※本記事は薬剤師が執筆しております※
「妊活をはじめたけれども、なかなか妊娠できない」「同じ時期に妊活をはじめた友人は妊娠しているのに、どうして自分だけ妊娠しないの?」など妊活がうまくいかずに悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
妊活をしても妊娠しない原因は男女ともにあるため、不妊かもしれないと思ったときは不妊の原因を知り、パートナーと一緒に解決をすることが大切です。
本記事では妊活がうまくいかない時の対処法をご紹介しますのでご参考ください。
⽬次
- 不妊の定義
- 不妊の原因について
- 妊活で辛いときはどんなとき?
- 妊活がうまくいかず辛い時の対処法
- まとめ
不妊の定義
不妊の定義は妊娠を希望する健康なカップルが避妊をしないで性交渉しているにもかかわらず、1年以上妊娠しないこととされています。何らかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない状態が不妊症です。
不妊の原因について
不妊の原因は複数あり、男女ともに不妊原因があることが報告されています。どちらにも原因がなく、不妊の原因が不明である場合もあります。不妊の原因について調べるときは、パートナーと一緒に検査を受けましょう。
男性因子
男性不妊の原因の多くは造精機能障害です。造精機能障害とは良好な精子をたくさん作れなくなることをいいます。その他にも精路通過障害、性機能障害、加齢、喫煙、過度のアルコール摂取、肥満、ストレス、などが男性不妊の原因となります。
年齢とともに妊娠しにくくなるのは女性だけでなく男性も同じです。
排卵因子
毎月規則正しく月経がなかったり、月経が起こっていても排卵が起こっていなかったり、排卵に異常があると妊娠が成立しません。排卵させるまでの過程に異常がおき、卵が育たない、また、育ってもうまく排卵できないなどの原因で不妊となります。
太り過ぎや痩せすぎだと排卵障害が起こる可能性が高くなるため、適正体重を維持しましょう。
卵管因子
女性の不妊因子で多いものが卵管因子です。卵管は卵子や精子が通る道であるため、卵管が詰まっていると卵子や精子が移動できません。
クラミジア感染によるクラミジア性卵管炎や子宮内膜症などの炎症によって卵管が狭くなっていると、卵子が卵管に入りこむことができなくなり、不妊の原因となります。
子宮因子
子宮は受精卵が着床し、胎児が育つ場所であるため、子宮筋腫や子宮の形に異常があると受精卵が着床しづらくなります。子宮内に癒着やポリープがある場合、手術などの治療も選択肢のひとつです。
過去に流産手術を繰り返し受けていると、子宮内が癒着し、妊娠しにくい原因となります。
妊活で辛いときはどんなとき?
妊活をはじめてもなかなか妊娠しなかったり、周りの友人がどんどん妊娠したり、両家の両親から「孫はいつ?」などと声をかけられたりすると妊活が辛くなるのではないでしょうか。ここでは妊活が辛くなる時をいくつかご紹介します。
【女性】生理が来るたび、精神的につらい
妊活を始めると、毎月生理が来るたびに落胆しがちです。着床出血かもしれないと淡い期待を抱きつつも出血量が多くなり、生理だと確定すると精神的に辛くなります。
不妊治療のためにホルモン療法などを行っていると、ホルモン療法によってメンタル面が不安定になり、妊活うつ症状などを発症する可能性もあります。
【男性】妊活がプレッシャーになってつらい
男性の場合、妊活がプレッシャーになり辛いと感じる方も多いようです。妊活中は仕事で疲れていても、排卵日前後に性交渉を求められることも増えるでしょう。性交渉をしなければいけないと思うとプレッシャーを感じ、勃起不全(ED)や膣内射精障害の原因になることもあります。
疲れやアルコールの飲み過ぎなどにより、セックスがうまくいかないことがあると、余計プレッシャーになりやすいでしょう。
パートナーとの温度差がつらい
夫婦間で妊活に対してずれがあると喧嘩も多くなり、ストレスを抱える原因です。妊活や不妊治療では女性の負担が大きいため、パートナーとの温度差があると辛くなります。また男性、女性でやるべきことや治療内容が異なり、お互いの治療を体験することはできません。
片方が妊活や不妊治療に理解がないと、すべてひとりで抱え込む状況になってしまいます。妊活はふたりでしなければいけないため、お互いの考えを共有しましょう。
妊活と仕事との両立がつらい
妊活をする方の中には仕事で経験を積み、管理職などについている方もいるでしょう。仕事での責任も増え仕事が忙しいと、妊活と仕事の両立が上手くいかず辛くなり、仕事のストレスが妊活に影響することもあります。
不妊治療を始めると、排卵日前後に仕事を休まなければいけないことも多く、休みが取りにくい職場環境だと両立が辛くなるでしょう。
妊活がうまくいかず辛い時の対処法
妊活をはじめてもすぐに結果が出るわけではありません。妊活がうまくいかず辛いときは以下の対処法を試してみてください。ひとりで抱え込むと妊活うつなどを発症する原因にもなるため、注意が必要です。
「妊活」を緩めてみる、または離れてみる
妊活を緩めると、妊活のプレッシャーから解き放たれストレスが軽減されます。妊活を意識しなかったり、不妊治療を中断したり、妊娠することから離れてみると妊娠したという話がよくあります。
パートナーと将来の方向性などをしっかりと話し合い、一度妊活から距離をとってみることはおすすめです。妊娠以外のことを意識的に考えて妊娠するとできないスポーツなどに挑戦してみてもいいかもしれません。
生殖心理カウンセラーに相談する
夫婦やひとりで悩みを抱えるのではなく、生殖心理カウンセラーに相談するのもおすすめです。生殖心理カウンセラーは、不妊や生殖にかかわる心理的困難を抱える方へ支援を行ってくれる特定の講座を受けた臨床心理士や公認心理師です。
2022年4月に不妊治療が公的保険医療制度に組み入れられました。その中で「公認心理師」による相談支援の文言もあるように、専門知識をもった人に相談することが大切です。
パートナーで話し合う
妊活はどちらか一方だけが頑張ったら成功するわけではなく、パートナーと協力しなければ妊娠しません。妊活に対してパートナーとの温度差があると、けんかの原因にもなりがちです。
お互いにどんなところに負担を感じているか、妊活の方向性、不妊治療を受けるかどうかなどお互いが納得できるまで一度時間をかけて話し合ってみましょう。
まとめ
晩婚化が進み、妊活をはじめてもなかなかすぐに妊娠できない夫婦も増えています。日本で不妊を心配したことがあるカップルは3組に1組と言われ、妊活がうまくいかないことは珍しいことではありません。
妊活がうまくいかない時は、一度妊活から離れてみることも大切で、うまくいかない原因を知ることも大切です。夫婦だけで悩みを抱え込まず、病院受診なども検討し、パートナーと一緒に解決していきましょう。