃起障害(ED)の主な原因としては、一酸化炭素の産出量の減少やテストステロンの不足、加齢、糖尿病、肥満、運動不足などがあることが分かっています。
また、脊髄損傷や骨盤内の手術などで、神経系や血管系にダメージを受けてしまい伝達がうまく行かない場合や、薬の副作用で、ホルモンのバランスが崩れてしまうことで勃起障害(ED)が起こることもあります。
心理的な原因としては、強いストレスを受けると自律神経に影響を与えてしまうことがあります。
勃起力を維持する対処法
年齢、肉体的に勃起力が低下するのは仕方ないことです。しかし、勃起力を維持していくためには、どのような方法があるのか気になるものです。
実際に、勃起力を維持する対処法は様々あります。それぞれ確認していきましょう。
勃起の頻度を増やす
勃起の頻度が減ってしまうと、陰茎海綿体が硬くなってしまい柔軟性が失われてしまいます。そのため、陰茎の方にうまく血流が行かなくなり、勃起ができなくなることがあります。
勃起の頻度を増やすことで、陰茎海綿体が柔軟性を取り戻して、血流が良くなり、血液が貯められるようになります。
「そういえば最近朝立ちしなくなった」と気づいた時には、陰茎海綿体が硬くなっていて勃起力が低下している可能性があります。早めに対策を行いましょう
食生活を改善する
勃起力を維持するためには、日頃の食生活を見直すことも大切です。 一酸化炭素を増やす食材やテストステロンを増やす食材、精力を高める食材などがあるので積極的に取り入れてみましょう。
一酸化炭素の産出量を増やす食材
一酸化炭素は血管を拡張させる働きがあり血流を良くします。 アルギニン、シトルリンが多く含まれている食べ物を摂取すると、体内で一酸化炭素が放出されて血管を拡張し、 勃起力の維持に効果的です。
スイカやキュウリ、メロンなどのウリ科の植物に多く含まれています。
テストステロンを増やす食材
テストステロンは、年齢とともに分泌量が低下していきますので、意識してテストステロンを多く含む食べ物を取り入れましょう。
まずは、男性ホルモンの原料となるタンパク質を多く摂取しましょう。それに加えて、男性ホルモンの生成を促進する効果があるタマネギやニンニクを摂取するとより効果的です。
精力を高める食材
亜鉛は、男性ホルモンのテストステロンを作る時に必要な物質で、男性ホルモンを増やし、精力を高める効果があります。
また、睾丸や精巣の機能を保つためにも必要なので、妊活をしている方は特に重要な栄養素です。
亜鉛は、赤身の牛肉、鶏肉、卵、牡蠣に多く含まれています。
運動量や筋肉量を増やす
運動や筋トレを行うとテストステロンや成長ホルモンが多く分泌されることが分かっています。
筋トレといえば、トレーニング器具を使って大掛かりな動作をするイメージがありますが、自分の体重を利用して、腹筋、スクワット、腕立て伏せなどを行うだけでも十分に筋トレの効果があります。
勃起力を向上させるためには、スクワットで肛門筋などの勃起の時に必要な筋肉を鍛えるのが効果的です。
マンネリ対策を考える
最近、マンネリしてきて性的刺激が足りないと感じる場合は、原因を特定してみたり、夫婦で話し合ったりしてみるのが良いでしょう。 新鮮な気持ちを維持することで、性的刺激が増えて、満足できる夫婦生活ができるようになります。
マンネリしないようなシチュエーション作りを心がけていきましょう。
マッサージを行う
勃起力を高めるためには血流を良くすることが重要です。
鼠径部マッサージや睾丸マッサージは血行促進作用があるので、勃起力の向上が期待できます。詳しく見ていきましょう。
鼠径部マッサージ
鼠径部とは、足の付け根部分のところで、血流やリンパが、多く流れている部分です。
座り姿勢が続くと、リンパや血流の流れが滞るので、マッサージでコリをほぐして血行を良くします。
マッサージ方法は、鼠径部をさするように、優しく押さえながらほぐしていきましょう。足のむくみやだるさも改善できるので、定期的にやるのが効果的です。
