※本記事は薬剤師が執筆しております※
「妻にばかり妊活を頑張らせたくない」
「妻と一緒に妊活を頑張りたい」
「不妊の原因が自分にあるかも」
このように思っている男性もいるのではないでしょうか。不妊の原因は女性だけでなく男性にもあります。
パートナーと一緒に不妊についての知識を学び、不妊かもしれないと思ったら男性もすぐに病院を受診して不妊の原因を検査をすることが大切です。
本記事では男性の妊活を成功させるために、男性不妊の原因や男性不妊の検査内容および治療法を解説しますので参考にしてください。
目次
- 不妊の原因の半数は男性にある?
- 男性不妊症の原因は?
- 男性不妊になりやすい人の傾向は?
- 男性不妊症の検査・治療法を紹介
- 不妊にならないために男性にできること
- まとめ
不妊の原因の半数は男性にある?
不妊の原因は女性だけでなく、男性にもあります。世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊症のうち、男性のみに原因があるケースが24%、女性のみ41%、男女両方に原因がある場合が24%、 原因不明11%とされています。
不妊の原因の半数は男性にもあるため、不妊検査は同時に受けましょう。
男性不妊症の原因は?
男性不妊の原因は、原因不明な場合や遺伝的な要因もありますが主に以下の3つです。
- 造精機能障害
- 性機能障害
- 精路閉塞障害
それぞれ詳しく解説しますのでご参考ください。
造精機能障害(精子をつくる機能が低下)
精子をつくる機能が低下する造精機能障害が男性不妊の原因の約80%を占めます。精巣やホルモンの分泌異常によって引き起こされます。
精巣から心臓に戻る血流が逆流し、コブができる精索静脈瘤によって精液所見が悪化しますが、手術によって治療する事が可能です。手術後には精液所見が改善することが知られています。
精子の数が少ない、精子の動きが悪い、精子の形がおかしいなどの問題があると卵子の近くまで精子が到達できず、妊娠の可能性が低くなります。
性機能障害(勃起や射精ができない)
勃起や射精ができない性機能障害が男性不妊の原因の約13.5%を占めます。
妊活によるストレスや不安、緊張など精神的原因で性機能障害を発症する場合もあります。ED治療薬を服用すると徐々に改善する可能性があるため、医療機関を受診して診断を受けることが大切です。
精路閉塞障害(精子の通り道が詰まっている)
精子の通り道が詰まり、精巣で作られた精子が女性の膣内へ射精できない精路通過障害も不妊の原因となります。男性の不妊原因の約4%が精路通過障害です。
クラミジアなどの細菌に感染すると精巣上部が炎症を起こし、精子の通り道が詰まる可能性があります。
男性不妊になりやすい人の傾向は?
男性不妊に悩む人は増加傾向です。ここでは男性不妊になりやすい人の傾向をご紹介しますので、ひとつでも当てはまる方は病院を受診し、精液検査を受けてみましょう。
睾丸・精巣の状態
睾丸が小さいまたは睾丸が柔らかい方は、精巣でつくられる精子の状態が悪い可能性があります。
精索静脈瘤があると、精液所見が悪くなるため、睾丸の上にコブがある方は精索静脈瘤かどうか病院を受診し確認してください。精索静脈瘤の初期には自覚症状はほとんどありませんが、悪化すると陰のうの腫れや痛みを引き起こします。
精液量が少ない方は、逆行性射精などの可能性もあります。不妊の要因となるため、病院を受診しましょう。
手術・病歴
小さい頃、そ径ヘルニアの手術を受けた方も男性不妊になりやすいかもしれません。手術の影響で精子が通りにくくなることがあります。
おたふく風邪や高熱が出る病気にかかり、その後も高い熱が続き、睾丸付近に痛みを感じた方も注意が必要です。高熱の影響で精子をつくる機能に影響が出ることもあります。
抗がん剤治療歴があると精巣が影響を受けている可能性があり、精液所見が悪くなる可能性があります。
日常生活の傾向
精巣の温度が高くなると、精子がつくられにくくなるため、男性不妊を引き起こす原因となります。座りっぱなしの生活、ぴったりした下着の着用、長風呂やサウナを利用する方は不妊になりやすいかもしれません。