睾丸マッサージ
睾丸マッサージは、睾丸を温める、睾丸を転がしたり、睾丸を押し込んだり引っ張ったりして刺激していきます。勃起力の向上、男性ホルモン分泌促進作用があり、古くからインドでも取り入れられているマッサージ方法です。
強くマッサージしてしまうと睾丸を傷つけてしまうので、優しく丁寧に行うことが重要です。
湯船に浸かる
日常生活で忙しいことが続くと、シャワーで済ましてしまうことが多いかもしれません。しかし、シャワーだけでは血流を改善するには不十分です。しっかりと湯船に浸かり体を温めることで血行促進効果があります。さらに、入浴後は睡眠の質が向上することもわかっています。
良質な睡眠を確保する
夜更かしをして、ストレス発散をしたくなるかもしれませんが、睡眠不足になってしまうと自律神経が乱れやすくなり、テストステロンが減少することが分かっています 。また、睡眠不足は精子量が減少してしまうことも研究結果で分かっています。睡眠時間は7〜8時間はしっかりと確保して、体を休めましょう。
ED治療薬を摂取する
なかなか勃起力が改善できない、膣内に挿入しても途中で勃起が維持できなくなってしまう、中折れに悩んでいる場合は、ED治療薬を使ってみるのもおすすめです。 海外のサイトで購入することもできますが、安全性の面からは避けたほうがいいでしょう。また、ED治療薬には、その人の体質や持病や副作用によっては使用する薬が変わってきます。病院を受診して、自分に合ったED治療薬を医師から処方してもらうようにしましょう。
勃起力に関する【Q&A】
勃起力にまつわる、よくある質問をまとめてみました。
勃起力の低下は高齢者だけに起こりやすい?
年齢を重ねていくと、勃起力の低下は出てきてしまいますが、それ以外にも様々な要因があるので20代から悩みを抱えている人も少なくありません。
実際の調査では、20代が34.3%、30代が46.0%、40代が61.1%、50代が73.6%、60歳以上では83.3%の方が、勃起力の低下に悩みを抱えていることが分かっています。また、40代を境に硬さに自信が持てない人が急増する傾向があります。
喫煙は勃起力に影響するのか?
タバコに含まれるニコチンやその他の化学物質は、血管を収縮させて、動脈硬化を引き起こすことが分かっています。動脈硬化が起きると海綿体に血液を集めることができなくなります。また、血管を拡張させる効果がある一酸化窒素を低下させる可能性があります。
勃起力を向上させるには、喫煙は控えたほうがいいでしょう。
飲酒は勃起力に影響するのか?
過度の飲酒は、脳の神経細胞に影響を及ぼし勃起力を低下させてしまいます。また精巣に悪影響を与えて、テストステロンの量が減少することも分かっています。
そのため、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
増大サプリは効果ある?
シトルリンやアルギニン、マカの成分が入ったサプリメントは勃起力を向上させる効果があると言われています。市販で流通しており、効率的に摂取することが可能です。
ただ、サプリメントのため、確実な効果の保証ができるわけではないというのが現状です。
勃起力を最大限に高める対策を徹底しよう
勃起障害(ED)になる原因としては、テストステロンや一酸化炭素の減少、加齢、糖尿病、肥満、運動不足の影響があることがわかりました。年齢と共に勃起力に悩みを抱えている人は増えていて、そのまま放置するとますます悩みは深刻になっていきます。
勃起力を向上するには、勃起の頻度を増やすこと、食生活の改善やマッサージ、良質な睡眠やED治療薬など様々な方法があることがわかりました。飲酒やタバコも控えることが大切です。
1つの対策方法だけでは、なかなか効果が結びつかないこともあるので、勃起力を最大限に高める為にも様々な対策方法を取り入れて徹底していくことが重要です。
この記事を参考にして、充実した夫婦生活を送れるように、勃起力の向上に取り組んでみましょう。