喫煙習慣や過度な飲酒をする方も男性不妊になりやすいため、日常生活の中に男性不妊の原因がないか確認してみましょう。
男性不妊症の検査・治療法を紹介
ここでは、男性不妊の検査を4つとホルモン剤による治療法を3つご紹介します。不妊の原因によって治療方法も異なりますので、治療は主治医の先生と相談しながら進めてください。
男性不妊の検査①精液検査
精液検査は男性不妊の検査で重要です。精液は数日間の禁欲期間の後に、マスターベーションで全量を採取します。精液量、精液中の精子の濃度、運動率、正常形態が基準値に入っているか調べます。
基準値を上回っていると、自然妊娠できる可能性があり、下回っていると男性不妊の可能性が高いでしょう。しかし、基準値を上回っていても必ず妊娠するわけではありません。
男性不妊の検査②性感染症検査
クラミジアなどの性感染症によって、精巣上体炎などを引き起こすと不妊の原因となります。性感染症検査は、尿検査などを行い、クラミジアなどの細菌に感染していないか調べる検査です。
クラミジアなどの性感染症は症状がほとんどないため、検査しないと性感染症かどうか分かりません。
男性不妊の検査③超音波検査
超音波検査は陰嚢にエコープローブを当てて陰嚢や精巣を観察する検査です。精巣の大きさや、精巣の石灰化などを観察します。精索静脈瘤の診断に有用で、超音波検査によりまれに精巣がんが発見されることもあります。触診より違和感のない検査です。
男性不妊の検査④血液検査
血液検査でホルモン分泌に異常が無いかを調べます。FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)のバランスが崩れていると、精子が作られにくくなってしまう可能性があります。
男性不妊症治療①クロミフェン法
クロミフェン法とは抗エストロゲン作用のあるクロミフェンを服用する方法です。クロミフェンは女性の不妊に対して使用される薬ですが、男性にも使用します。
クロミフェンはFSHおよびLH分泌促進作用があり、乏精子症における精子形成の誘導効果が認められています。
男性不妊症治療②GnRH療法
GnRH療法とは点鼻薬や注射を使用してゴナドトロピンの分泌を促す治療です。血液検査でホルモン値に異常があるときに使われます。
男性不妊症治療③下垂体ゴナドトロピン療法
下垂体ゴナドトロピン療法とは、精子をつくるのに必要なゴナドトロピンを補充する治療法です。
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(ホルモン分泌異常)の場合、精子をつくるために必要なホルモンが不足します。ホルモン検査でゴナドトロピンの数値が低く、精子が産生されていない男性に使われます。
不妊にならないために男性にできること
不妊にならないために妊活前から以下のことに気をつけておくとよいでしょう。
- 睡眠と運動
- 食事
- 活力維持
それぞれ詳しくご紹介しますのでご参考にされてください。
十分な睡眠と適度な運動
十分な睡眠をとって、適度な運動を行い、基礎体力を維持することが大切です。睡眠不足や運動不足はストレスを溜め込む原因にもなります。ストレスを発散し、健全な心身をつくると妊活へもよい影響を与えるでしょう。
栄養バランスのとれた食生活
質の良い精子をたくさんつくるために、バランスのとれた食事が重要です。外食は避け、できるだけ自炊やパートナーの手料理で妊活に良いとされる栄養素が多く含まれている食材をとることをおすすめします。
栄養バランスのとれた食生活を意識し、不足しがちな栄養素はサプリメントなどを上手に活用するとよいでしょう。
活力をつけて若々しく
男性の妊活力を高めるには栄養だけでなく活力も必要です。マカやすっぽんなどは古来から活力の源と言われています。マカやすっぽんなどの活力成分をサプリメントなどを用いて効果的に摂取し、活力をつけましょう。
まとめ
妊活をはじめてもなかなか子どもができないから不妊かもしれないと思ったときは、できる限り早い段階でパートナーと病院を受診し検査を受けましょう。原因が分かると、適切な治療を受けることによって早期に妊娠が実現する可能性があります。
男性妊活を成功させるためには、正しい知識と日々の生活習慣を整えることが大切です。